2026年3月13日
鉄鋼新経営 厳しさ増す市場に対応/日本鋳造社長/佐竹 義宏氏/半導体向け鋳鋼品受注増/大型3Dプリンター来月稼働/日刊産業新聞 26・3・13
――社長就任後、半年が経過した。
「就任時に掲げた『安全』『一体感(ワンチーム)』『ボトムアップ』『バット・ニュース・ファースト』『時間と期限を守る』『基礎体力向上』『リクリエーション』という7つのスローガンを社内に浸透させるとともに、毎週イントラ発信している社内報を通じて親近感を持ってもらい、私の考えを周知することに努めてきた。今期は需要低迷などで鋳鋼品の受注量が落ち込んでおり、好調なスタートとはいかなかったが、下期から回復して川崎工場は足元フル稼働になり、ホッとしている」
――25年4―12月期決算を振り返って。
「経常利益は概ね公表どおりとなった。半導体関連を中心に素形材分野で受注量は増えているものの、これは来期以降の収益に反映されるため、今期の通期業績予想は変えていない。橋梁向け支承や建築物用柱脚などのエンジニアリング分野は引き続き堅調に推移している」
――川崎工場がフル稼働になった背景は。
「需要が回復し、半導体製造装置向け鋳鋼品で受注量が大きく伸長しており、近年の低操業で生産に係る内製化を進めてきたが、OEMや外注の復活も視野に入れ、旺盛なニーズを捕捉していきたい。25年9月1日付では私をトップとする全社横断の『半導体向け開拓開発プロジェクト』(HKKPJ)を立ち上げており、中国や台湾を含めてコミュニケーションを重ねる顧客数が増え、展示会出展を通じて光学系製品を扱うお客様から採用に向けた検討、引き合いが始まっているなど、来期以降も期待できる」
――来期は現行中期経営計画の最終になる。
「マーケット環境が大きく変化しており、収益については計画に対して未達ペースが続いているが、工場へのロボット導入やDX推進、スマートファクトリー化など各種施策は着実に実行している」
――川崎工場と福山製造所の取り組みは。
「川崎は低操業が続いていたため、外注作業の取り込みと、従業員の多能工化を推進してきた。中子の製作や仕上げ加工作業、5軸加工機の新設による発泡スチロール型製作などを内製化しており、外注作業の9割以上を社内に取り組んでいる。多能工化は高稼働時の武器になると思う」
「福山は自動車分野が盛り上がりを欠いており、加工装置向け鋳鉄製品は低水準の生産が続いている。その一方で製鋼用鋼塊鋳型やマイティバーの受注が堅調に推移しており、100―110%の稼働率となっている」
――低熱膨張合金「LEX(レックス)」の販売状況を。
「今期は300トン程度の出荷量を予定している。半導体分野で拡販するためにHKKPJを立ち上げ、また25年4月1日付で3Dプリンター活用推進チームを新設し、3D積層造形用粉末の拡販にも取り組んでいる」
――3Dプリンター活用推進チームの活動はどうか。
「横串を通した横断組織にし、フットワークを軽く、新規開拓などのスピードを高めた結果、今期における3D積層造形事業の売上高は対前期約3倍の水準に達している。見積りを提出するスピードがアップするとともに納期が大幅に短縮しており、お客様にも好評を得ている。メンバーは現行15人で今後、製造現場責任者を加えることで、さらなる品質の向上などに取り組む。国内最大級のパウダーベット式金属3Dプリンターについては川崎への導入後、試運転・教育訓練などを経て、4月から工程生産に入る。自社鋳鋼品で使う3D積層造形の鋳包み材(インナーキラー)製造に活用するほか、大型造形サイズの半導体製造装置向けを主体に3D造形製品の外部販売を推進し、10月にはフル生産にもっていく」
――製造現場におけるIoT、DXなどの導入も推進している。
「スマートファクトリー化の一環として製造工程の省人化や自動化を進めており、これまで自動押し湯切断ロボットや溶接補修ロボット、砂型3D積層造形設備を導入している。この中で溶接補修ロボットを改造して自動グラインダー機能を付加させる計画で、モノレールで採用する支承の加工に利用する。来期の上期中での実用化を目指す。このほか3Dスキャナー装置を川崎に2基、福山に1基それぞれ導入しており、形状と寸法で品質保証体制を整え、お客様が満足する品質を追求する。またタブレット端末を使ってペーパレス化に取り組むとともに、ビジネスインテリジェンスソフトを活用するなど各工程のデータを有機的に解析し、効率化などに繋げている」
――カーボンニュートラルへの対応は。
「川崎は北陸電力からCO2排出量ゼロとなる再生可能エネルギー由来の非化石証書を使った電力を購入していたが、24年7月には東京ガスから同証書を使ったガス購入を始めており、99・5%のカーボンフリーに達している。残り35トンのCO2排出量削減もカーボンクレジット購入でクリアし、来期には鋳造業界初となるカーボンニュートラル工場を実現する。製造プロセスにおける温室効果ガス排出量(GHG)をゼロとした鋳造品『GREENCASTINGS(グリーンキャスティングス)』は需要家へのPRを強化しており、初採用に向けて手応えを感じている」
――川金ホールディングス、清本鉄工との業務提携の進捗を。
「順調に進捗している。川金ホールディングスがこれまでお客様に納入してきた鋳鋼品のサンプル製作を3月から開始し、来期の上期中には品質調査である確性を実施する予定で、できるだけ早期に納入を開始したい。橋梁用支承等についても技術交流を始めている。清本鉄工とは工場見学などの技術交流を開始しており、資材品の共同購買などに向けて協議を進めている」(濱坂浩司)
「就任時に掲げた『安全』『一体感(ワンチーム)』『ボトムアップ』『バット・ニュース・ファースト』『時間と期限を守る』『基礎体力向上』『リクリエーション』という7つのスローガンを社内に浸透させるとともに、毎週イントラ発信している社内報を通じて親近感を持ってもらい、私の考えを周知することに努めてきた。今期は需要低迷などで鋳鋼品の受注量が落ち込んでおり、好調なスタートとはいかなかったが、下期から回復して川崎工場は足元フル稼働になり、ホッとしている」
――25年4―12月期決算を振り返って。
「経常利益は概ね公表どおりとなった。半導体関連を中心に素形材分野で受注量は増えているものの、これは来期以降の収益に反映されるため、今期の通期業績予想は変えていない。橋梁向け支承や建築物用柱脚などのエンジニアリング分野は引き続き堅調に推移している」
――川崎工場がフル稼働になった背景は。「需要が回復し、半導体製造装置向け鋳鋼品で受注量が大きく伸長しており、近年の低操業で生産に係る内製化を進めてきたが、OEMや外注の復活も視野に入れ、旺盛なニーズを捕捉していきたい。25年9月1日付では私をトップとする全社横断の『半導体向け開拓開発プロジェクト』(HKKPJ)を立ち上げており、中国や台湾を含めてコミュニケーションを重ねる顧客数が増え、展示会出展を通じて光学系製品を扱うお客様から採用に向けた検討、引き合いが始まっているなど、来期以降も期待できる」
――来期は現行中期経営計画の最終になる。
「マーケット環境が大きく変化しており、収益については計画に対して未達ペースが続いているが、工場へのロボット導入やDX推進、スマートファクトリー化など各種施策は着実に実行している」
――川崎工場と福山製造所の取り組みは。
「川崎は低操業が続いていたため、外注作業の取り込みと、従業員の多能工化を推進してきた。中子の製作や仕上げ加工作業、5軸加工機の新設による発泡スチロール型製作などを内製化しており、外注作業の9割以上を社内に取り組んでいる。多能工化は高稼働時の武器になると思う」
「福山は自動車分野が盛り上がりを欠いており、加工装置向け鋳鉄製品は低水準の生産が続いている。その一方で製鋼用鋼塊鋳型やマイティバーの受注が堅調に推移しており、100―110%の稼働率となっている」
――低熱膨張合金「LEX(レックス)」の販売状況を。
「今期は300トン程度の出荷量を予定している。半導体分野で拡販するためにHKKPJを立ち上げ、また25年4月1日付で3Dプリンター活用推進チームを新設し、3D積層造形用粉末の拡販にも取り組んでいる」
――3Dプリンター活用推進チームの活動はどうか。
「横串を通した横断組織にし、フットワークを軽く、新規開拓などのスピードを高めた結果、今期における3D積層造形事業の売上高は対前期約3倍の水準に達している。見積りを提出するスピードがアップするとともに納期が大幅に短縮しており、お客様にも好評を得ている。メンバーは現行15人で今後、製造現場責任者を加えることで、さらなる品質の向上などに取り組む。国内最大級のパウダーベット式金属3Dプリンターについては川崎への導入後、試運転・教育訓練などを経て、4月から工程生産に入る。自社鋳鋼品で使う3D積層造形の鋳包み材(インナーキラー)製造に活用するほか、大型造形サイズの半導体製造装置向けを主体に3D造形製品の外部販売を推進し、10月にはフル生産にもっていく」
――製造現場におけるIoT、DXなどの導入も推進している。「スマートファクトリー化の一環として製造工程の省人化や自動化を進めており、これまで自動押し湯切断ロボットや溶接補修ロボット、砂型3D積層造形設備を導入している。この中で溶接補修ロボットを改造して自動グラインダー機能を付加させる計画で、モノレールで採用する支承の加工に利用する。来期の上期中での実用化を目指す。このほか3Dスキャナー装置を川崎に2基、福山に1基それぞれ導入しており、形状と寸法で品質保証体制を整え、お客様が満足する品質を追求する。またタブレット端末を使ってペーパレス化に取り組むとともに、ビジネスインテリジェンスソフトを活用するなど各工程のデータを有機的に解析し、効率化などに繋げている」
――カーボンニュートラルへの対応は。
「川崎は北陸電力からCO2排出量ゼロとなる再生可能エネルギー由来の非化石証書を使った電力を購入していたが、24年7月には東京ガスから同証書を使ったガス購入を始めており、99・5%のカーボンフリーに達している。残り35トンのCO2排出量削減もカーボンクレジット購入でクリアし、来期には鋳造業界初となるカーボンニュートラル工場を実現する。製造プロセスにおける温室効果ガス排出量(GHG)をゼロとした鋳造品『GREENCASTINGS(グリーンキャスティングス)』は需要家へのPRを強化しており、初採用に向けて手応えを感じている」
――川金ホールディングス、清本鉄工との業務提携の進捗を。
「順調に進捗している。川金ホールディングスがこれまでお客様に納入してきた鋳鋼品のサンプル製作を3月から開始し、来期の上期中には品質調査である確性を実施する予定で、できるだけ早期に納入を開始したい。橋梁用支承等についても技術交流を始めている。清本鉄工とは工場見学などの技術交流を開始しており、資材品の共同購買などに向けて協議を進めている」(濱坂浩司)
















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