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2024.12.4
2022年12月29日
1、非鉄金属 国内外で最高値
ロンドン金属取引所(LME)上場商品の現物価格(セツルメント)は3月に銅がトン1万730ドル、アルミが3984・5ドルの過去最高値を記録した。ロシアのウクライナ侵攻がきっかけでエネルギー価格も急騰した。インフレ抑制策として欧米が大幅利上げに動くと円安が急加速。4月に銅建値を137万円に押し上げ昨年10月の過去最高値を塗り替えた。円は10月に一時32年ぶりの安値水準となる1ドル=150円台をつけた。
2、LME ニッケル取引停止
3月8日のアジア時間帯、ニッケル3カ月先物が史上最高値を遥かに上回る10万ドル超に暴騰。流動性を完全に失い、深刻な市場影響を危惧したLMEは異例の取引停止措置に踏み切り、同日の契約を全て無効にした。ロシアへの経済制裁によるニッケル供給懸念と、中国ステンレス大手の青山控股集団の大規模なショートポジションが混乱を招いた。値幅制限という新ルールを設け、取引再開したのは16日だった。
3、DOWAと古河機械金属が小名浜製錬から撤退
DOWAホールディングスと古河機械金属が、小名浜製錬での銅委託製錬から2022年度末での撤退を決めた。小名浜製錬は三菱マテリアルの完全子会社になる。古河機械は買鉱条件悪化などから委託製錬を抜本的に見直し、委託先を日比共同製錬(岡山県)に絞った。DOWAは得意のリサイクル製錬に経営資源を集中する。三菱マテは、小名浜製錬でEスクラップ処理強化などの投資を計画している。
4、JX金属 2000億円投じて茨城県に新工場
JX金属は3月、茨城県ひたちなか市に半導体用スパッタリングターゲットや圧延銅箔・高機能銅合金条など先端素材分野の新工場建設を発表した。上下の両工程をカバーするマザー工場として期待される。投資額は過去最大規模の約2000億円で、2025年度初頭から順次操業を開始する予定。中長期的な成長が見込まれる半導体産業に電子材料を安定供給する。
5、東洋アルミとUACJ製箔の統合発表
今年8月、東洋アルミニウムとUACJ製箔が来年4月に経営統合する基本契約を締結した。東洋アルミを存続会社とし、新会社の上場を視野に入れて投資ファンド・JICキャピタルが新会社の議決権の80%、UACJが20%を保有する。世界的に輸出量が増えている安価な海外製アルミ箔に対し、国産の品質向上や競争力のあるアルミ箔メーカーとしての地位確立を目指し、日本のアルミ箔業界のプレゼンス強化や企業価値の向上を図る。
6、非鉄製品値上げが相次ぐ
非鉄メーカーはコスト増加を背景に相次いで値上げに踏み切った。ロシアによるウクライナ侵攻や円安を受けた原料価格の高騰によるもので、各社は自社努力だけでは上昇分を吸収しきれず工場の操業が圧迫。これを受けて伸銅メーカーは安定供給のため条製品や黄銅棒などあらゆる品種で加工賃改定を行った。アルミ製品メーカーも価格見直しのほか、企業によってはサーチャージ制やフォーミュラ制の導入など前例のない対応を迫られた。
7、脱炭素化アルミ製品誕生
供給網全体の脱炭素化を意識したアルミ製品が相次いで生まれた。UACJは8月に東洋製缶などと世界初の再生材100%使用のアルミ缶を開発。CO2排出60%低減を実現した。12月にはアルテミラが100%再生材のボトル缶の生産を開始。神戸製鋼所も太陽光由来の低炭素地金を用いた板材を国内で初めて量産車に供給する。非鉄建材ではLIXILが再生材を7割使用した押出材「プレミアルR70」をビル建材向けに発売した。
8、アルテミラ・ホールディングス設立
アルミ缶、圧延、箔、押出を担う総合アルミ企業アルテミラ・ホールディングスが7月に誕生した。アルテミラ(旧昭和アルミ缶)の傘下に堺アルミ、MAアルミニウム(旧三菱アルミニウム)、越ハナキャンズ、アルテミラ製缶(旧ユニバーサル製缶)の4社を抱える。将来的な上場に向けて社内組織の統合作業に注力した。脱炭素化を見据え、「顧客に訴求できる製品を展開していきたい」と中塚晃章社長は今後の新製品への考えを示した。
9、エネルギー高、中国ゼロ・コロナが業績圧迫
3月末から5月末にかけての中国上海市におけるロックダウン(都市封鎖)は、部品生産の滞りやサプライチェーン(供給網)の混乱を招くなど、国内の製造業や流通に大きな影響を与えた。また、エネルギー価格の高止まりはコスト高となって企業収益を圧迫した。非鉄製錬大手の中には、電力・燃料をはじめとするコスト上昇などから、下期は想定よりも利益が下振れすると予想する会社もあった。
10、住電HST 値決め方式変更
住電HSTケーブルは今年1月の受注分から、建設用電線主要3品種(CV、IV、CVV)の値決め方式を改定。販売価格へのスライドを、従来の国内銅建値の変動幅トン3万円刻みから1万円刻みに変更した。原料となる銅の相場と販売価格を連動させることで差損益を縮小させることが狙い。副資材価格なども高止まりにあることから、4月には屋内配線用電力ケーブルのVVF(ビニル絶縁ビニルシース平形)の値決め方式も改めた。
ロンドン金属取引所(LME)上場商品の現物価格(セツルメント)は3月に銅がトン1万730ドル、アルミが3984・5ドルの過去最高値を記録した。ロシアのウクライナ侵攻がきっかけでエネルギー価格も急騰した。インフレ抑制策として欧米が大幅利上げに動くと円安が急加速。4月に銅建値を137万円に押し上げ昨年10月の過去最高値を塗り替えた。円は10月に一時32年ぶりの安値水準となる1ドル=150円台をつけた。
2、LME ニッケル取引停止
3月8日のアジア時間帯、ニッケル3カ月先物が史上最高値を遥かに上回る10万ドル超に暴騰。流動性を完全に失い、深刻な市場影響を危惧したLMEは異例の取引停止措置に踏み切り、同日の契約を全て無効にした。ロシアへの経済制裁によるニッケル供給懸念と、中国ステンレス大手の青山控股集団の大規模なショートポジションが混乱を招いた。値幅制限という新ルールを設け、取引再開したのは16日だった。
3、DOWAと古河機械金属が小名浜製錬から撤退
DOWAホールディングスと古河機械金属が、小名浜製錬での銅委託製錬から2022年度末での撤退を決めた。小名浜製錬は三菱マテリアルの完全子会社になる。古河機械は買鉱条件悪化などから委託製錬を抜本的に見直し、委託先を日比共同製錬(岡山県)に絞った。DOWAは得意のリサイクル製錬に経営資源を集中する。三菱マテは、小名浜製錬でEスクラップ処理強化などの投資を計画している。
4、JX金属 2000億円投じて茨城県に新工場
JX金属は3月、茨城県ひたちなか市に半導体用スパッタリングターゲットや圧延銅箔・高機能銅合金条など先端素材分野の新工場建設を発表した。上下の両工程をカバーするマザー工場として期待される。投資額は過去最大規模の約2000億円で、2025年度初頭から順次操業を開始する予定。中長期的な成長が見込まれる半導体産業に電子材料を安定供給する。
5、東洋アルミとUACJ製箔の統合発表
今年8月、東洋アルミニウムとUACJ製箔が来年4月に経営統合する基本契約を締結した。東洋アルミを存続会社とし、新会社の上場を視野に入れて投資ファンド・JICキャピタルが新会社の議決権の80%、UACJが20%を保有する。世界的に輸出量が増えている安価な海外製アルミ箔に対し、国産の品質向上や競争力のあるアルミ箔メーカーとしての地位確立を目指し、日本のアルミ箔業界のプレゼンス強化や企業価値の向上を図る。
6、非鉄製品値上げが相次ぐ
非鉄メーカーはコスト増加を背景に相次いで値上げに踏み切った。ロシアによるウクライナ侵攻や円安を受けた原料価格の高騰によるもので、各社は自社努力だけでは上昇分を吸収しきれず工場の操業が圧迫。これを受けて伸銅メーカーは安定供給のため条製品や黄銅棒などあらゆる品種で加工賃改定を行った。アルミ製品メーカーも価格見直しのほか、企業によってはサーチャージ制やフォーミュラ制の導入など前例のない対応を迫られた。
7、脱炭素化アルミ製品誕生
供給網全体の脱炭素化を意識したアルミ製品が相次いで生まれた。UACJは8月に東洋製缶などと世界初の再生材100%使用のアルミ缶を開発。CO2排出60%低減を実現した。12月にはアルテミラが100%再生材のボトル缶の生産を開始。神戸製鋼所も太陽光由来の低炭素地金を用いた板材を国内で初めて量産車に供給する。非鉄建材ではLIXILが再生材を7割使用した押出材「プレミアルR70」をビル建材向けに発売した。
8、アルテミラ・ホールディングス設立
アルミ缶、圧延、箔、押出を担う総合アルミ企業アルテミラ・ホールディングスが7月に誕生した。アルテミラ(旧昭和アルミ缶)の傘下に堺アルミ、MAアルミニウム(旧三菱アルミニウム)、越ハナキャンズ、アルテミラ製缶(旧ユニバーサル製缶)の4社を抱える。将来的な上場に向けて社内組織の統合作業に注力した。脱炭素化を見据え、「顧客に訴求できる製品を展開していきたい」と中塚晃章社長は今後の新製品への考えを示した。
9、エネルギー高、中国ゼロ・コロナが業績圧迫
3月末から5月末にかけての中国上海市におけるロックダウン(都市封鎖)は、部品生産の滞りやサプライチェーン(供給網)の混乱を招くなど、国内の製造業や流通に大きな影響を与えた。また、エネルギー価格の高止まりはコスト高となって企業収益を圧迫した。非鉄製錬大手の中には、電力・燃料をはじめとするコスト上昇などから、下期は想定よりも利益が下振れすると予想する会社もあった。
10、住電HST 値決め方式変更
住電HSTケーブルは今年1月の受注分から、建設用電線主要3品種(CV、IV、CVV)の値決め方式を改定。販売価格へのスライドを、従来の国内銅建値の変動幅トン3万円刻みから1万円刻みに変更した。原料となる銅の相場と販売価格を連動させることで差損益を縮小させることが狙い。副資材価格なども高止まりにあることから、4月には屋内配線用電力ケーブルのVVF(ビニル絶縁ビニルシース平形)の値決め方式も改めた。
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