2000.08.14
新 日本製鉄など高炉6社の今期(7―9月)積み韓国・冷延単圧向けホットコイル商談が、先週末までに据え置きで事実上の決着をみた。7、8月積みがスキップとなるため前期(4―6月)積みに比べ30―40%減少、5期連続の値上げが成らなかったことと合わせて韓国向け商談は岐路に立ち、来期(10―12月)積みで正念場を迎える。

 高炉6社による現代鋼管、世亜製鋼、東部製鋼、聨合鉄鋼など韓国のリローラー向け今期積みホットコイル商談は、前期積みと同様に難航したが、先週末になって大筋で合意に達し、一両日中に各社それぞれ最終的な調整を行う。

 前期積みではトン20ドルアップ、ベース=270ドル前後で韓国側が日本の要求を最終的にはのむ形で数量も1―3月積みとほぼ同規模で成約したのに対し、今期積みでは価格据え置き、量的には大幅減少となったことが大きな特徴。

 背景には米国市場で在庫が急増し相場も軟化しており、米国向けがカットされた台湾、ウクライナ、中国などがアジアの市場に目を向け始め、また韓国リローラーの対米輸出も調整局面に入った―ことがある。

 しかも韓国・浦項綜合製鉄による国内向け冷延鋼板価格の長期据え置きが続いているのも重くのしかかっている。

 ただ、韓国経済の復調は著しく薄板の実需が落ちているわけではない。自動車メーカーはストライキによる製造ネックを脱し、活発な需要に対応している。現代鋼管は、今年度の冷延鋼板生産を昨年度比30万トン増の177万トン、来年度では195万トンと計画。

 家電も輸出に加え、国内向けも大幅に回復し今年度生産は2ケタパーセントの伸びが見込まれている。

 実際に日本各社は、聨合や東部などの引き合いをかなり削減しているようだ。

 したがって今期積みの韓国リローラー向けの据え置き、数量の大幅減は一時的―とみる見方が有力。しかも東南アジアでは着実に鋼材需要が増えている。

 これに対し米国市場の動向次第では、下降局面に入る―との悲観論も消えていない。タイやマレーシアなどアセアン5の各国は、通貨危機前の生産水準に達していないのも事実だ。

 韓国向けホットコイルの交渉がまとまったことで、6社は急ぎ8月ロールに組み入れるが、月内の船積みには間に合わず、今期では9月積みだけとなる。

日 本政府の要請により設置された熱延鋼板に対する米国のアンチ・ダンピング(AD)措置に関する世界貿易機関(WTO)パネル(小委員会)は今月22日から審議を開始する。

 第1回のパネル審議を今月22日、23日の両日、スイス・ジュネーブで開く。第2回パネルは9月最終週に予定されており、11月ごろにパネルの中間報告が、来年1月末ごろに裁定が下される運びだ。ただ、日、米の一方が裁定を不服とし上級委員会に控訴した場合には、最終裁定は4月ごろになる。

 熱延鋼板ADでのWTOパネルは、紛争解決手続きに基づいて設置され、インド、アルゼンチン、タイからの3人でパネリストを構成する。また、欧州連合 (EU)、カナダ、ブラジル、韓国、チリの5カ国・地域が第3国参加することになっている。

国 光製鋼(岡田恭雄社長)と合同製鉄(猪熊研二社長)の両社は、9月をめどに会社更生手続き中の中山鋼業(高島成光事業管財人)に小棒生産を集約するが、中山での圧延数量月間約5万トンに対し、不足する製鋼能力を補うビレットは全量、共英製鋼(高島秀一郎社長)の大阪事業所から供給する形でスタートする。これに伴い、共英大阪事業所では、中山向け130×150ミリの偏平ビレットに対応するため、連続鋳造設備に新しいモールドを設置する工事を進めている。

 国光、合鉄、中山の小棒生産統合は、電炉構造改善のモデルケースとして期待されている。国光は9月1日をめどに製鋼、圧延工場を休止し、小棒生産を中山に委託、同時に従業員70人程度を中山に出向させる。また合鉄は、9月末をめどに大阪製造所の小棒生産を休止、中山に生産を委託する。生産集約は中山の設備能力の制約から規模縮小を伴い、従来3社合わせ月間6万トンを超えていた生産量(中山約3万3000トン、国光約2万2000トン、合鉄約8000トン)は集約後、月間5万トン程度(中山約3万トン、国光約1万5000トン、合鉄約5000トン)に縮小される。

 製鋼に関しては電力料金の安い夜間帯のみの操業で月間約4万3000トン。これに対し圧延数量は国光からの要員受け入れで1シフト増加、24時間のフル操業を基本とする月間約5万トンの計画で、不足する約7000トンについては外部からのビレット調達でまかなうことになっている。中山の再建を支援する共英と合鉄のイーブン調達を基本に、共英は自社の大阪事業所、合鉄は大阪製鉄から供給する方向で調整を進めていたが、現状、大鉄の供給体制が整わないこともあり、共英大阪事業所のみで供給対応する形で9月からスタートすることになった。先行き状況が整えば、共英、大鉄の2社供給となる可能性もある。

 中山鋼業は、130×150ミリの偏平ビレット使用のため共英大阪事業所では、供給に向けて連鋳に新しいモールドを設置する工事を行うなど体制づくりを進めている。形式上、共英は国光にビレットを供給し、国光が材料持ち込みで中山に生産を委託する形となる。

 3社の生産統合は9月をめどとしているが、製鋼量月間約4万3000トンへのアップを含め、所定の生産量に達するには時間を要するとみられ、生産統合による月産5万トン体制が完全に整うのに、少なくとも年内いっぱいはかかる見通しである。

新 日本製鉄は、普通線材全般について10月積み分から価格改善に取り組み、トン当たり3000円の引き上げを図る。需要の弱さを反映して加工メーカー先で製品価格が軟化していることを受け、線材と線材製品の採算回復を目指すもの。下期は上期同様の生産レベルを予想し実需見合いの受注姿勢を続ける方針で、加工メーカーの協力を得て線材製品の適正な在庫水準と市況改善につなげていく。

 00年上期の普通線材全国生産は月平均約21万5000トンで、99年上期に比べ約8000トン減、99年下期比で約3万トンの減少と低迷している。建築向けが低調なことと、かごマット向けが大きく減退しているのが要因で、とくに4―6月の落ち込みが大きい。新日鉄の普線生産(バーインコイル含む)は現在月間3万7000トンだが、昨年下期比では12%程度縮小している。

 新日鉄は昨年夏に陥没価格の是正を目的に、トン5000円の普線値上げを実施したが、依然として採算ラインの回復には至っていない。また、昨年秋に加工メーカー各社が値上げを進めた製品価格も今年に入り、需要難と在庫増からジリ安含みで推移。材料、製品とも厳しい採算状況にある。

 このため、新日鉄は秋需に向けて再度材料価格の引き上げを図るが、加工メーカーに対しては在庫水準と価格をにらんだ受発注を望む。H形鋼など他の建設資材は市況が回復してきており、普線についても値上げに向けた受注姿勢を強化し、同社と加工メーカー双方の採算改善に努力していく考えだ。





神 戸製鋼所がエジプトのアレキサンドリア国営製鉄社エルディケーラー製鉄所向けに建設していた生産能力80万トンの第3直接還元鉄プラントが今年2月に完成し、フル操業に入った。これにより同社が建設した3基のDRプラント合計で、年間約240万トンの還元鉄を生産できる体制が整った。また、98年10月にエンジニアリング受注した港湾設備増強工事も、今年9月をメドに稼働する予定。完成後は、荷受け港湾設備からDRプラントまでの約6キロメートルをスタッカーリクライマーとコンベヤーで結ぶことで、船から荷受けした鉄鉱石などの原料を直接投入することが可能となる。

 同プラントは、神戸製鋼とトーメンが97年12月に約130億円で共同受注したもので、今年3月から本格稼働している。この6カ月間で生産された還元鉄の金属化率は、平均94・2%と従来の基準である92%を上回る高純度を実現しているという。

 また、9月に稼働予定の荷受け港湾搬送設備については、スペインのデューロ・フェルガー社のスタッカーリクレイマーを採用している。

 ANSDK社はエジプト国内に線材・棒鋼を供給することを目的に82年に設立された製鉄所。86年の直接還元製鉄法による一貫製鉄所完成以降、年産能力約71万6000トンの製鉄所として順調に稼働している。

 エジプトでは現在、国内の鉄鋼製品の需要は、99年で年間約520万トンと年々増加傾向にあり、粗鋼生産は99年度約260万トンに達している。

 高まる鉄鋼製品需要だが、電気炉による鋼板製造には清浄鉄源が必要で、同地域では高品質スクラップの確保が難しい。直接還元製鉄プラントは、このような要求に応えるもので、完成すれば鋼板を生産する直接還元製鉄の一貫製鉄所として世界でも最新鋭・最大級のプラントとなる。

 今回の直接還元製鉄設備の受注は独・ルルギ社との競争入札で同社が落札したもの。すでに納入した2基の稼働実績や、海外調達比率75%の実績とコストダウンなどが高く評価されたことによる。



(財) 産業廃棄物処理事業振興財団(太田文雄理事長)は、10月立ち上げをメドに「産業廃棄物処理業者情報検索システム」(産廃情報ネット)の構築を進めている。

 このシステムは、従来一元化されていなかった全国の産業廃棄物処理業者に関する情報を集約し、これをインターネット上で公開することにより、産業廃棄物の排出事業者が適正な処理業者を選定する際に有効な手段を提供するとともに、産業廃棄物処理業界を社会に対してより開かれたものにし、理解を促進しようとするもの。

 このため同財団は6月下旬、全国の全許可業者約5万6000社に対して、許可の内容を確認する第1次アンケート調査を実施し、引き続き8月8日から許可業者の基本的な企業情報および事業内容に関連する情報を収集するため、第2次アンケート調査を行っている。

 第2次調査の主な調査事項は、基本的な企業情報として、資本金・売上高・経常利益・株主・役員・取引金融機関・関連企業、産業廃棄物処理という事業内容に関連する情報として、主力取扱廃棄物種類・料金・主要顧客・川上/川下の連携関係・処理状況・リサイクル状況・環境影響への対応状況・処理実績。

 これによって、従来所轄自治体窓口あるいは処理業者に対して個別に照会しなければ得られなかった情報を、インターネットを通じて容易に検索し、入手することが可能となり、排出事業者による適格な処理業者の選定作業が大幅に軽減される。

 一方、処理業者にとって、業界をより開かれたものとし、その健全な発展を図る機会となることが期待されている。

東 京地区のH形鋼市況は年明けからジリ高気配でもみ合った後、4月以降は着実な上昇局面に入った。市況は4月から3000円程度上昇し、直近では3万3000円が一般化している。各メーカーが後仕切りの廃止を打ち出したことで、値上げが流通の採算に直接響くようになった点も大きい。

 メーカーは採算ラインに到達していないとして、9月以降の追加値上げを示唆している。4カ月連続の%減産など思い切った減産と、荷動きの好転による需給の好転を背景に、しばらくは値上げムードが持続しそうだ。

 年明けの値上げは一時的な市況の反発を招くだけにとどまったが、4月以降は商社を中心に価格優先の販売姿勢を明確にした結果、小刻みな上昇局面に移行した。その後の各メーカーの値上げと相まって、市況は息の長い上昇を続けている。

 新日本製鉄など各メーカーが仕切り廃止などの契約形態の変更にまで踏み込んだ事情もある。従来は後仕切りで流通の採算意識が麻痺し、結果として値上げが掛け声だけに終わることが繰り返されてきた。後仕切りの廃止によって流通自身で必要経費を確保する必要に迫られ、メーカーの値上げ分を市況に転嫁せざるを得ない。

 需要は小幅ながら増えている。東京ときわ会の集計で、出庫量は月を追うごとに1―4%の伸びを持続。7月末の予測数値は4月末比で、入庫量が9・2%減、出庫は7・3%増、在庫は0・5%減。在庫の減少が本格化するのはこれからだ。

 流通在庫には既に一部、長さ切れサイズが出始めており、まとまった引き合いに対処できないケースも出ているという。高炉の引き受け30%削減は6―9月圧延分に当たり、当面入庫量は増えない見通し。出庫量は大きく伸びないまでも減ることはないとみられており、在庫の減少で今後需給がひっ迫するケースも想定されている。

 4―6月は流通の赤字回復局面、7月以降は減産効果を背景としたメーカーの値上げ浸透段階だ。メーカーの値上げ分の入荷で収益が圧迫される局面で、流通は今後値上げ攻勢を強める。既に3万4000円下限を掲げており、9月初3万5000円が当面の標的だ。

 メーカーは3万5000円の市況をメドに追加値上げするとみられ、減産効果と需要動向によってはさらに市況の上昇が長期化する可能性もある。