東北地区では東日本大震災を受けて港湾、道路網が破壊され、交通インフラが寸断、被害が軽微にとどまった日本海側地域などへ、鋼材物流も完全にマヒしている。仙台にあるメーカー、商社などの支社、支店の中には、鋼材や建材製品などの引き合いに関する問い合わせを受けているが、陸送ルートが確保できないことと、トラック輸送での燃料が枯渇していることから、応じられない状況だ。いずれも代替ルートなどを検討しているが、物流確保は困難を極めている。
被災地域では宮城県の塩竃など港湾が再開しているものの、緊急支援物資など人命救助や捜索関連が優先されるため、鋼材の搬送には活用できないのが実情。「港に着いても、そこからの陸送はできない」(メーカー関連)という。
中には、津波で被災した一部エリアで、水をかぶった鋼材を洗浄し、向け先への搬送する検討も行ったが、燃料確保ができず、トラックでの陸送を断念した企業もある。
陸送では、燃料不足の問題があり、「300キロ程度が限界で、片道150キロ程度までしかトラックは行けない」(同)といった声も聞かれ、関東エリアなどとの往復ができず、片道輸送で断念せざるを得ない事態も招いている。
物流が正常化するには、まだ多くの時間を要する。