2014年9月1日

古河電池、マグネ空気電池 12月中旬販売開始 水抽入で最大5日間発電

 古河電池と凸版印刷は29日、共同開発した非常用マグネシウム空気電池「マグボックス」を12月中旬より販売開始すると発表した。水か海水を抽入するだけで、最大5日間発電できる。重量がわずか1・6キログラムで長期間の保存も可能なことから、災害時の非常用電源としての活用が見込まれる。主に地方自治体向けなどに販売していく予定だ。

マグボックスは一辺が200ミリメートル強の正方形で、最大電気量は300ワット時。発電に必要なのは約2リットルの水か海水だけで、注水後でも重量が3・6キロしかないため容易に持ち運べる。USBタイプの出力端子を2個装備しており、スマートフォンなら最大30回充電できる。

マグネシウム空気電池は難燃性マグネシウムを負極物質、空気中の酸素を正極物質とする一次電池。古河電池は数年前から、東北大学や産業技術総合研究所、戸畑製作所(本社=北九州市)、不二ライトメタル(本社=熊本県)と共に開発を進め、2012年には実用レベルの製品技術を確立した。

非常用電源としての実用化には、水密構造を維持したまま大型化するための構造的課題があったが、凸版印刷の紙容器技術が組み合わさることで解決。軽量かつ、実用的な容量の電池開発につながった。

紙容器であれば、使用後の廃棄も容易になる。正極で酸素の反応を活性化させる触媒に、従来のプラチナやレアメタルを使用しない独自技術を用いてコストも抑えた。

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