2000.07.13
鉱 業審議会は12日、第60回鉱山部会(部会長=秋元勇巳・三菱マテリアル会長)を開催、(1)最近の非鉄金属資源産業をめぐる動向(2)深海底鉱物資源開発の現状と今後の方向(3)レアメタル備蓄制度の見直し、などについて審議した。この中で特にレアメタル備蓄制度に関し、対象となる現行7鉱種の追加を含めて見直すほか、売却制度の弾力化、緊急時マニュアルなども検討する方向性を確認した。具体的には同部会の下部組織として「レアメタル対策分科会」を設置し、その中で討議していくことになった。

 同部会の冒頭、河野博文資源エネルギー庁長官は「昨年9月に(エネ庁長官に就任してから)JCO東海原子力事業の臨界事故やキルギスの鉱山技師人質事件など内外で憂慮すべき事件が起きた。今後は安全対策を強化するとともに海外資源開発のシフトに伴い連絡体制を整備していきたい。また、レアメタル備蓄制度の見直しなど今日の部会の討議内容を踏まえ、今後の鉱業政策に反映していきたい」とあいさつした。

 同部会の討議概要は次の通り。

 【レアメタル備蓄制度の見直し】  ▽備蓄目標=現行7鉱種は1983年に創設されたもので、当時とは供給国の政情不安、鉱山事故、ストライキなど供給リスクが変化している現状を評価し、まず、備蓄目標を見直す。また、7鉱種以外に新たな鉱種を追加することを含めて検討。電子材料など需要先が多岐にわたり、レアメタルの取引・使用実態について情報収集を強化する。

 ▽売却制度の弾力化=98年4月および6月、国際市況が高騰した際、バナジウムを放出・売却し、市場価格を抑制する効果も見られた。放出量・価格とも同制度を緊急時および高騰時ともにより弾力的に運用したい。

 ▽レアメタル対策分科会を設置=レアメタル備蓄制度を見直すため鉱山部会の下部組織としてレアメタル対策分科会を設置する。メンバーは主査が深海博明・慶応大学経済学部教授で、委員は学識経験者、危機管理研究者、電子材などユーザー業界、金属鉱業事業団などで構成する。

 【非鉄資源産業の現状】  ▽安定供給の課題と対応の方向性=主要地金の国内供給は消費量の7―8割を満たしているが、鉱石輸入は海外に大きく依存。このため、わが国非鉄産業は海外鉱山開発に参加し、国内向け鉱石供給の増加を図っている。

 ▽世界の供給構造=アジア地域の非鉄消費は世界的な増加を上回るペースで急増中。特にここ数年、アジア地域の銅鉱石は世界の半分を占め続けて、供給不足も懸念される。

 ▽海外探鉱支援の必要性=非鉄メジャーの経営のように長期的な収益向上が課題で、直接投資による戦略的な鉱山開発を推進することが重要。資源保有国においては鉱業法規の整備とともに鉱害防止など環境対策を念頭に置いた持続可能な鉱山開発を進める。

 【深海底鉱物資源開発】  ▽今後の方向=マンガン団塊は先行投資国と連携しつつ、探査契約に向けた取り組みを図る必要がある。海底熱水鉱床、コバルトリッチナラスト鉱床については機構における規則案審議に積極的に参加、条約上、先に業務計画の承認を得たものに探査および開発の排他的権利が与えられる。これら鉱床の探査・開発戦略の検討を進めることが重要。

環 境庁は12日、バーゼル法(特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律)に基づいて行った平成11年(暦年)の通告・承認の施行状況結果を公表した。それによると、承認を受けて実際に輸出入された数量は、前年からほぼ倍増し、輸出が比較的固定ルートでロットが大きく、輸入は小ロットでルートが幅広い傾向がうかがえる。

 輸出は、申請を受けて環境庁から輸出相手国に対して事前通告を行ったものが6件、輸出予定量は7400トンで、前年比で件数は2件減、数量は約80%減。

 相手国からの輸入動意の回答を受けて通産省が輸出を承認したものは6件、1万2900トンで、前年比で件数は1件増、数量はおよそ倍増。

 また、輸出が承認されたうち、実際に輸出され移動書類の交付を受けたものは39件、2926トンで、前年比で件数が1件減、数量は倍増。

 輸出品目内容は、銅、錫、鉛、金、銀、コバルト、タングステンなど金属類回収を目的とするもので占められ、最終処分を目的としたものはなかった。

 実際に輸出された中で、相手国総数は4カ国。最多相手国は韓国で、鉛スクラップが23件、計2170トン。

 一方、輸入は、相手国から日本への輸出について事前通告を受けたものは23件、輸入予定数量は1万1753トンで、前年比で件数が10件増、数量は80%増。

 輸入者からの輸入承認の申請により通産省が承認し、環境庁が相手国に対し輸入同意の回答を行ったものは20件、8579トンで、前年比で件数は7件増、数量は倍増。

 また、輸入が承認されたうち、実際に輸入されて通産省が輸入移動書類を交付したものは65件、1939トンで、前年比で件数が23件増、数量は倍増。

 輸入品目内容は、銅、銀、白金、クロム、ニッケルなど金属類の回収、使用済み蛍光体・液晶などの再生利用、触媒からの成分回収などを目的としたものだった。

 実際に輸入された中で、相手国総数は10カ国。最多輸入相手国は米国で、貴金属粉が26件、計661トン。ほかに目立ったのはマレーシアから輸入された銅分回収を目的とした使用済み触媒で4件、468トンなど。

亜 鉛製錬メーカーによると、本年度上半期(4―9月)の国内亜鉛地金需要は前年同期実績(29万4300トン)を上回り、30万トンを超える見通しである。主力需要の亜鉛鉄板向けが堅調で、伸銅やダイカスト向けも微増と見込まれるためであり、通産省見通し(30万1500トン、前年同期比2・4%増)に近い水準が予想されている。

世 界の主要半導体・フラットパネルディスプレー(FPD)製造装置・材料メーカー2430社で構成するSEMIはこのほど、2000年度カレル・アーバネック記念賞を信越半導体の熊井貞勇顧問に授与した。

 同記念賞は、SEMIの標準化活動で傑出したリーダーシップを発揮したスタンダードメンバーに授与されるSEMIグローバルスタンダード最高栄誉賞。熊井氏の受賞理由は、日本地区スタンダード委員会委員長として発揮したリーダーシップと、SEMIの標準化活動のグローバル化のための運営手続き・国際統一を推進した功績による。

 熊井氏は92年からシリコン・ウエハー技術委員会幹事、材料部会長を歴任した後、98年から日米欧の標準化手続きを国際的に統一するために「SEMIスタンダード作成手順ガイド」の制定を推進。SEMIは今月10―14日に米国のサンフランシスコ、サンノゼで開催した半導体製造装置・材料の国際展示会「セミコン・ウエスト2000」の2日目に同会場で熊井氏を表彰した。

住 友電工はこのほど、通信事業者や構内ネットワーク向けに地域系WDM伝送装置「ダイレクト・ウェーブ・メトロ」を開発した。

 通信事業者はインターネットの進展により、広帯域通信網の拡充が必須となっている。このため、需要に応じて伝送容量の増大を容易に実現できるWDM(波長多重伝送)装置の導入が幹線系から進められている。

 新製品は、通信事業者向けの伝送品質の維持、低価格化とともに、監視機能を地域系向けに絞り込んでいる。2芯のシングルモード光ファイバーを使用し、40―60キロメートルの伝送区間に対して1から16チャンネルまで順次に増設できる仕様。

 また、SNMP(インターネットで標準のネットワーク管理方式)で使用する管理情報データベースMIBをWDM用に拡張し、WDM機器・線路を監視する統合監視ソフト「M/コア・オネスト」の利用も可能。今後は監視装置のコンパクト版、プロテクション機能を製品化するとともに、伝送装置の小型・低コスト化をさらに進める方針。