2000.10.18
古 河電工のタイ現地法人・フルカワ・メタル・タイランド(FMT)は2003年まで段階的に銅管生産を月3000トンに倍増する。タイ国内で急増している日系のエアコンメーカーに内面溝付き銅管を安定的に供給するためで、FMTを統括する古河電工の小泉伸太郎・常務金属カンパニー長が16日の記者会見で明らかにした。同カンパニー長はFMTの倍増計画のほか、三重事業所を電子材に特化するなど国内の板・条、銅管の生産体制などについて次のようにコメントした。

 【FMT3000トン倍増】  FMTの2000年上期銅管生産実績は月平均1500トンで前年同期比10%ほど増加した。FMTはタイ国内の需要増に伴い順次、生産能力を上げている。溶解・鋳造能力は3000トンの能力を有しているため今後の需要増には十分に対応していける。

 今回、この上工程キャパを中間加工工程へと生かしていくため03年まで向こう3年間、2段階方式で必要な設備の増強などを実施していく方針を決めた。ただ、銅管の需要動向には注視していきたい。

 【三重、電子材シフト】  下期の生産計画のうち、けん引役の板・条は4600トン(月間)で前年同期比3%増加する。内訳は銅・銅合金条3000トン、黄銅条1000トン、リン青銅600トン。

 三重事業所は自動車用ラジエーターから電子材へと転換中で、ポストラジエーターの目玉の一つとしてリン青銅条に力点を置いている。三重事業所はかつてラジエーター材を1800トン生産したが、現在は300トンまで減少した。

 リン青銅は日光と三重両事業所で製造しているが、いずれ日光は銅・銅合金を中心にする考えで、日光で生産しているリン青銅を三重にシフトする。こうした日光、三重両事業の役割分担・強化策を含め、板・条全体の生産キャパを現行の4500トン前後から5000トンの大台を目指す。

 【銅管減産傾向へ】  大阪事業所の銅管生産は2500トンで前年同期より2%ほど減少する。

 銅管の主な需要分野であるエアコン実販を振り返ると、2000冷年(99年10月―00年9月)は当初予想の650万台を50万台ほど上回って3年ぶりに700万の大台に達した。このため200万台近くあったエアコン在庫は50万―60万台減少したが、エアコン各社は在庫を持たない「トヨタ方式」を採用しているためか、この在庫減を補充するための銅管発注がなかった。

 01冷年も在庫積み増しがないままで推移し、その必要分はエアコン各社とも海外からの持ち帰り、いわゆるアウト・インで補充されることなるのではないか。

三 菱電線工業(阿島俊一社長)は17日、金型・樹脂成形品製造のタイ合弁会社、MCIモールド社(MCIM、サムットプラカーン県バンプリー工業団地、小玉伸社長)の製造設備を従来に比べて金型で約2倍、成形品で5倍に拡充したと発表した。同国の需要増大に対応するためで、MCIMの売上高は200年度1億4000万円、2001年度2億2000万円、2002年度2億8000万円を見込んでいる。

三 菱電線工業は17日、タイに自動車部品・機器部品営業の新会社、MCIT社(サムットプラカーン県パンプリー工業団地)を今月16日付で設立した、と発表した。今月末から業務を開始する。

 新会社は資本金400万バーツ(約1000万円)、三菱電線の出資比率は70%、残り30%は子会社の菱星電装。社長は村田收氏(三菱電線部品事業本部長付)。従業員は7人、うち日本からの出向は1人。

 新会社の事業内容は、自動車部品、機器部品を中心としたアセアン全域への営業活動で、当面はコネクターの輸出をメーンとするほか、自動車用ハーネス、コネクター、ガスケット、産業用シール製品などを販売。

 売上高見通しは2000年度(10―12月)3000万円、2001年度1億5000万円、2002年度2億9000万円。

 三菱電線はインドネシアに自動車用ハーネス製造のDECSI社、ガスケット製造のMPG社、タイにコネクター製造のTSMCI社、金型・成形品製造のMCIM社の4製造拠点を設置。新会社は同4社の製品を中心に顧客密着型の営業を国内営業と連携して展開する。なお、事務所はMCIM社の一角に置く。

三 井金属は17日、10月積み亜鉛建値をトン当たり3000円下げて15万8000円に改定すると発表した。これは6月末以来3カ月半ぶりの安値。10月の平均建値は16万1300円となる。

 17日入電のLME亜鉛セツルメントは1093ドルで円換算11万9192円、関税4300円を加えると12万3492円、諸掛かりを3万4508円とみている。

 これに伴い、ダイカスト用亜鉛合金販価も3000円下げ、ZACNo.1=19万6000円、同No.2=20万6000円、ZAS=21万6000円とした。

関 東地区の大手アルミ二次合金メーカー各社は10月後半受け入れ分のアルミスクラップ購入価格を上物系でキロ3円、スソ物系で同5円それぞれ引き下げる方針を固め、関係納入筋に通知した。指標の新地金相場が下落しているうえ、入荷が引き続き好調なことを反映した。

 この結果、当面の二次合金メーカー購入価格(置き場・現金)は新切れ・印刷板で126―131円、63Sサッシで124―129円、一品合金で105―108円、ベースメタルで119―124円、機械鋳物で92―97円どころが一応のメドと推測される。

 新地金相場はLMEが約2カ月ぶりに1520ドル台まで下落、為替も円高に進んだことで国内相場は月初から7円程度値下がった。

 一方、原料スクラップの入荷は各社とも引き続き順調で、「とくに切り粉などスソ物系が潤沢」(大手合金メーカー購買担当者)として、5円の引き下げを決めた。また、軽圧メーカーとの競合関係にある新切れなど上物系は3円下げにとどめる考え。