2000.05.19
丸 紅は中国石油天然気総公司(チャイナ・ナショナル・ペトロリアム・コーポレーション=CNPC)と合弁で、中国初の本格的な大径溶接鋼管(ベンディングロール)工場を建設する―と19日発表した。両社は18日、河北省の外商投資会談会で「巨龍鋼管有限公司」設立の調印を交わした。

 巨龍鋼管(JULONG・STEEL・PIPE)は河北省の滄州市に立地、来年10月に操業開始の予定で、年産能力は10―15万トン。資本金は2億4820万元(約3000万米ドル)、出資比率は丸紅25%、CNPC70%、その他(中国資本)5%。

 中国は今年3月の全国人民代表者会議で「西部大開発」を採択、この事業の中核としてウルムチ・上海を結ぶ4200キロメートルのパイプライン「西気東輸」計画が本格的に動き出した。このほかにも石油・ガス用パイプラインの計画が目白押しとなっている。

 ところが中国内では高品質のストレート・シームの大径鋼管を製造できないため、CNPCの強い要請と中国政府、河北省、滄州市の全面支援を受け、合弁事業の合意となった。

 西気東輸計画は投資総額1200億元(145億ドル)を見積もり、長距離パイプラインを敷設し、西部から年間120億立方メートルの天然ガスを上海に輸送し、発電所や都市ガスとして利用しようというもの。

 今年中に事業計画を作成して来年着工、2003年完成のスケジュールとなっている。

日 本輸出組合の米国弁護士事務所から得た情報によると、米国鉄筋棒鋼業界は今月末までに、米国に輸入される鉄筋用棒鋼についてアンチ・ダンピング提訴に踏み切る公算が大きくなってきた。日本からの輸入は99年実績では韓国、ラトビアに次ぎ3番目となり、輸入相手国としてのウエートも大きい。さらに現地では日本製鉄筋用棒鋼の平均単価は安いといった指摘もあるといわれ、日本もAD提訴の対象国となる可能性も高い。

 現地からの情報では、米国メーカーのバーミンガムスチールが主導して、米国鉄筋棒鋼活動同盟が月内にもAD提訴する可能性が強まっていると伝えられている。

 通産省では、かねて米国で鉄筋用棒鋼AD提訴のウワサがあるとして、注意を喚起してきた。このため日本からの鉄筋用棒鋼の対米輸出量は減少してきている状況だ。

 さらに、米国との鉄鋼貿易摩擦が対米輸出の大幅減や米鉄鋼メーカーの業績回復を背景に鎮静化してきている中で、逆なでする動きとなり、「もし情報通り提訴されることになれば、極めて遺憾な事態」(奥田真弥鉄鋼課長)として懸念を強めている。

住 友電気工業(本社=大阪市、岡山紀男社長)は、伊丹製作所(兵庫県伊丹市昆陽)に設置している20トン電気炉2基を40トン炉1基にリプレースすることになった。設備が老朽化してきたのに加え、生産性の向上によるコストダウンを目的としたもので、8月から工事に着手し10月の稼働開始を目指す。

 同社・特殊線事業部は、伊丹製作所内に20トン電気炉を2基構えPC鋼線、ピアノ線、オイルテンパー線、硬鋼線、スチールコードなどを月間1万3000トン程度生産している。月間1万トン程度を自社で電炉製鋼し、残りについては他社からビレットの購入を行っているが、2基の20トン電炉はそれぞれ1962年、67年に稼働を開始しており、設備的に老朽化が目立ってきている。また2基体制のため要員面でも2チームの作業グループが必要となっていることから、約3億円を投入して電気炉を40トン炉1基にリプレースすることにしたもの。

 新たに設置する40トン電気炉は、大平洋金属が八戸工場でステンレスのビレット生産用に使用していた電炉で、稼働開始から7年を経過している。今後の計画としては8月から更新工事に着手、10月からの本格営業生産を目指す予定だが、20トン炉については8月に1基を廃棄し、新電炉の稼働後にもう1基を廃棄する。

 今回の設備更新では生産数量自体は従来と同水準にとどめることにしており、連鋳以下の設備についてもほとんど変わらないが、要員面での合理化に加えタップタップの時間も短縮できるなど生産性の大幅な向上が見込まれている。

モ リ工業は18日、森宏明専務が社長に昇格すると発表した。森明信社長は代表権を持つ会長に就任する。このほか、竹田隆明専務が副社長に昇格する。(いずれも6月29日付)

 〔その他の役員異動〕

 ▽専務=辰巳有(常務)

 ▽新任(非常勤)監査役=竹田重久(社外監査役、現森教育振興会副理事長)、打垣内尚雄(社外監査役、現東洋シヤッター特別顧問)

 ▽退任=非常勤監査役・谷正夫、非常勤監査役(社外監査役)・寺田俊三

 ▼森宏明氏(もり・ひろあき)昭和58年3月京大・経卒、同60年3月京大大学院・経済研究科修士課程終了。同60年4月三和銀行入行、同64年1月モリ工業入社、平成2年取締役、同6年常務、同8年専務。39歳。大阪府出身。

住 友金属工業はこのほど、近接施工可能の土留め鋼材「SM―Jパイル」を香港向けで約200トン受注した。海外での採用は英国・ロンドンに次いで2番目となる。同製品の99年度実績(出荷ベース)は1万トンに迫る勢いを見せており、本年度は1万トンクリアを目指す。

 「SM―Jパイル」は、隣接構造物との近接施工を実現する土留め鋼材。都市部の中低層ビル用仮設土留め壁や、近接施工が要求される都市部河川改修などに用いられている。安全性の高い専用圧入機(自走式)を採用することで、無振動・無騒音・無排土での施工を可能にし、近隣住民や周辺環境にも配慮。

 主なメリットは(1)隣接構造物との近接施工が可能で、境界いっぱいまで土留め壁を施工でき、土地を最大限に活用できる(2)継手効率は100%。左右非対称な継手が最外縁にあり、継手位置による断面性能の低減が不要(3)広幅化(600ミリ)、軽量化しており、施工の枚数削減と効率アップが実現する―など。

 同社では、本社に3人の技術営業マン(セールスエンジニア)を配置し、施主や設計コンサルタントへのPRを強化中。また、全国の出先機関でもアピールを強めている。

 この地道な営業が奏功し、99年度の実績(出荷ベース)は1万トンに迫る勢いとなった。また、本年4月には香港向けで約200トン受注(7月に施工開始)するなど、国内外ともに評価が高まっている。本年度は、全国の杭打設業者に専用圧入機の拡販を図るなど、施工込み受注体制を強化し、1万トンをクリアしていく構えだ。

 住友金属工業の厚板・建材事業部では、環境を重視した無排土杭の開発を進めていることを明らかにした。本年度中には完成し、来年度には本格展開する予定。

高 炉各社の2000年度鋼材運賃交渉が、ほぼ決着した。今年度は各社引き下げ率がバラついており、住金が海上運賃で2ケタ台の引き下げ率にのったもよう。これに対し、NKKと川崎製鉄は海上運賃で平均3%下げとなった。川鉄は上期のみの決着で、下期分は継続交渉。陸上運賃は、NKKが5%下げ、川鉄が2%の下げ。新日鉄は交渉結果については公表していないが、海上で3―4%の引き下げになったもよう。

 高炉各社の鋼材運賃交渉は、リストラの進展の中で厳しいものになっている。オペレーター各社の合理化も、単独では限界に来ている面もあり、高炉の物流部隊は合理化提案と絡め、一体的な効率化を進めている。これと同時にオペレーターは、系列を超えた共同輸送など新しい輸送システムへの移行を模索している。

 こうした中でスタートした今年度の運賃交渉は、各社で内容が大きくバラついている。大幅なコスト削減が要請されている住金は、海上で10%台の引き下げ要求となったもようで、これまでにない厳しい交渉となった。川鉄と神戸製鋼が5―6%程度の引き下げ要請。新日鉄とNKKが3%程度の引き下げ提案となった。

 各高炉がオペレーターと合意した引き下げ率は海上荷でNKKが3%、川鉄が上期のみの決着で3%。住金は平均で10%台に乗ったもようで、特に和歌山製鉄所分は平均を上回った引き下げ率になった。新日鉄は公表していないが、3―4%程度の下げのもよう。

 陸上は、2%から5%程度の引き下げになったようだが、路線別の設定も多く一律に何%とい形では、言えないとする高炉が多い。 高炉各社の物流費は人件費に次ぐ経費項目で、新日鉄が98年度実績で623億円、NKKが336億円、川鉄が231億円、住金が302億円、神戸製鋼は281億円となっている。トン当たりの平均単価は川鉄の2379円から神戸製鋼の5827円(鉄鋼以外の部門も含まれるため、相対的に高い)と倍近くの差がある。

 今回の決着で年度交渉は一段落するが、年間を通しての路線ごとの合理化提案や他社物流との提携などは今後、さらに活発化するとみられている。

エ ジプトの財閥エルハワリ・グループ(ELHAWARY)は、旧トーアスチール鹿島製造所の休止中の大型形鋼ミルを買収することで、基本合意した。日本側の窓口は日商岩井が担当しており、今後、具体的な解体移設作業に入る。この後、現地に新会社(スエズ・スチール・仮称)を設立して単圧工場として稼働する。将来的には、上工程として130トンAC電炉と還元鉄設備の導入も検討されている。ミル移設を含め最終的には、400億円近くの大型商談になる見通し。

 トーアスチールは、エヌケーケー条鋼への移行とともに清算手続きに入っているが、鹿島製造所の主力設備のうち大型形鋼工場は操業を停止している。ウオーキングビーム方式の加熱炉1基(大同特殊鋼製)と二重連続式圧延機(日立造船製)があり、600×300までのH形が生産できる。大型形鋼の生産は福山に移管されているため、設備の売却の方針を決め、交渉していた。

 買収交渉を進めているエルハワリ・グループは、関連でエジプト内に年産15万トンの小棒工場を所有。将来の事業拡大を目的に、形鋼部門への進出を計画している。今回買収が決まったことで、形鋼部門への進出は、具体的なものになる。ただ新工場建設の資金問題が流動的なようで、新会社設立はやや遅れるもよう。

 形鋼ミル移設後、海外から半成品を調達し、単圧工場として当面操業する。将来的には電炉一貫工場として操業する計画。このため新規設備として電炉と鉄源を供給する還元鉄設備の導入を、検討している。電炉設備の商談には日本からNKK、また還元鉄設備では神戸製鋼が参加している。この電炉、還元鉄設備の商談にはシュレーマンも参加しているもよう。

大 阪地区のコラムはベース4万9000―5万円どころでもちあい。地区需要に目立った物件が見当たらず、市中の荷動きはいぜんとして閑散。流通加工筋の加工納期も、おおむね2―3日程度の即納状態が続いている。

 しかし、一部大手筋では4月以降、大規模店舗立地法施行に伴う大型スーパーの駆け込み需要に加え、工場、倉庫などの案件が増え、加工納期も1週間程度に伸長。一部には民間設備投資の回復をうかがわせる側面も出始めている。

 また、市中在庫も新規格BCRの併用で、扱い筋がSTKRの申し込みを抑制しており、依然として低水準の状態が続いている。このため、大手筋は来週の帳端明けから唱えを引き上げ、持ち込み5万2000円の浸透を図る方向。