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更新日: 2018年6月14日

新社長に聞く ■神戸製鋼所 山口貢氏 企業風土を抜本的改革 グループの潜在力引出す

新社長に聞く ■神戸製鋼所 山口貢氏 企業風土を抜本的改革 グループの潜在力引出す

――新社長としての決意から。



「まず当社グループにおける不適切行為に関し、お客様、お取引先様、株主様はじめ、社会の多くの皆様にご迷惑をおかけしていることを改めて深くお詫びしたい。4月に就任し、お客様の多大なるご協力を頂きながら、安全性検証に最優先で取り組んでいる。そして自らが先頭に立ち、全役員・社員結束の下、再発防止策の確実な遂行に全力を傾注している。ガバナンスや企業風土の抜本的な改革を推し進めていくことが最大の使命であり、当社グループが信頼を回復するための不可欠なプロセスであると重く受け止めている。真にコンプライアンスを遵守する企業体へと生まれ変わり、持続的な成長を目指していく決意を固めている」



――神戸製鋼所は112年の歴史の中で最大の危機を迎えている。



「川崎前会長兼社長が17年春に『KOBELCOの約束、Next100プロジェクト』を始動させた。まさに次の100年における持続的成長に向けた精神的な活動であり、企業理念を『KOBELCOの3つの約束』と呼び変え、3つの約束を果たすための全社員の行動指針である6つの誓いを制定した。その第1の約束が『信頼される技術、製品、サービスの提供』であり、第1の誓いが『高い倫理観とプロ意識の徹底』。自主的に当社グループ内における品質に関する不適切行為の有無の点検を開始したところ、今回の事案が発覚した。多くの皆様にご迷惑をお掛けしてしまう結果となったが、現実を真摯に受け止め、信頼回復に全力を傾注する」



――信頼回復の道筋を。



「神戸製鋼グループが変わったと認められなければならない。私自身が先頭に立ち、企業体質・風土の抜本的な改革を推し進めていく。企業風土を変えるには大きなエネルギーと時間が必要だが、生まれ変わるチャンスを迎えている。ただし、いま変わることができなければ将来はない。そうした危機感と私の覚悟をグループ社員に伝え、社員の思いも受け止め、全員参加型で会社を変えていく。本社をはじめ、製造現場、支社支店などにも出向いて、実際に組織を動かしている部長、室長との対話を始めている。当社グループの長所や短所などについても腹を割って話を聞かせてほしいと伝え、双方向での議論を重ねている。そして彼らが部下と危機感や問題点を共有することで再発防止策を徹底し、神戸製鋼グループとしての信頼回復につなげていく」



――安全性検証の進捗状況は。



「昨年10月に公表した525社については100%の納入先で安全性を確認できた。それ以降に判明した163社については162社の確認が進み、残り1社となっている」



――再発防止に向けて組織、体制を大きく見直した。



「3月6日の報告書で表明したガバナンス、マネジメント、プロセスの各方面からの再発防止策を確実に遂行する。株主総会の決定を経てとなるが、まず社外取締役を三分の一以上とするなど経営体制を見直す。取締役会議長は社外取締役から選任する。7つのセグメントのトップが務めていた取締役を素材系、機械系、電力の3人に見直す。経営と執行を分離し、各事業部門のトップとは異なる視点でガバナンスを強化していく。さらにガバナンスに横串を通すため、全社品質を総括する取締役、全社コンプライアンスを総括する取締役を新たに配置し、品質統括部を新設するなどマネジメントも強化。プロセスについては、試験・検査データ入力の自動化、受注承認工程の見直し、工程能力の向上などに着手した。事業部門内の閉鎖性を打破し、風通しを良くするための事業部門間の人事ローテーション、グループ会社の再編なども慎重かつスピード感をもって検討していく。『Next100プロジェクト』の更なる推進に加え、『KOBELCOの約束月間』を設けるなどのグループ社員の意識改革も徹底していく」



――さて新社長としての経営方針を聞きたい。神戸製鋼所は極めて多くの事業領域を持つ複合経営企業体である。



「神戸製鋼グループのポテンシャルを引き出していく。2020年度以降を見据えた『KOBELCO VISION G+』で打ち出した素材系、機械系、電力を3本柱とする成長戦略に変わりはない。世界的な環境規制の高まりを背景とした輸送機軽量化の動きは、鉄鋼、アルミ、溶接などによる接合ソリューション技術を持つ当社にとって大きなビジネスチャンスとなっている。機械系では建設機械、圧縮機、水素ビジネスなど将来の需要拡大が期待できる分野で技術優位性を発揮できる。製鉄所の自家発電などで培ってきたノウハウを生かし、電力供給による安定収益基盤も確立していく」

――世界でもあまり他に類を見ない金属総合素材メーカーでもある。



「鉄鋼、溶接、アルミ・銅の各事業部門ともに強みを持つが、素材系ビジネスの取締役を1人にして横串を通すことで連携効果を加速できる。事業部門をまたぐ人事ローテーションもマルチマテリアルを牽引する。チタンのパイオニアとして、またマグネシウムを手掛ける等の強みもある」



――前期は連結業績がV字回復した。



「売上高が前々期比11%増の1兆8811億円となり、経常損益は191億円の赤字から711億円の黒字に転換し、純損益も230億円の赤字から631億円の黒字に浮上した。鉄鋼、建設機械の収益改善によって、連結業績が大幅に回復した。今期も概ね良好な経営環境が続くとみているが、一過性要因である在庫評価益の剥落や、先行投資による固定費負担増などを想定。売上高は1兆9900億円と増収を見込むが、経常利益は350億円、純利益も450億円にとどまる見通しだ」



――「KOBELCO VISION G+」では、電力事業など成長戦略投資の効果が本格化する23年度以降のROA5%以上を目指している。



「電力事業はフル稼働となる23年度時点で、400億円の経常利益を見込んでいる。他の事業は景気の山谷はあるが、素材系で40―50%、機械系で30―40%、電力で20―30%の経常利益を稼ぎ、事業環境が良い時は2000億円、厳しい時でも1000億円を計上できる収益構造を構築したい」



――過去最高益は1832億円(06年度)だったが、前期実績は711億円であり、目標達成のハードルは低くない。



「3本柱の事業成長戦略として、大型先行投資を含めた手立てを講じてきている。鉄鋼事業の収益力強化に向けて上工程を加古川製鉄所に集約し、追加施策も実行してきた。輸送機軽量化への取り組みとして、鉄鋼は超ハイテンの中国合弁設立、米国合弁の能力増強に続いて、米国合弁への追加投資、加古川の能力増強投資を決定。アルミは、パネル・鍛造品の中国供給拠点設立に続いて、米国における鍛造品拠点の能力増強と押出・加工品拠点の新設、ノベリスの韓国アルミ板圧延拠点の合弁事業化、真岡製造所のパネル製造能力増強などを相次ぎ決定している。機械系でも圧縮機事業の拡大策、建設機械事業の収益力強化策を推進しており、IP(等方圧加圧)装置の世界トップメーカーであるクインタスも買収した。電力は神戸発電所の契約更新、真岡プロジェクト、神戸新プロジェクトによる収益基盤の拡大策を進めている。これらの成長戦略投資によって23年度前後の収益目標達成を確実なものとしたい。そのため20年度までの5カ年のグループ中期経営計画をいま一度見直して、足りないところを補っていく」



――事業の選択と集中、M&Aのスタンスは。



「90年代から事業の選択と集中を継続してきた。その結果、特殊鋼線材、超ハイテン鋼板、チタン、アルミパネル、アルミ鍛造品、溶接材料などの高い国際競争力を持つ商品群を抱え、船舶用大型クランクシャフト、アルミディスク材、非汎用圧縮機、ゴム混錬機などで高いシェアを持つ商品を育成してきた。とはいえ、事業環境が変化する中で、事業の選択と集中に終わりはない。M&Aやアライアンスについてもフラットに考えており、事業強化に資するか否かの観点で考えていく」



――最後に目指す企業像を。



「われわれの原点はものづくりであり、ビジネスの原点は信頼。しかしながら、神戸製鋼グループのビジネスを担保する品質への信頼を失った。コンプライアンスに対する高い意識を持つ企業集団に変わらなければならない。これまで以上に品質にこだわり、良い品質の製品を提供し続けることで『神戸製鋼が変わった』と評価されなければならない。いったん失った信頼はそう簡単には取り戻せない。一つひとつの仕事に徹底したプロ意識で臨むことで、信頼を回復し、『KOBELCOブランドは品質が良い』というイメージをグローバルマーケットに浸透させる。神戸製鋼グループ社員が自信と誇りを持って働き、収益を拡大し、成長を続ける企業にしていく。事業環境は好転しており、前を向きやすい環境にある。安全性検証を完了し、再発防止策の進捗を内外に発信しながら信頼を回復していく」



(谷藤 真澄) ...
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