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2024.12.4
2015年9月15日
神戸製鋼所/KOBELCO VISION G 第2ステージ/「安定」と「成長」に向けた経営基盤の再構築
(1)[中期経営計画]/生き残りから勝ち残りへ/新・複合経営体制の礎築く
神戸製鋼所は、2020年前後を見据えた中長期経営ビジョン「KOBELCO VISION G」の第2ステージにあたる現・中期経営計画(2013―15年度)において、連結経常利益1000億円規模の収益力を再構築し、生き残りから勝ち残りのステージに浮上した。さらに経常利益2000億円規模の安定収益構造を目指す「KOBELCO VISION G」の実現に向け、「素材系、機械系に電力供給事業を加えた3本柱の、新たな複合経営体制の礎を築きつつある」(川崎博也社長)。
■経営基盤の再構築
中長期経営ビジョンを公表した2010年春は、米リーマン・ショック後の世界同時不況の影が色濃く残っていた。第1ステージは、初年度に収益回復の糸口をつかみかけたものの、東日本大震災、超円高、タイの洪水などが続いて経営環境が再び悪化し、11・12年度と2期連続の最終赤字を余儀なくされた。この間に3社提携先の新日本製鉄と住友金属工業は、激動の時代に対応するため、新日鉄住金として新たなスタートを切っていた。
13年4月にスタートした第2ステージ、現中計のメーンテーマは「経営基盤の再構築」と「収益の安定と事業の成長に向けた布石」。経常利益800―1000億円、DEレシオ(負債資本倍率)1・3倍程度を最終15年度目標に掲げた。役員報酬・管理職年棒をカットして背水の陣で臨み、単独での生き残りを賭けて神戸製鉄所の第3高炉休止も決断した。
「経営基盤の再構築」に向けて、鉄鋼事業部門は鋼材事業の黒字化に注力。神戸製鋼グループの総力を結集して収益拡大、体質強化、財務体質改善に懸命に取り組んだ。
この結果、13年度は経常損益が前年度の181億円の赤字から850億円の黒字にV字回復し、14年度も1016億円の利益を計上。1・75倍に悪化していたDEレシオは14年度末に0・88倍まで改善した。15年度も経常利益950億円、DEレシオ1倍以下を予想しており、経営基盤の再構築にめどをつけた。
■将来の布石
「収益の安定と事業の成長に向けた布石」については、鋼材事業の構造改革、機械系事業の戦略的拡大、電力供給事業の拡大などの課題を設定。4000億円を超える成長戦略投資を意思決定し、実行に移してきた。
素材系では、鉄鋼事業が加古川製鉄所への上工程集約に向けた設備投資を本格化。得意とする自動車用高張力鋼板(ハイテン)分野では、米国に続く、冷延ハイテンの中国合弁製造拠点の建設に着工し、特殊鋼線材条鋼分野ではタイのミルコン社との現地線材製造拠点の検討に入った。
アルミ・銅事業は、自動車サスペンション用アルミ鍛造部品の日米中3極供給体制を構築し、中国ではアルミパネルの現地生産を決めた。
機械系では、ブラジルに非汎用圧縮機の営業拠点を新設。コベルコ建機は米国での油圧ショベルの現地生産を決め、コベルコクレーンとの経営統合に向けた検討を開始した。
電力供給事業については、アルミ板の製造拠点である真岡製造所(栃木県)隣接地でのガス火力発電所、神戸製鉄所第3高炉休止跡地での石炭火力発電所の2大プロジェクトの契約に漕ぎ着けた。
■第3ステージへ
「KOBELCO VISION G」で掲げる経常利益2000億円の達成には、更に1000億円程度の利益上積みが必要となる。
海外では、16年初頭に米国の油圧ショベル工場、中国の冷延ハイテン、アルミパネルの製造拠点がそれぞれ操業を開始する。
国内では、鋼材事業での加古川製鉄所への上工程集約効果が17年から具体化。素形材では、船舶用クランクシャフトの世界4割シェアを握る鋳鍛鋼事業が大規模投資効果を発揮するステージに入る。世界有数の総合一貫メーカーとしての強みを持つチタン事業は航空機向け大型部品の出荷が本格化してくる。
電力供給事業は、年間180億円程度の経常利益を稼ぐ神鋼神戸発電所(140万キロワット)に続いて、神鋼真岡発電所(120万キロワット)が19・20年、神戸での増設分(130万キロワット)が21・22年度に営業運転をそれぞれ開始。発電規模を390万キロワットに拡大し、3本目の安定収益の柱となってくる。
来年4月にスタートする第3ステージでは、第1・2ステージで強化した企業基盤をさらに拡充し、戦略投資案件を新たな収益源に育成することが課題となる。
「KOBELCO VISION G」のさらに先を見据え、複合経営企業としての成長余地を収益に結びつける取り組みも始めている。世界でも類を見ない金属総合素材メーカーならではの自動車骨格材のマルチマテリアル化に挑み、燃料電池車用水素ステーション向けの素材、機械のユニット供給ビジネスにも一歩踏み出した。
1905年9月1日に設立され、110年目に入った神戸製鋼の「KOBELCO VISION G」第2ステージの手応え、第3ステージ以降の将来展望と課題を探る。
神戸製鋼所は、2020年前後を見据えた中長期経営ビジョン「KOBELCO VISION G」の第2ステージにあたる現・中期経営計画(2013―15年度)において、連結経常利益1000億円規模の収益力を再構築し、生き残りから勝ち残りのステージに浮上した。さらに経常利益2000億円規模の安定収益構造を目指す「KOBELCO VISION G」の実現に向け、「素材系、機械系に電力供給事業を加えた3本柱の、新たな複合経営体制の礎を築きつつある」(川崎博也社長)。
■経営基盤の再構築
中長期経営ビジョンを公表した2010年春は、米リーマン・ショック後の世界同時不況の影が色濃く残っていた。第1ステージは、初年度に収益回復の糸口をつかみかけたものの、東日本大震災、超円高、タイの洪水などが続いて経営環境が再び悪化し、11・12年度と2期連続の最終赤字を余儀なくされた。この間に3社提携先の新日本製鉄と住友金属工業は、激動の時代に対応するため、新日鉄住金として新たなスタートを切っていた。
13年4月にスタートした第2ステージ、現中計のメーンテーマは「経営基盤の再構築」と「収益の安定と事業の成長に向けた布石」。経常利益800―1000億円、DEレシオ(負債資本倍率)1・3倍程度を最終15年度目標に掲げた。役員報酬・管理職年棒をカットして背水の陣で臨み、単独での生き残りを賭けて神戸製鉄所の第3高炉休止も決断した。
「経営基盤の再構築」に向けて、鉄鋼事業部門は鋼材事業の黒字化に注力。神戸製鋼グループの総力を結集して収益拡大、体質強化、財務体質改善に懸命に取り組んだ。
この結果、13年度は経常損益が前年度の181億円の赤字から850億円の黒字にV字回復し、14年度も1016億円の利益を計上。1・75倍に悪化していたDEレシオは14年度末に0・88倍まで改善した。15年度も経常利益950億円、DEレシオ1倍以下を予想しており、経営基盤の再構築にめどをつけた。
■将来の布石
「収益の安定と事業の成長に向けた布石」については、鋼材事業の構造改革、機械系事業の戦略的拡大、電力供給事業の拡大などの課題を設定。4000億円を超える成長戦略投資を意思決定し、実行に移してきた。
素材系では、鉄鋼事業が加古川製鉄所への上工程集約に向けた設備投資を本格化。得意とする自動車用高張力鋼板(ハイテン)分野では、米国に続く、冷延ハイテンの中国合弁製造拠点の建設に着工し、特殊鋼線材条鋼分野ではタイのミルコン社との現地線材製造拠点の検討に入った。
アルミ・銅事業は、自動車サスペンション用アルミ鍛造部品の日米中3極供給体制を構築し、中国ではアルミパネルの現地生産を決めた。
機械系では、ブラジルに非汎用圧縮機の営業拠点を新設。コベルコ建機は米国での油圧ショベルの現地生産を決め、コベルコクレーンとの経営統合に向けた検討を開始した。
電力供給事業については、アルミ板の製造拠点である真岡製造所(栃木県)隣接地でのガス火力発電所、神戸製鉄所第3高炉休止跡地での石炭火力発電所の2大プロジェクトの契約に漕ぎ着けた。
■第3ステージへ
「KOBELCO VISION G」で掲げる経常利益2000億円の達成には、更に1000億円程度の利益上積みが必要となる。
海外では、16年初頭に米国の油圧ショベル工場、中国の冷延ハイテン、アルミパネルの製造拠点がそれぞれ操業を開始する。
国内では、鋼材事業での加古川製鉄所への上工程集約効果が17年から具体化。素形材では、船舶用クランクシャフトの世界4割シェアを握る鋳鍛鋼事業が大規模投資効果を発揮するステージに入る。世界有数の総合一貫メーカーとしての強みを持つチタン事業は航空機向け大型部品の出荷が本格化してくる。
電力供給事業は、年間180億円程度の経常利益を稼ぐ神鋼神戸発電所(140万キロワット)に続いて、神鋼真岡発電所(120万キロワット)が19・20年、神戸での増設分(130万キロワット)が21・22年度に営業運転をそれぞれ開始。発電規模を390万キロワットに拡大し、3本目の安定収益の柱となってくる。
来年4月にスタートする第3ステージでは、第1・2ステージで強化した企業基盤をさらに拡充し、戦略投資案件を新たな収益源に育成することが課題となる。
「KOBELCO VISION G」のさらに先を見据え、複合経営企業としての成長余地を収益に結びつける取り組みも始めている。世界でも類を見ない金属総合素材メーカーならではの自動車骨格材のマルチマテリアル化に挑み、燃料電池車用水素ステーション向けの素材、機械のユニット供給ビジネスにも一歩踏み出した。
1905年9月1日に設立され、110年目に入った神戸製鋼の「KOBELCO VISION G」第2ステージの手応え、第3ステージ以降の将来展望と課題を探る。
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