2019年10月24日

海外鉄鋼事情【米国編】メタルワンの北中米戦略(上)メタルワン・ホールディングス・アメリカ 三田大樹社長(メタルワン執行役員、北中米統括) 顧客密着型事業を追求 バリューチェーン最適化

――北中米事業の全貌から。

「北中米統括が管轄する事業会社は、MOHAの傘下およびメタルワン直接投資の会社を合わせて100%出資10社、持分法対象6社、一般投資6社の合計22社あり、トータル48カ所の営業・事業拠点でカナダ、米国、メキシコをカバーしている。連結人員は1400人で、うちメタルワンの駐在員が60人。鉄鋼製品の取扱量は年間約600万トン。グループ会社の各社はファースト・ティアの鉄鋼中間流通事業者として育っており、ブランドも広く認知していただいている。1980年代以降、日本製の鋼材トレードを軸に事業基盤を作り、米系を含めた内販モデルに展開してきた。一つ一つ丁寧に積み上げてきたビジネスの集積であり、信頼性の観点でもお客様から評価していただいている」

――主な事業会社について。

「メタルワン・アメリカ(MAI)、メタルワン・メキシコ(MOMEX)がトレーディングと内販を行っている。MAIはシカゴ本社を含め米国6拠点100人体制。MOMEXはメキシコ・シティ本社を含め3拠点30人体制。サービスセンターはコイルプラス、プレートプラス、ニコメタル(3社)グループの3グループ。コイルプラスはシカゴに本社を置き、メキシコ、カナダを含めた11拠点700人体制。プレートプラスは8拠点250人体制。メキシコのニコメタルはアグアスカリエンテス、バヒオ、イダルゴの3社合計で270人体制。コイルプラスは自動車に加えて、電機を含めた製造業全般をカバーする需要地立地の冷延・表面処理鋼板事業モデル。ニコメタルは伸びるメキシコの自動車対応。熱延厚板分野への内販の基盤強化を探る中で、17年にカーギルから買収したのが現在のプレートプラス。本社機能をテキサス州ウッドランズに置き、カーギルから引き継いだ先物デリバティブ関連ビジネスはミネアポリスで行っている」

――エネルギー関連は。

「14年に買収したカナダの鋼管問屋であるカンタックは拠点をアルバータ州カルガリーに置き、カナダ西部のエネルギー鋼管分野で強いポジションにある。米国のJDラッシュ・コープとトライマックスは一対で、カリフォルニア州のJDラッシュカンパニーとの合弁でメタルワングループが株式49%を02年に取得し設立した。トライマックスはパートナーのJDラッシュカンパニーの所在地であるロサンゼルス北部の油井エリア、ベーカーズフィールドで展開する鋼管ねじ切り事業。JDラッシュ・コープはヒューストン地域で事業を展開している。両社合わせて20人規模。ヒューストンにあったMCチューブラー・プロダクツに代わり、17年にMAIにチューブラー・プロダクツ部門を設置。米州鋼管取引全般に対応している」

――ナイファストの現状を。

「自動車、農機向けのボルト・ナットなど線材3次製品であるファスナー類をジャスト・イン・タイムでデリバリーしており、トレーディングの一部機能も担っている。本社はシカゴで、カンザス州、ジョージア州、メキシコ、カナダの5拠点、80人体制」

――持分法会社は。

「シンシナティで自動車用懸架ばね材を製造するネツレン・アメリカ、ロサンゼルスにある鋼管製造のマルイチ・アメリカ、線材2次加工のコベルコCHワイヤ・メキシカーナにそれぞれ出資している」

――米国の鋼材市況は大きく変動してきた。

「指標価格とされるCRUのホットコイル価格は、2017年10月頃から上昇が続き、18年7月にショートトン当たり905ドルをつけた。通商拡大法232条発動により、輸入が減少すると見込んだ流通が手当てに走ったが、鉄鋼メーカーも増産に舵を切ったため需給は緩和。市況は18年8月に軟化に転じ、本年6月末にかけて505ドルまで下がってきた。USスチール、アルセロール・ミッタル、AKスチールなど高炉サイドが生産調整の姿勢を示し、ニューコアなど電炉を含めて鉄鋼各社が6月末からトン40ドルの値上げを相次ぎ3回発表。ホットコイルの指標価格は8月7日に592ドルまでに上昇したが、21日には588ドルに反落。9月11日時点では573ドルと弱含んでいる」

――先行きの見通しは。

「例えばNYMEXの米中西部ホットコイル価格は、国内ミルの相次ぐ値上げで市況上昇期待が高まっていた7月12日の現物が520ドル、4カ月先物は620ドルだった。8月中旬には現物が588ドルまで上昇する一方、先物はバックワーデーションとなっていたが、9月に入ってからは現物が570ドル前後で、先物はわずかにコンタンゴとなった。鉄鋼メーカーは供給を絞ってはいるが、製鋼操業率は80%前後の水準を維持し、在庫は積み上がっている。長短金利の逆イールド現象で20年以降のリセッション懸念が高まるというモメンタムも影響しているようだ」(シカゴ=谷藤 真澄)



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