2000.06.06
日 立金属は、磁材情報部品事業の主力部門の一角となる携帯電話用アイソレータの生産能力を増強する。現在、年間6000万個の生産能力を、タイ、フィリピン、中国の3拠点での生産体制を整備し、今年度中に年間1億個体制を固める。

 磁気ヘッドの日立製作所への移管で、余剰となったフィリピンでの設備、スペースを活用、フィリピンで月間300万個、タイで同500万個、中国で同200万個の陣容とし、5ミリ角のアイソレータを主力製品に位置づけ、構成比をこれまでの33%から50%にアップ。国内拠点の鳥取工場では設計、材料生産・調達、セミ量産や生産技術開発などを手掛けるとともに、新製品の4ミリ角アイソレータの自動組立ラインによる量産技術の確立を進める。02年度には年間2億個以上の体制に拡大させる構想で、成長の著しい携帯電話向けアイソレータ市場で世界シェアの40%を確保していく。

 同社では磁材情報部品事業部で、携帯電話向けにアイソレータ、積層部品を供給、携帯電話の普及で事業規模も拡大を続けている。さらに競争力を高める観点から、アイソレータの生産について国内外で体制を整備し、市場の伸びを確実にとらえられる布陣を確立させることとした。

 量産拠点となるタイでは、すでに月間300万個能力を今年7月までに同500万個に引き上げる。フィリピンでも磁気ヘッド関連の工場を活用して年末までに同300万個体制を整える。一方、中国では委託生産(保定市)で同200万個を維持し、3拠点で同1000万個体制を敷く(投資額はタイ、フィリピンともそれぞれ4億―5億円)。

 これらによって全体の生産を従来の年間6000万個から、40%以上拡大させ1億個レベルとする。1億個のうち、50%強を5ミリ角のアイソレータとし、7ミリ角20%、4ミリ角30%程度の構成とする計画で、5ミリ角のアイソレータを主力製品として拡販していく。さらに02年度には、これを倍増とする考えだ。

N KK鉄鋼事業部の住宅建材チームは、主力製品である「NKKフレームキット」に関して、2002年度までに単年度実績として3000棟をクリアし、50億円規模の事業に成長させる。これを達成するため、本年度は300―500棟、来年度は1000棟を目標にステップアップを図る構え。

 住宅建材チームは本年4月、鉄鋼事業部内に新設され、フレームキット、スチールハウス、技術開発の3グループで構成。NKKフレームキット(鉄骨軸組部材)とNKKスチールハウス(鉄骨2×4工法)および二次的構造部材(住宅向け鋼製部材)を集約した。

 「NKKフレームキット」は、ボルト接合による現場組み立てで容易に施工できる鉄骨造住宅システム。簡単操作の設計支援ソフト 「AI―FRAME」を使って平面プランを入力すると、間取りや架構をバランスさせた理想的な骨組みを自動計算し、パソコン画面に伏せ図が表示され、柱やブレースパネルの位置が容易に確認できる。

 部材は柱材と梁材、ブレースパネルで構成され、鋼材には溶融亜鉛めっきを施しており、耐震性・耐久性に優れている。地震や強風に強いブレースパネルは高耐力タイプで設置個所が少なくてすみ、広い空間を確保でき、間取りの自由度が広がる。

 当面は流通網を整備するとともに、全国の施工協力体制を構築する。また、加工拠点に関しては現在、入栄工業(福山市)が中国地区のほか九州や四国、近畿を担当。また、エヌケーホーム(東京都目黒区)は関東一円と中部地区を担っている。今後は加工拠点を拡充し、キメ細かい対応を実行する計画。候補地としては東北や九州、中部、四国があがっている。



橋 梁・鉄骨メーンの上場ファブリケーター12社の2000年3月期決算が出そろった。99年度では、依然として建設需要に明るい兆しは見られなかった。大店法がらみでショッピングセンターなどの駆け込み需要が出たものの、同物件向けで超安値が散見され、単価全体を押し下げる結果となった。

 一方、公共事業を主体とする橋梁関連は比較的堅調。ただ、これまで安定していた単価が、ここ数年でトン当たり80万円前後に下がっており、ピーク比で約20%のマイナス。建設省や道路公団向け受注価格がジリ貧になっているのが主な要因。

 売り上げは軒並み減少。ただ、鉄骨から橋梁へのシフトや選別受注を徹底するなど、採算重視の経営を推進した結果、大半が営業・経常で利益は確保した。

 当期ベースでは、2001年3月期から適用される「退職給付に係る会計基準」に備え、退職一時金の積立不足額の償却を実施する企業が増加。このため、7社が赤字転落する状況に。

 受注高(金額ベース)で前期比プラスとなったのは4社、マイナスを示したのは8社で、その増加幅は大きくなく、全国的な需要低迷のあおりを受けて、各社ともに厳しい結果となった。一方、受注残高(同)は8社増・4社減に。

 全国の鉄骨需要量は、ピーク時の1300万トンに比べて、2000年度は750万トンと想定。首都圏の大型プロジェクトでは今後、全体で80万トン以上の鉄骨向け建材量が見込まれている。東京駅周辺や汐留、品川、六本木などの地区で超高層ビル計画が動き出し、関西地区でも大型物件が控えている。

 今期の見通しは売上高、経常利益ともに8社が99年度比でプラスとみている。また、赤字転落した7社は、当期ベースで黒字転換の見通し。

>新 日本製鉄など高炉6社の99年度決算から輸出比率をみると、金額ベースで98年度に比べ川崎製鉄が4・5ポイントの大幅増加となり、新日鉄と神戸製鋼所も増やしたのに対し、日新製鋼が2ポイント減となったほかNKKと住友金属工業が減少した。得意とする品種の世界需要を反映しているとしても、6社の輸出政策の違いがうかがえる。

 6社の粗鋼生産量はそろって増やしたが、新日鉄の242万トンをはじめNKK、川鉄の増加ぶりが目立つ。この結果、薄板の川鉄とシームレスパイプ不況に苦しんだ住金は、98年度上期ではほぼ同量だったのが、99年度では132万トンの格差がついてしまった。

 その住金は今00年度の粗鋼生産を1000万トン、神鋼は600万トンと想定している。

 粗鋼生産以上の変化を見せたのが売上高に占める輸出比率。川鉄は38%と圧倒的なウエートを占め、新日鉄とNKKは98年度では26・4%と並んでいたのが、新日鉄は1・7ポイント増、NKKは1・3ポイント減となり、3ポイントの大差が付いた。

 住金と日新の比重低下は世界的なシームレスとステンレスの需要減少を反映したといえよう。

 金額以上に数量面で輸出は大きなウエートを占める。神鋼の輸出比率は金額では23%だが、数量では32%となり、他社も同じように率を上げる。輸出は単価の安いホットコイルさらにはスラブなど半製品が多いためである。

 今00年度の見通しは、少なくとも上期(4―9月)は99年度後半の勢いが続くものと見られ、6社とも絶対数量、比率ともに上げる可能性が高い。

 川鉄は同社の輸出数量について98年度の370万トン、99年度の480万トンに対し00年度では550万トンとみている。また住金は価格是正も織り込んで、5・6ポイントの大幅増加を予想。内需の動向や海外の環境いかんでは川鉄に続き新日鉄や住金、NKKが40%に接近する場面もあり得よう。

 鉄鋼産業懇談会の三村明夫会長(新日鉄副社長)は先週の会見で「年内の輸出は堅調」との見解を示すなど下期への確信が広まりつつある。

 一方、神鋼は「アジア地域での在庫積み増しなど一時的要因がなくなり、減少は避けられない」と見通しており、慎重な見方は依然として残る。

 1ドル当たりの為替レートは住金と日新が110円、NKKは105円と堅く見込んでいる。

 輸出比率と関連数字は別表の通り。

イ ンドのタタ・アイアン・スチール(ティスコ)社は、新日本製鉄技術協力事業部の協力を得て、同国で初の酸洗、冷延直結タイプの冷間圧延機「PLーTCM」を本格稼働した。当初6月に予定していた計画の大幅前倒しが図られ、4月25日にはスタートアップ。現在、順調に稼働中で、13カ月でのフル生産を目指す。

 同プロジェクトは、年間120万トンの処理能力を持つ冷延設備で、96年に着工し、エンジニアリング業務は新日鉄が担当してきた。

 今回の冷間圧延設備は、酸洗ラインと冷間圧延機を直結した新日鉄の「PLーTCM」で品質向上と工期短縮、コストダウンを狙う。ハードの供給は、冷間圧延機を日立製作所、酸洗ラインは三菱重工が受け持った。

 新日鉄は、98年7月に冷間圧延設備の立ち上げ操業指導契約を受注。操業トレーニングのためにティスコから300人の技術者を約1カ月間、君津と八幡製鉄所に受け入れた。また、その後、新日鉄から20人の指導ミッションを現地に派遣、現在、順調に稼働している。



新 日本製鉄など高炉6社は来期(7―9月)積みの鋼材輸出商談を本格化、先に成約した中国向けを最低ラインとして、薄板3品種の場合はトン10―20ドルの値上げを順調に浸透させている。数量も落ちる気配がなく、韓国向けホットコイルも決まり、6社は後顧の憂いなく「価格重視を徹底」(堀田博司・新日鉄取締役海外営業部長)し交渉を進めている。

 中国向けの来期積み商談は5月下旬に、耐候性鋼を含むホットコイルが11ドル、冷延鋼板10ドル、亜鉛メッキ鋼板22ドル、電磁鋼板21ドルの値上げに成功し価格合意した。国際相場に準じ、需給双方とも納得し得る水準だったが、これが他地域向けでも来期積みの指標になろうとしている。

 したがって、かねて「第1次目標」としているホットコイル300ドル、冷延鋼板400ドル、亜鉛鉄板500ドルは一部地域で到達するとしても、大勢としては乗り切れない。

 この点について関係者は「ステディな値上げが長期安定につながる」と10―12月積みの宿題にとっておく腹積もりである。

 鉄鋼輸出の今年後半については、慎重な見方が大勢を占めていたものの、このところ楽観論が急速に高まってきた。年間トータルで昨年を上回る数量も十分に想定される。

 ただ、6社とも価格重視の姿勢を一段と強めているため、量を絞り込む場面も出てこよう。輸出は一部を除きまだペイラインに達していない―との認識が背景にあり、輸出価格を引き上げることで国内の“陥没価格”是正の手掛かりとしたい―という思いもある。

 5月末になって韓国の冷延単圧向けの6月積みホットコイルが16ドルほど引き上げられ決着した事実は、薄板需要の好調持続を示し、一服感を打ち消して、高炉6社の交渉に追い風となっている。  欧州では3月までにホットコイル330―340ドル、冷延鋼板410―420ドル、遅れて亜鉛めっき鋼板490―510ドルの3・4・5を実現させているだけに、韓国・浦項綜合製鉄の影響は免れないにしても、アジアでも年内には達成したいところだ。

東 京地区の冷延薄板(1・0―1・6ミリ、ベースサイズ)は5万3000―5万4000円どころ中心で弱含み横ばい。

 市中の引き合いが4月、5月と落ち込んだことから高値は浸透しない状況となった。コイルセンター在庫も微増傾向にあり、自社販売分で140%の高い在庫率を示す。1―3月にかけて輸入コイルの入着が多かった点も、流通にとっては不安材料。定尺相場としては実質5万3000円前後に収れんされている。

 ただ、「確かに周りからも弱気の声も聞かれて厳しいようだが、ここで値段を下げたからといって数量が出るわけではない」(扱い筋)という。コイルセンターでも同様の見方が聞かれており、当面は価格維持の方向で商いが進む見通し。需要家への値上げはほとんど実現せず、逆に値下げ要請が新年度に入り強くなっているようだ。