2012年9月20日

産総研と昭和電工、塩素を含まないエポキシ樹脂を開発 IC銅ワイヤに対応

 独立行政法人の産業技術総合研究所(産総研)と昭和電工は18日、半導体封止材などに使われるエポキシ樹脂について、塩素系化合物を含まないタイプの合成法を開発したと発表した。現在、半導体封止材に用いられるエポキシ樹脂は、塩素化合物を含んでおり、ICチップ配線の銅ワイヤを腐食させる一因となっている。今回開発に成功した新タイプを使えば、電子機器の長期信頼性を向上させることが可能になる。

 半導体封止材はICチップの保護材。チップを半導体封止材でコーティングすることで、空気酸化による性能の劣化やチリなどの混入を防ぐ。通常、耐熱性やチップとの密着性に優れたエポキシ樹脂が材料として使われる。

 産総研と昭和電工が発表した技術は、近年、ICチップの配線を金めっきワイヤから銅ワイヤに替える動きが広がっていることに対応したもの。銅ワイヤは金めっきワイヤに比べ安価だが、腐食しやすい特長がある。従来のエポキシ樹脂だと製造時に塩素系の化合物が混入してしまい、それによって銅ワイヤが腐食するという問題があった。一方、過酸化水素を使用してエポキシ樹脂を造る、塩素系化合物が入り込む心配はないが、酸化の速度が遅かったり一部しか酸化できないため、工業的に成り立たなかった。

 今回、産総研と昭和電工はまず原料からアリルエーテルという化合物を合成。これを過酸化水素と触媒で酸化反応させ、グリシジルエーテルと呼ばれるエポキシ樹脂を製造した。触媒にはタングステンとリンの化合物にベースにアミン系添加剤を組み合わせたものを用いた。出来上がったエポキシ樹脂からは塩素化合物が抽出されない上、成型性にも問題がなく、絶縁信頼性も向上したという。

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