2007年11月05日(月)
 ロンドン金属取引所(LME)の銅、鉛、亜鉛の3地金在庫が急増している。銅はアジアや北米の増加が顕著になっており、10月末時点では今年最も少なかった7月から60%増えている。現物需給がひっ迫している鉛も欧州を中心に9月末から75%も在庫が増えた。亜鉛も9月末より27%多い水準となっており、取引所在庫の増加が国際相場を押し下げる一因となっている。
 アルミ二次合金各社と、ダイカスト・メーカーをはじめとする需要家筋との間で進められていた10月積み製品値決め(後決め)交渉は、「ほぼ横ばいで決着。一部でキロ2―3円の値下げにとどまった」(複数の合金メーカー営業担当者)ようだ。

 この結果、代表品種であるAD12・1の関西地区の小口向け価格はキロ293―297円(最終需要家渡し、120日手形ベース)と、高値もついに300円を切り込んだ。合金各社は製品需要が高水準をキープしている一方、原料高に拍車が掛かっていることや、エネルギー・コストの上昇、金属シリコンなど副資材の高騰を理由に「11月は需要家筋にキロ10円以上の値戻しを要請していく」方針。
 市場への浸透がほぼ一巡した感もあり、一時よりあまり騒がれることがなくなった鉛フリーはんだの話題だが、残る産業機械分野では鉛フリー化が遅々として進んでいない。産機は、弱電に比べてより高い耐久性が求められる分野であるが、実装に関しての現場の技術蓄積は少なく、鉛フリーの認知度も低いのが実態のようだ。

 昨年7月に欧州環境規制「RoHS指令」が発効になり、電子・電気機器に含まれる鉛の除去が義務付けられ、弱電関係の国内大手セットメーカーは製品の鉛フリー化を世界に先駆けて完了させた。現在、国内の鉛フリーはんだの実装率は70%近いともいわれている。

 欧州市場に輸出される可能性がない産業機械は、鉛フリー化を強いられる法的根拠はないものの、中長期的な視点で見ると、はんだユーザーの大半が鉛フリーはんだを採用する時勢には逆らえないと考えられている。