2025年4月17日
鉄鋼業界で働く/ヤマシタ/女性執行役員編 インタビュー/新しい挑戦が成長になる

カーボンニュートラルの観点から注目される鉄スクラップ。実際に選別・加工して国内外のメーカーに供給するのは全国の鉄スクラップ業者だが、3Kとされる労働環境から男社会になりがちだ。そのような中、関東の加工業者のヤマシタ(本社=東京都大田区、山下耕平社長)の厚木工場の石川紀子工場長が、4月1日付で執行役員に就いた。石川さんは同社の女性初の工場長で、女性初の執行役員でもある。昇進を重ねた理由を問うと「目の前のことを一所懸命やってきただけ」と謙遜する石川さんに話を聞いた。
――入社の経緯を。
「2008年に子どもが大学に進学するにあたり、育児が一段落したと考えて事務員のアルバイトとして入ったのがそもそものきっかけです。父が旋盤加工職人で、昔は朝起きたら機械の音がするような環境で寝起きしていましたから、鉄鋼業は身近な業界でした。10年に社員登用され、17年に厚木工場長代理に、19年に工場長にそれぞれ就任し、本年4月に執行役員の辞令を受けました。今は厚木工場長と執行役員を兼務しています」
――現在の業務内容は。
「鉄スクラップの持ち込み客の応対と、加工処理したスクラップの出荷量の調整が主な業務です。厚木工場には13人の従業員がおります。月間取扱量は2000トンほどで、H2が6割。HS―H1相当が3割、新断が1割程度です。出荷先の内訳は輸出が6割、国内電炉メーカーが4割といったところ。私は自身を『重機に乗れない工場長』だと言っており、フォークリフトやクレーンの操縦はできないんです。その分自身の業務に注力していますが、それ以外の部分は、信頼している本間栄一副工場長に助けてもらっています」
――女性の工場長や執行役員は同社初だ。
「工場長に就く前に、当時の社長である山下雄平会長から話をもらいました。驚いたし、自分に務まるか不安もありました。ただちょうどその時期、子どもが大学院進学を悩んでいたので、子どもの夢をかなえてあげたいと思い、お受けしました。給与額が変わりますからね(笑)。執行役員については何年か前に山下耕平社長からお話をいただいていて、今年ようやく正式にお受けしました」
――鉄リサイクル業界をどうみる。
「大多数が手を出していない領域にあえて踏み出すことが重要だと思っています。商慣習や不景気のせいにせず、新しいことへの挑戦は事業の成長のために必要だと考えます。私自身もいわゆる『外回り』の営業をしようと、社員と協力して下準備中です」
――この業界の働き手に女性が増えてほしいか。
「良いことだと思います。ヤードのオペレーター、事務員、営業などに女性が入っても全くおかしくないですし。責任感が強く仕事を円滑に進める能力にたけている女性は多いと感じます。ただ体力的に不向きな作業があることは否めないですね。加えて、当社の拠点には女性更衣室がなかったり、休憩室が男女一緒だったりと、女性を受け入れる業界体質としてはまだ発展途上だともいえるかもしれません」
――今後の目標は。
「一人一人の顧客に、ヤマシタと関わって良かったと思われたいと常日頃から思っています。これはアルバイトとして入った17年前から変わらないこと。もちろん企業活動のことを考えるとただ好かれるだけでは駄目で、双方に利があるような良い関係を築くことが求められます。執行役員として精一杯努力するつもりです。少し前までは厚木工場のことでいっぱいいっぱいだったのですが、ここ最近、徐々に会社全体のことを考えられるようになりました。社全体の利益を考えて営業活動をしていきたいし、新しいことを内外に発案できるようになりたいですね」(松井 健人)
鉄鋼業界で活躍する女性をはじめとした多様な人材、未来を担う人材を、随時紹介していきます。
――入社の経緯を。
「2008年に子どもが大学に進学するにあたり、育児が一段落したと考えて事務員のアルバイトとして入ったのがそもそものきっかけです。父が旋盤加工職人で、昔は朝起きたら機械の音がするような環境で寝起きしていましたから、鉄鋼業は身近な業界でした。10年に社員登用され、17年に厚木工場長代理に、19年に工場長にそれぞれ就任し、本年4月に執行役員の辞令を受けました。今は厚木工場長と執行役員を兼務しています」
――現在の業務内容は。
「鉄スクラップの持ち込み客の応対と、加工処理したスクラップの出荷量の調整が主な業務です。厚木工場には13人の従業員がおります。月間取扱量は2000トンほどで、H2が6割。HS―H1相当が3割、新断が1割程度です。出荷先の内訳は輸出が6割、国内電炉メーカーが4割といったところ。私は自身を『重機に乗れない工場長』だと言っており、フォークリフトやクレーンの操縦はできないんです。その分自身の業務に注力していますが、それ以外の部分は、信頼している本間栄一副工場長に助けてもらっています」
――女性の工場長や執行役員は同社初だ。
「工場長に就く前に、当時の社長である山下雄平会長から話をもらいました。驚いたし、自分に務まるか不安もありました。ただちょうどその時期、子どもが大学院進学を悩んでいたので、子どもの夢をかなえてあげたいと思い、お受けしました。給与額が変わりますからね(笑)。執行役員については何年か前に山下耕平社長からお話をいただいていて、今年ようやく正式にお受けしました」
――鉄リサイクル業界をどうみる。
「大多数が手を出していない領域にあえて踏み出すことが重要だと思っています。商慣習や不景気のせいにせず、新しいことへの挑戦は事業の成長のために必要だと考えます。私自身もいわゆる『外回り』の営業をしようと、社員と協力して下準備中です」
――この業界の働き手に女性が増えてほしいか。
「良いことだと思います。ヤードのオペレーター、事務員、営業などに女性が入っても全くおかしくないですし。責任感が強く仕事を円滑に進める能力にたけている女性は多いと感じます。ただ体力的に不向きな作業があることは否めないですね。加えて、当社の拠点には女性更衣室がなかったり、休憩室が男女一緒だったりと、女性を受け入れる業界体質としてはまだ発展途上だともいえるかもしれません」
――今後の目標は。
「一人一人の顧客に、ヤマシタと関わって良かったと思われたいと常日頃から思っています。これはアルバイトとして入った17年前から変わらないこと。もちろん企業活動のことを考えるとただ好かれるだけでは駄目で、双方に利があるような良い関係を築くことが求められます。執行役員として精一杯努力するつもりです。少し前までは厚木工場のことでいっぱいいっぱいだったのですが、ここ最近、徐々に会社全体のことを考えられるようになりました。社全体の利益を考えて営業活動をしていきたいし、新しいことを内外に発案できるようになりたいですね」(松井 健人)
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