2000.01.26
三 井金属系列の神岡鉱業鰍ヘ、亜鉛海外鉱を主体にして、亜鉛相場1000ドル・為替1ドル=100円の条件で利益を出す中期計画を立案する。亜鉛生産年6万2000トンを前提に間接経費の圧縮によって年7―8億円のコスト削減を行う。これによって内陸の亜鉛製錬所として生き残る方針である。

 同社は99年度で、亜鉛精鉱4万トン(品位・亜鉛59%、鉛0・5%、トン当たり銀65グラム)、鉛精鉱2000トン(亜鉛9・5%、鉛64%、銀3762グラム)、電気亜鉛6万2000トン、電気鉛3万トン、電気銀46トン、粗金516キロ、硫酸11万トンを生産する予定。このほかに、金属粉、アルミ電解箔の加工、EL(発光体)などを行っている。

 主体は亜鉛鉱石と亜鉛製錬で、96年以降黒字基調にある。事業が多角化しているが、それでも亜鉛部門の採算が同社のポイントとなっている。

 その亜鉛事業では、亜鉛鉱石がいずれ枯渇することになるため、将来は海外鉱石依存の内陸製錬所として経営していかなければならない方向にある。

 神岡鉱山は、現在の保有亜鉛鉱量が1500万トン(品位は亜鉛4%、鉛0・4%、トン当たり銀24グラム)だが、低品位で、岩盤状況により採掘は限定される。いずれ採掘停止の事態となる見通し。

 これに備えて、100%海外鉱石(現在60%)での生産で採算をとる計画を作ることとしている。

 同製錬所は富山港から50キロに位置しており、海外鉱石は、富山から貨車ないしはトラック輸送を行っている。この横持ち費用が年2億―3億円かかる。

 一方、安い自家水力発電(1kwh1―1・5円)によって亜鉛製錬の77%の電力をまかない、残りは北陸電力の夜間電力を購入している。

 この電気料金の安さと、横持ち費用の金額が相殺されて、内陸製錬所の運送費の高さは解消される計算となっている。

 しかし、三井金属系列の臨海製錬所である彦島製錬(亜鉛生産年8万4000トン)に比べると年7億―8億円経費が多くかかっている。

 これは、神岡の事業が採掘、亜鉛製錬、鉛製錬、金属粉、化成品、ELなど多岐にわたっているため、補助管理部門(工作、業務、保安環境、総務経理)が工場から独立した組織で所帯が大きいことや、下請けの作業員に比較的多くの業務を依存していることによる。

 このため、補助管理部門を、それぞれの部門に入れて人員を減らし、下請けの仕事も社員が行うなどの対策をとる。

 これらの手法によって、年7億―8億円の経費を削減して、海外鉱石100%、LME亜鉛相場1000ドル、為替1ドル=100円でも利益の出る体質とする。

 斎藤修二・神岡鉱業社長の話 彦島製錬に比べると間接経費が高い。亜鉛と鉛の工場に補助管理部門の人員を各工場に集約する。亜鉛の採集率も目標の98%(現在96%から97%)にまで高め、電力原単位も目標の1トン当たり3060キロワットアワー(同3100キロワットアワー9)にまで下げる。

日 本ガイシが製造しているベリリウム銅7合金の販売が伸びている。価格は競合材料であるリン青銅の約2倍と高価だが、ベリリウム銅の代表品種である25合金の半値というのが武器。同社が7合金を製品化したのは10年ほど前で、当時の販売量は月10トン未満だったが、ここ2―3年で同50―70トンまで拡大。主にノートパソコンや携帯電話向けの需要が増えているという。

 7合金は銅―ベリリウム―ニッケル―コバルトが主成分。25合金に比べてベリリウムの添加量は少ないが、アルミを添加しているのが特徴。引っ張り強度は1平方ミリ当たり約850ニュートンで25合金より劣るものの、リン青銅よりは高強度を確保。また、導電率は約40%と25合金より優れているうえ、高温下でもバネの接触圧が下がりにくいという応力緩和特性にも良好な性能を示す。

 価格はキロ当たり2000円以下でリン青銅と25合金の中間。これまで、ベリリウム銅は高級バネ材としてのイメージが強かったが、低価格化を実現。近年急速に進むパソコンや携帯電話などの低価格化も要因となり、7合金を採用する需要家が急増。最終的にはコネクターやスイッチ、リレーなどの接点材料として利用されている。

 日本ガイシは国内唯一のベリリウム銅の一貫メーカー。製造拠点は国内の知多事業所(愛知県半田市)のほか、米国とフランスにも進出。生産状況については、電子機器業界の活況を背景に昨年春からフル生産に入っており、知多事業所からの出荷量は月300トン(中間材ベース)規模に達している。

日 本電線工業会はこのほど、99年(1―12月)の電線受注・出荷速報をまとめた。それによると銅電線の受注は前年比2・6%減の90万4247トンと3年連続で減少し、出荷も同5・1%減の90万2592トンと2年連続で減少した。出荷ベースでは電力、その他内需向け、輸出の3部門が2ケタ落ち込んだ。

 1―12月の受注は、東南アジア向けを中心にした輸出が前年に比べ11・2%増の5万トン台に乗せたが、内需は3・4%下回った。内需は自動車向けの3・8%増を除き、通信向け3・8%減、電力向け4・9%減、電気機械向け3・3%減、建設・電販向け2・2%減、その他内需12・3%減といずれもマイナナス。

 出荷は、内需が4・7%減少して90万トンを割り込んだ。輸出も10・9%減と2ケタ減少。内需は自動車向けが軽自動車の規格変更に伴い4・3%伸びたほか、各部門とも減少。

 通信向けは光ケーブル化や通信会社の設備投資抑制により1・6%減。電力向けも電力会社の投資抑制の影響で14・1%減。電気機械向けは家電、AV(音響・映像)分野の需要減や海外生産化を背景に4・5%減。建設・電販向けは建設需要の低迷から2・1%減。その他内需も民間企業の設備投資抑制により11・1%減少した。

 アルミ電線の受注は電力向けを中心に1・2%減の5万9340トンと3年連続で減少、出荷も29・2%減の5万2557トンと2年連続で減少し、ともに5万トン台に落ち込んだ。

三 菱商事・メタル事業部はこのほど、当面の非鉄地金相場見通しをまとめた。それによると銅は3カ月先物で1825―1920ドル、亜鉛は上昇傾向で急騰の可能性もある。ニッケルは同8000ドルを超える水準で推移する――としている。

 【銅】市場には、さらに上値に対する期待感が高く、好景気に沸く米経済にリードされ株・債券高が続く一方、今後も好調な経済を先取りしたファンド・投機筋の買いが商品市場全体を押し上げる重要な要素をとなる可能性があり、銅相場もこれ乗じて堅調に推移するものと予想される。

 前回のチャートポイントであった1850ドルが当面の下限サポートになっており、これを割り込んだ場合には1820―1830ドルへの本格的な調整も有り得るが、チャート的に上昇トレンドが崩れることなく、短・中期的には同レンジが格好の押目買いポイントになりそう。

 また、コメックス銅相場も好調な景気動向を反映して、活発なファンド筋の買いが入ることが予想され、わずかに縮小したとはいうもののLMEとの価格差において、コメックス割高となっている状況が続く限りコメックス主導で銅相場がリードされる可能性もあり注目したい。

 【亜鉛】需給では大幅に動く要因なく、むしろ弱含みであるが、12月のLMEディナーでは多くのリングメンバーが強気の1200ドル近辺を予想しており、ファンド筋からの資金流入が力強いことがうかがえ、上昇要因があるといえる。

 期先の逆ザヤが緩やかになったとはいえ、在庫は低いレベルにあり、相場急騰の危険が去ったとはいえない。

 【ニッケル】昨年に引き続き需給バランスがマイナスになっていることから、今後も上昇基調が続く可能性がある。価格も引き続き8000ドルを超える水準で推移する見通し。

住 友金属鉱山は3月までに子会社のJCOの賠償問題にメドをつけ、4月から始まる2000年度において、昨年から行っている 「企業再生計画」を一段と推進する方針である。新年度においては、資源、金属、電子材を重点部門として展開していく方向にある。

 当面の最大の問題であるJCOの臨界事故の損害賠償問題は、被爆者70人のほかは、風評被害が多数に上り、請求件数は6500件、このうち、団体と個人で重複しているものがあるので、整理すると4000件台。請求金額は茨城県まとめで157億円となっているが、これは請求金額を単純に加算したもので、金額の重複がある。

 その一方で、新たに金額が追加される可能性もあるので、全体の金額については流動的である。

 この中で昨年末までに茨城県と東海村を窓口として50億円を被害者に仮払いしている。これについては精査はしていない。

 今後の保障については、茨城県を窓口などとして2月初旬から支払いを再開し、3月末までに終わらせたいとしている。

 ただし、請求者側には被害によって失われたとする売上高を要求金額としているものがあり、失われた利益を対象とすべきだとする住友金属鉱山側と見解が分かれていた。

 これについては、業種別に、利益に加えて経費を認める範囲を決めて、賠償金額を確定したいとしている。個別交渉で解決していくこととしている。

 賠償金額に充てる資金は、運転資金で賄っているが、これからの資金について住友金属鉱山がJCOに融資する形になった場合は、特別の対策を取るようだ。ちなみに、保険機構からは10億円の保険金がJCOに交付される。事実上は住友金属鉱山が大半の賠償費用を持つことになるようで、この資金の捻出のためにいずれ資産の売却などを行うものとみられる。この点については検討中としている。

 ともあれ、今年度中にこの問題を解決し、新年度からは一層の収益力を高めるために、「企業再生計画」を強力に推進する。

 今年度で懸案となっていた住宅建材事業の抜本的再建、伸銅事業の再構築が終了したため、2000年度では重点部門である資源、金属、電子材料を強化していく方向にある。

加 アルキャン・アルミニウム社および米フォード・モーター社は24日、マルチ―イヤー・アルミニウム・サプライ・アグリーメントを締結したと発表した。長期契約を結ぶことでフォード社はアルミ消費拡大に向けての調達コスト予測が可能となり、アルキャン社にとっても安定供給先を確保するとともに自動車のアルミ化進行に直接かかわることができるというメリットがある。

 両社によると、アルキャン社はフォード社に対してアルミ地金、鋳物用アルミ合金、ボディー用シートなどのさまざまなアルミ製品を供給するとともに、技術面からのサポートも行う。フォード社はアルキャン社から月間当たりの最低購入量を設定、長期的に安定的な価格で地金を調達する考え。

 年間契約量など詳細は明らかにされていないが、フォード社は従来の熱交換器用のアルミ・フィンストックの購入契約に加え、アルミ・ボディー・シートの最低50%、ホイール用合金の25%をアルキャン社から調達することになるという。

 環境規制が強化される中、燃費向上や排ガス低減のための車体軽量化が自動車メーカーにとって大きな課題となっている。安定調達・加工性などからアルミ化が軽量化の近道とされているが、地金相場が大きく変動することがネックとなっており、GM社やフォード社はアルキャン社と長期契約を結ぶことでコスト安定化を図るスタンスにある。

 アルキャン社は「世界の自動車業界向けのメーン・サプライヤー、戦略的パートナーを目指しており、フォード社との契約は大きな一歩となる」(J・ブージー社長兼CEO)とコメントしている。

三 井金属は25日、1月積みの亜鉛建値をトン当たり3000円値下げして16万3000円に改定すると発表した。平均建値は16万4600円となる。

 25日入電のLMEセツルメンは1174・5ドルで円換算12万5260円、関税4300円を加えて12万9560円、諸掛かり3万3440円。

 これに伴ってダイカスト用合金も3000円値下げした。新価格はZACbP=20万1000円、同bQ=21万1000円、ZAS=22万1000円。