2025年3月6日

資源循環に挑む 現場ルポ/平成商会/在阪最大級、全国に集荷網/産廃の中間処理、大型投資も視野



【特長】

創業以来、中古車や自動車部品の輸出販売から雑品の輸出入、鉄・非鉄スクラップの扱いなど時代のニーズに応じて事業を多角化し、各分野で集荷や加工などのノウハウを蓄積。昨年、設立35周年を迎えた。

本社ヤードの敷地面積は在阪業者としては最大級の7300平方メートルを有し、大型構造物の荷降ろしが可能で、通常の加工設備では処理が困難なスクラップの加工やガス切りを得意とする。

炉前材としての品質にも定評があり、ギロチンシャーやプレス機といった加工設備主体の業者とは一線を画し、存在感を増している。

営業面では、適切で迅速かつ遠方でもフットワーク軽く対応する点が顧客に広く受け入れられ、既存の取引先の口コミやインスタグラムといったSNSの活用を通じての新規顧客が増え、全国に集荷ネットワークを拡大している。「地場で発生するスクラップが減る半面、ありがたいことに地方からの入荷が増えている」(柳隆一社長)。

足元の月間扱い量は鉄スクラップで3000トン。近年はマルチ解体機や各種重機を積極的に新たに導入、更新し、荷さばきや選別といった前処理の効率化を進めてきた。売り先は関西圏の電炉メーカーをはじめ、東海や中国、九州など幅広く網羅する。

【展望】

ここ数年、新規参入のスクラップ業者が増え、市中の玉が分散し集荷競争が一段と激しくなっていることから、同業他社との差別化を図るため新事業として産業廃棄物の中間処理業の許可取得を目指している。

また、近郊の同業者とは処理困難物の提供を受ける代わりにギロチン母材を供給するといった良好な関係を築き、これまでは大型設備の導入を見送ってきたが「競争力を高め、企業として存続するにはギロチンシャーの導入も視野に入れなければならない。これまで築いた入出荷先との関係を維持した上で、選別や解体のノウハウを最大限発揮できるような良い形を作っていきたい」(同)。

投資関連では、足元は扱い量の半数近くをガス切りから賄っており、今後の業容拡大や付加価値の向上を目指し、現状よりも大型な構造物の受け入れを可能にするため100トンクレーンの新設を検討する。

人材育成にも引き続き注力し、ガス切りや解体に関するノウハウの共有と継承に努めるほか、現場作業で自動化できる部分については先進技術を積極的に取り入れ、重機の遠隔操作やガス切りの自動化などの技術革新にも期待を寄せる。

採用面ではSNSで作業の様子やスクラップの特長などを都度発信し、求職の前段階で仕事内容をイメージしやすくなるよう工夫する。「社員のモチベーションアップのためにも同族経営にこだわらず、やる気のある社員はしっかり評価していく」(同)。(石橋 栄作)



【概要】

▽所在地=大阪市大正区鶴町4―1―5

▽社長=柳隆一

▽月間取扱量=3000トン

▽主要設備=マルチ解体機、重機2台(マグネット、クロスカッター)、アームロール18トントラック、ヒアブ付きアームロール10トントラック、小型移動式クレーン付き10トントラック、70トントラックスケールなど。

▽従業員=9人