2000.06.07
電 炉小棒メーカーの伊藤製鉄所(本社=東京都江戸川区、伊藤三好社長)は、石巻工場(宮城県石巻市)の連続鋳造設備を増強する。現在の3ストランドを4ストランドに増強することで、輸出に対応できる体制を構築すると同時に、連鋳の引き抜き速度を約25%落とすことで、操業の安定と品質の向上を狙う。工事期間は製鋼・圧延を休止するため、約15%の減産強化となり、需給バランスの改善にもつながる。新設備は8月から本格稼働を開始する。

 現在はビレット角140ミリの3ストランド体制だが、140ミリ角と120ミリ角の両方に対応できる1ストランドを追加する。輸出ビレットは120ミリ角と125ミリ角の引き合いが中心で、既存の140ミリ角では対応できないケースもあった。120ミリ角のビレットが生産できる体制を整えることで、国内需給を引き締めるためのビレット輸出を視野に入れる。

 現状の140ミリ角の3ストランドでは、連鋳の引き抜き速度は毎分3・0―3・2メートルと早いためトラブルも多く、品質に問題が発生するケースもあった。

 1ストランドを追加することで、引き抜き速度は毎分2・5―2・7メートルに約25%減速するため、操業が安定するうえ、品質も向上する。

 連鋳設備の工事は6月末に3―4日と、7月末に3―4日を予定している。合計では7日前後にわたり製鋼・圧延とも休止。7月からは電力問題から土曜日の昼間の操業を休止することもあって、6月と7月の月間平均生産量は、4月と5月の実績と比べて約15%の減産強化となる。

 東北地区は公共工事を中心とした需要が低迷しており、小棒市況の実態はベース2万6000―2万7000円と関東地区と同レベル。

 本来であれば関東地区より東北地区はやや高い市況が通常だが、現状では実現できていない。今回の設備の工事に伴う減産強化で、販価の是正にもつなげたい考え。

 一方、輸出は中国向けに140ミリ角ビレット2500トンを成約した。7月末に石巻工場から出荷する。価格は2万1000円。今後は120ミリ角のビレットにも対応できる体制を構築することから、国内の需給とビレット輸出価格を考慮したうえで対応する構えだ。

日 新製鋼は、今月初めの東予製造所の本格稼働に伴い、マグネシウム含有の新溶融亜鉛めっき鋼板「ZAM」の用途開発を集中的に推進する。すでに東名・名神高速道路の防音壁上部に据え付けるサイレンサー(延長80キロ)に採用されたほか、台車キャスター部、ケーブルラック、防雪柵、また大手プレハブメーカーでも住宅構造材の採用が検討されている。今後、さらにガードレールや農ビパイプ、ユニクロめっきやドア内部などプレ・ポストめっきの代替として営業をかけていく方針。用途開発を進め今年度下期に月産1万トン、01年度下期には1万5000トンを見込んでいる。

 ZAMは亜鉛、アルミ、亜鉛アルミ合金に続く第4の溶融亜鉛めっきで、世界で初めて数%オーダーでマグネシウムを含有した製品。亜鉛―アルミ(6%)―マグネシウム(3%)のち密な三元共晶組織を鋼板表層に形成し、亜鉛めっきの10―20倍、亜鉛―5%アルミ合金めっきの5―8倍の耐食性を発揮する。加工端部の耐食性にも優れ、また表面硬度も高く傷がつきにくいなどの特長を有する。 これまでは堺製造所のめっきラインで試験製造していたが、東予の完成で板厚0・8ミリか6・0ミリまで生産可能となった。55%アルミ亜鉛合金めっきではできなかった厚ゲージが可能で、亜鉛や5%アルミの需要範囲をカバーし構造材など厚物分野への展開を広げた。また一部ステンレスの領域も考えているという。

 採用された東名阪高速道路のサイレンサーは、ZAMの鋼板を鹿の角状に互い違いに加工したものを防音壁の上に設置し、騒音をかき消すもの。日新では今後、JRや電力会社、NTTなどの大口需要家のほか、仮設ハウス、ガードポスト、ユニクロめっきの電装部材、共同溝の役物、トラック荷台の根太、エアコン室外機の底板、屋根・壁の建材など幅広い需要範囲を視野に入れ、将来的には月産3万トンへと拡大を図り、主力製品に育てていく考えだ。
リ ビアからイタリア・シシリー島まで縦断パイプラインを敷設する「リビア―イタリアパイプライン」(仮称)の3本目のパイプライン建設に伴う62万トンの大径管商談が近く具体化に向かう見通し。

 リビア国内の陸上部分が30万トン、リビアからシシリー島までの海底部分が32万トンの計62万トンの超大型パイプライン。同パイプライン計画は、1970年代に1本目、80年代に2本目が建設され、1回目には日本ミルも参加したものの、2回目は現地イタリアのイルバが受注。

 使用される大径管は外径32インチ、X65規格で耐サワー性が要求され、イルバが生産できないものは、欧州のユーロパイプか日本ミル4社が受注する可能性もあると見られている。7月にもテンダーが発表される見通しという。

 

関 西地区の大手小棒細物メーカー、共英製鋼・枚方事業所(所長=深田信之・取締役)は、6月契約分から小棒の販売価格を1000円値上げし、ベース換算で2万6000円として売り出しを開始することになった。同所の値上げは2月契約以来、4カ月ぶりのこと。

 同所は採算ラインへの回復を目指して今年1月契約から2000円、2月契約でも1000円の値上げを実施、ベース換算で2万5000円の販価を打ち出した。一方、ゼネコンサイドではこの新価格に対して難色を示し、新規の受注は減少していたが、低水準ながらもコンスタントな需要が出ているのに加え、小棒業界の構造改善が進展する気配をみせているため5月に入り状況は一変、大量の明細が入るようになった。

 しかし、同社としては現状の価格では依然として採算が取れないことから、6月契約で1000円の値上げを実施、今後も3万円どころの販価回復を目指して、慎重に環境整備を進めながら値上げを継続する方針だ。

 

N KKは6日、京浜製鉄所の自家発電設備を活用し、鉄鋼業界では初めて電力小売り事業への参入を決めたと発表した。これは、都市型製鉄所である京浜の特性および電力設備をはじめとした各種のインフラを有効利用するもの。

 具体的には、外部への安定供給が可能な2万kW(高炉炉頂圧発電設備)について小売りを検討しており、供給先として三菱商事を予定している。供給開始については計量管理システムなどの諸条件の整備が今後必要となるが、条件が整い次第、今夏以降に開始する予定。

 また、この小売り事業とは別に環境事業団が2001年度稼働に向け、京浜製鉄所水江地区隣接地に計画中のゼロエミッション工業団地に対して、NKKの受配電設備などの電力インフラを活用した「共同受電」による電力供給の検討も併せて行っている。

関 西地区の大手形鋼特約店筋は先月以降、H形鋼の値戻しを進めているが、順次、下限価格が固まるのを待って、今月帳端には持ち込み3万4000円唱え、7月初旬には同3万5000円唱えと、段階的に値戻しを進める意向だ。

 地区のH形鋼については、高炉筋の30%引き受けカットにより、今後、在庫が減少に向かうと予想されている。扱い筋では、「現在の出荷水準が続けば、今月在庫から大幅な減少となる」として、早急な販売価格引き上げを行っている。現在、地区市況は持ち込み3万1000円が固まり、扱い筋の高唱えにより一部3万2000円も通り始めているという。

 今回の値戻しは、メーカーが不退転の決意で取り組んでおり、何がなんでも採算ラインまで価格を立て直す姿勢が鮮明となっている。このため、扱い筋では「これまでのように、荷動きが悪いから転嫁できないと泣き言を言っていられない」事情がある。

 これは、メーカーが値上げを実施しているアングル、チャンネル、平鋼も同様。一般形鋼の扱い筋は、メーカーが6月値上げを発表した先月下旬以降、3万円下限の唱えに出ており、2万円台の安値を払しょくする動きに取り組んでいる。平鋼はすでにメーカーの値上げ玉が入荷し始めていることもあり、現在、この市況転嫁に努力中。扱い筋は市況比2000円アップの4万円(結束単位)、4万2000円(バラ売り)を固めていきたい考え。

N KKは、現在工事進捗中の「東京外環自動車道延伸工事(施主=道路公団東京建設局)」のうち、三郷―松戸間の橋脚基礎部分向けに「ソイルセメント合成鋼管杭工法(HYSCパイル工法)」を5500トン受注し、一部納入を完了した。同工法は低騒音・低振動での施工を実現し、排土が少なく産業廃棄物をほとんど出さない工法として採用が決まった。

 「ソイルセメント合成鋼管杭工法(HYSCパイル工法)」は、地面中に造成したソイルセメント柱の中にリブ付鋼管を挿入して完成するソイルセメントと鋼管の合成杭。鋼管表面に設けたリブによって、ソイルセメントと鋼管の一体化を図り、上部工からの荷重を鋼管からソイルセメントを介して地盤への伝達が可能に。特長は(1)ソイルセメントと鋼管杭の合成によって合理的な設計が可能となり、支持力性能が優れている(2)現地盤の土砂を材料として利用し、ソイルセメント柱を造成するため掘削排土が少なく、また産業廃棄物をほとんど出さない(3)高能率の掘削撹拌機械を用いてソイルセメント柱を造成するため、短工期を実現(4)低振動・低騒音で施工することができ、市街地での杭工事に適している―など。

 NKKでは88年、開発に着手。91年4月、ソイルセメント合成鋼管杭工法協会の発足後、本格展開を始めた。これまでの実績は2万トンを数えている。96年に「第2名神高速道路飛鳥高架橋」向けで採用されたことで注目。直近の工事では「鷹野立体(三郷―松戸間、施主=建設省)」向けで約500トン受注しており、本年夏に施工開始する。

大 阪地区の異形棒鋼はベース2万4000―2万4500円どころで引き続きジリ高。電炉各社が5月販価で2万5000円を突っ張りきり、6月でも1000円上げの2万6000円と強気姿勢を堅持。大手商社など流通では「メーカーが不退転の決意で、全く安い仕入れができない」として、供給サイドからの引き締まりが鮮明となっている。

 現在、メーカーの納期もベースで1カ月(ダイワスチールは7月中旬)、細物で2週間程度と比較的タイトな状況。

 商社筋の唱えは先月からさらに上がり、現在、2万4500―2万5000円。ゼネコンからの引き合いはいぜん低調なものの、一部に2万4500円も通り始めているという。合同製鉄、国光製鋼、中山鋼業のベース3社の設備廃棄を含めた再編構想も現実味を帯びてきており、市況は当面、ジリ高基調が続く。