2013年12月13日

鉄鋼事業戦略を聞く ■神戸製鋼所副社長 山口 育廣氏 線条・ハイテン中心に拡販

――国内は鉄鋼市場環境が好転している。

「本年度の自動車生産は、12年度の完成車955万台、ノックダウン930万セットの1885万ユニットほぼ横ばいでみていたが、円安効果を追い風に需要が増加しており、足元は985万台、1000万セットでみている。造船起工量は12年度が1249万グロストンで、本年度は1000万トン際を想定していたが、ピッチダウンが緩和していることから、現在は1100万トン程度と予想している。震災復興、公共インフラ老朽化対策、消費税前の駆け込み需要などで建設も好調で、住宅は12年度の89万3000戸が97万戸、非住宅は5203万平方メートルが5500万平方メートルに、それぞれ増加するとみている」

――輸出比率も上昇している。

「円高修正で競争力が回復し、当社輸出比率は過去最高の3割超に上昇している。海外での拡販戦略も奏功し始めているが、内需対応もあって、このレベルを維持することになりそうだ」

――増産が必要では。

「全国粗鋼は12年度が1億730万トンで、本年度は1億1200万トン前後に増えるとみている。当社は700万トンから760万トン程度に増やす計画。うち加古川製鉄所が620万トン、神戸製鉄所が120万トン、高砂製造所の鉄粉と鋳鍛鋼用の電炉鋼が20万トン。これ以上増やすには、コークスやペレットなどのスポット調達が必要で、大幅なコストアップになる。各ミルともおおむねフル操業に近い状況が続いている」