2026年4月23日
経営戦略を聞く/福島製鋼 登坂明弘社長/吾妻工場、自動化で成果/基幹システム更新、DXを推進
日野自動車グループ企業で鋳造メーカーの福島製鋼(本社=福島市、登坂明弘社長)は2054年で実現する100年企業を見据えた長期ビジョンにおいて、5%を超える売上高営業利益率の達成を目指す。登坂社長に経営戦略を聞いた。
――取り巻く市場環境から。
「売り上げ構成比率の約7割を占める自動車分野は2025年度が需要の底になるとみており、認証不正問題で減った生産台数は概ね回復しているものの、自動車マーケット全体の生産はまだ低い水準が続いている。この中で日野自動車が26年1月から排気量13㍑エンジンを搭載した大型トラックの販売を再開した。当社が得意とする分野とあって発注増を期待していたが、中型トラックと並行生産している日野自動車古河工場がフル稼働になっており、能力ネックで想定していたほど発注量は増えていない。建設機械分野は中国市場の内需低迷が続くとともに、中国製建設機械のアジアへの輸出は好調。その一方で日本国内や欧米では需要低迷が長引いている。鉄道車両分野では国内100%シェアの新幹線連結器が安定した生産量を維持している」
――25年度業績と26年度の計画を。
「25年度は売上高が176億円、営業利益は3億2500万円の前期比増収増益となった。26年度は生産量が前年度を下回る可能性があり、158億円の売上高を、2000万円の営業利益をそれぞれ見込んでいる。4月1日付で日野自動車と三菱ふそうトラック・バスが経営統合し、持株会社『ARCHION(アーチオン)』が発足した。三菱ふそうは中型トラックの生産を休止して日野自動車に集約することを公表しており、当社が製品を納入する古河工場への影響を含めて注視する」
――25年度で取り組んだ施策と、26年度の経営課題は。
「需要が低迷した25年度では生産現場の従業員をミニマム化し、すべての造型ラインで2直体制から1直体制に変更した。鋳物生産の特性として本来、熱効率の観点から電気炉などの温度を維持する2直体制が望ましいが、俗にいう『稼ぎ働率』は生産能力の5割程度であり、少ない生産状況下で従業員の効率活用を推進するために実行した。生産量は25年度が前年度比6・4%減の3万4900トン。26年度は3万3800トンを計画している」
「25年度では販売価格の改定に取り組んだ。主原料・鉄スクラップ価格や、電力などエネルギーコストが大幅にアップするとともに労務費が上昇しており、生産設備を維持・更新するために必要な費用を含めて、26年度も引き続きコスト増分を販価に反映させる。同時に需要家との価格交渉で決着時期から新販価への反映時期にタイムラグがあるため、収益にマイナス影響を及ぼしていることから、この商慣習の見直しに向けた話し合いも需要家と行っていきたい」
「高炉の電炉化に伴って、将来的に鉄スクラップが不足する可能性がある。購入ルートの拡大、原材料購入価格アップへの対応を含めて対策を検討する。また少子高齢化や生産年齢人口減少で人材確保が難しく、採用の促進を図っていきたい」
――相模工場の状況は。
「相模工場は日野自動車のブレーキドラムを59年間生産していたが、他社への転注指示によって、25年10月で生産を終了した。これによって建設機械向けの油圧バルブハウジングのみを手掛けるようになり、生産量が減り、10トンキュポラも停止した。現行の生産品種で収益を確保できる計画を策定する」
――吾妻工場における設備投資の状況を。
「約2億円を投じて、鋳鉄用造型ラインに自動注湯機を導入した。25年度から本格稼働を開始したが、高温など過酷な環境における作業を自動化し、省人化対策にも効果を上げている。また25年度から湯流れをはじめとする鋳造プロセスシミュレーションソフトウェア『マグマソフト』の活用も始めている。26年度は約4億円をかけて、基幹システムを更新する。日野自動車との連携がよりスムーズになり、すでに3台導入しているプラズマ自動切断ロボットに続くIoT化やDX化を推進するための基盤を構築していきたい」
――吾妻工場は加工ラインも刷新する。
「約5億円を投じて刷新し、27年度に立ち上げる計画だ。ハブの仕様追加で加工アイテムが増えることから生産効率を上げる必要もあり、加工ラインを刷新することを決めた。フライス盤や横中ぐり盤など5台の加工設備をすべてリプレースし、27年度における新加工ライン立ち上げに向けて準備を進める」
――国内外で加速しているカーボンニュートラルへの対応は。
「全社CO2排出量の削減目標は基準年(13年)比で25年に40%、30年に61%それぞれ減らす目標を掲げていたが、東北電力から購入している吾妻工場の使用電力を100%再生可能エネルギー由来に切り替えたことで、目標を前倒しで達成した。50年でのカーボンニュートラル実現を目指し、年度ごとに目標を設定し、CO2低減活動を強化している。その一環として、クリーンエネルギーを活用する。重油など化石燃料由来のエネルギーをガス化するとともに、ガスについては水素やアンモニアに置き換える。すでに鋳鋼方案溶断作業の一部で燃料をLPGから水素に切り替えており、徐々に適用範囲を拡げていきたい」
――24年に操業開始70周年を迎え、100年企業に向けた歩みも始めている。
「鋳鋼、鋳鉄全体のマーケットが右肩下がりになっており、受注量を確保するのが難しい状況に置かれている。生き残るために鋳鋼、鋳鉄をともに手掛けるメーカーとして軽量化や薄肉化など新たなニーズに応える技術、製品の開発に注力する。鋳鋼事業は自動車、鉄道車両分野などで大きなシェアを有する強みを活かして企業基盤を固める。鋳鉄事業は価格と品質の競争力で優位性を保つ。また新規事業の一環として、自社ブランド製品『福を鋳込む』を立ち上げ、製品化の第1弾となる観賞用鋳物『干支ももりん』の生産を開始した。既存のBtoB事業から範囲を少し拡げ、BtoC事業も積極的に手掛けていきたい。自社ブランド製品を開発・販売したことで、従業員のモチベーションアップに繋がっている。『福島製鋼ブランド』の販売によって、当社を地元の方々にもっと知っていただき、当社で働く喜び・誇りと共に、当社で働きたいと希望する人財を増やし、100年企業を目指していきたい」(濱坂浩司)
――取り巻く市場環境から。
「売り上げ構成比率の約7割を占める自動車分野は2025年度が需要の底になるとみており、認証不正問題で減った生産台数は概ね回復しているものの、自動車マーケット全体の生産はまだ低い水準が続いている。この中で日野自動車が26年1月から排気量13㍑エンジンを搭載した大型トラックの販売を再開した。当社が得意とする分野とあって発注増を期待していたが、中型トラックと並行生産している日野自動車古河工場がフル稼働になっており、能力ネックで想定していたほど発注量は増えていない。建設機械分野は中国市場の内需低迷が続くとともに、中国製建設機械のアジアへの輸出は好調。その一方で日本国内や欧米では需要低迷が長引いている。鉄道車両分野では国内100%シェアの新幹線連結器が安定した生産量を維持している」
――25年度業績と26年度の計画を。
「25年度は売上高が176億円、営業利益は3億2500万円の前期比増収増益となった。26年度は生産量が前年度を下回る可能性があり、158億円の売上高を、2000万円の営業利益をそれぞれ見込んでいる。4月1日付で日野自動車と三菱ふそうトラック・バスが経営統合し、持株会社『ARCHION(アーチオン)』が発足した。三菱ふそうは中型トラックの生産を休止して日野自動車に集約することを公表しており、当社が製品を納入する古河工場への影響を含めて注視する」
――25年度で取り組んだ施策と、26年度の経営課題は。
「需要が低迷した25年度では生産現場の従業員をミニマム化し、すべての造型ラインで2直体制から1直体制に変更した。鋳物生産の特性として本来、熱効率の観点から電気炉などの温度を維持する2直体制が望ましいが、俗にいう『稼ぎ働率』は生産能力の5割程度であり、少ない生産状況下で従業員の効率活用を推進するために実行した。生産量は25年度が前年度比6・4%減の3万4900トン。26年度は3万3800トンを計画している」
「25年度では販売価格の改定に取り組んだ。主原料・鉄スクラップ価格や、電力などエネルギーコストが大幅にアップするとともに労務費が上昇しており、生産設備を維持・更新するために必要な費用を含めて、26年度も引き続きコスト増分を販価に反映させる。同時に需要家との価格交渉で決着時期から新販価への反映時期にタイムラグがあるため、収益にマイナス影響を及ぼしていることから、この商慣習の見直しに向けた話し合いも需要家と行っていきたい」
「高炉の電炉化に伴って、将来的に鉄スクラップが不足する可能性がある。購入ルートの拡大、原材料購入価格アップへの対応を含めて対策を検討する。また少子高齢化や生産年齢人口減少で人材確保が難しく、採用の促進を図っていきたい」
――相模工場の状況は。「相模工場は日野自動車のブレーキドラムを59年間生産していたが、他社への転注指示によって、25年10月で生産を終了した。これによって建設機械向けの油圧バルブハウジングのみを手掛けるようになり、生産量が減り、10トンキュポラも停止した。現行の生産品種で収益を確保できる計画を策定する」
――吾妻工場における設備投資の状況を。
「約2億円を投じて、鋳鉄用造型ラインに自動注湯機を導入した。25年度から本格稼働を開始したが、高温など過酷な環境における作業を自動化し、省人化対策にも効果を上げている。また25年度から湯流れをはじめとする鋳造プロセスシミュレーションソフトウェア『マグマソフト』の活用も始めている。26年度は約4億円をかけて、基幹システムを更新する。日野自動車との連携がよりスムーズになり、すでに3台導入しているプラズマ自動切断ロボットに続くIoT化やDX化を推進するための基盤を構築していきたい」
――吾妻工場は加工ラインも刷新する。
「約5億円を投じて刷新し、27年度に立ち上げる計画だ。ハブの仕様追加で加工アイテムが増えることから生産効率を上げる必要もあり、加工ラインを刷新することを決めた。フライス盤や横中ぐり盤など5台の加工設備をすべてリプレースし、27年度における新加工ライン立ち上げに向けて準備を進める」
――国内外で加速しているカーボンニュートラルへの対応は。「全社CO2排出量の削減目標は基準年(13年)比で25年に40%、30年に61%それぞれ減らす目標を掲げていたが、東北電力から購入している吾妻工場の使用電力を100%再生可能エネルギー由来に切り替えたことで、目標を前倒しで達成した。50年でのカーボンニュートラル実現を目指し、年度ごとに目標を設定し、CO2低減活動を強化している。その一環として、クリーンエネルギーを活用する。重油など化石燃料由来のエネルギーをガス化するとともに、ガスについては水素やアンモニアに置き換える。すでに鋳鋼方案溶断作業の一部で燃料をLPGから水素に切り替えており、徐々に適用範囲を拡げていきたい」
――24年に操業開始70周年を迎え、100年企業に向けた歩みも始めている。
「鋳鋼、鋳鉄全体のマーケットが右肩下がりになっており、受注量を確保するのが難しい状況に置かれている。生き残るために鋳鋼、鋳鉄をともに手掛けるメーカーとして軽量化や薄肉化など新たなニーズに応える技術、製品の開発に注力する。鋳鋼事業は自動車、鉄道車両分野などで大きなシェアを有する強みを活かして企業基盤を固める。鋳鉄事業は価格と品質の競争力で優位性を保つ。また新規事業の一環として、自社ブランド製品『福を鋳込む』を立ち上げ、製品化の第1弾となる観賞用鋳物『干支ももりん』の生産を開始した。既存のBtoB事業から範囲を少し拡げ、BtoC事業も積極的に手掛けていきたい。自社ブランド製品を開発・販売したことで、従業員のモチベーションアップに繋がっている。『福島製鋼ブランド』の販売によって、当社を地元の方々にもっと知っていただき、当社で働く喜び・誇りと共に、当社で働きたいと希望する人財を増やし、100年企業を目指していきたい」(濱坂浩司)
















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