2000.08.23
山 陽特殊製鋼は、工具鋼強化の一環としてプラスチック用金型鋼(プラ型鋼)分野に本格進出する。このほど高品質とコストパフォーマンスを兼ね備えた精密量産プラ型鋼(商品名・PCM40)を開発、関西地区と関東地区に合計100トンの標準サイズの在庫販売体制を整えた。

 同社は、工具鋼を現在推進中の中期経営計画の戦略商品の一つに位置付けている。工具鋼はこれまで、主に熱間・温間金型用、冷間金型用を生産・販売しており、プラ型鋼は汎用鋼種であるSC、SCMを少量販売していた。

 今回開発したPCM40は、プラスチック部品の高品質化に対応した高級なプラ型鋼。磨き性に優れるとともに、低コストでの生産を実現したことでコストパフォーマンスが良いのが特徴。

 従来、磨き性を良くするために鋼の中に存在する大型の介在物を低減させる方法として、再溶解法という特殊な製造方法で製造されているが、同社では再溶解法を用いずに、通常の量産製鋼工程で大型の介在物を大幅に低減させることに成功した。この製造技術は、同社が軸受鋼の製造において長年培ってきた高清浄度鋼の量産技術を応用したもの。



関 東地区の小棒需給と価格が大きな転機を迎えた。ベース小棒、細物小棒ともに需要の本格化と供給削減により需給ひっ迫に拍車がかかった格好で、価格上伸が加速する。なかでも需給緩和が指摘されていた細物小棒メーカーも、ここにきて在庫が枯渇。「メーカーの生産体制、流通側の販売の姿勢次第で、早ければ9月から徐々に細物のサイズエキストラが確保できるところまで戻る」(鈴木一郎・三興製鋼社長)というレベルまで回復してきた。

 関東地区の細物小棒の6月末の在庫(細物6社合計と、ベースメーカーの細物小棒の合計)は2万7000トンと、97年10月以来、2年8カ月ぶりの低水準を記録した。7月末、8月末も在庫水準は横ばいで推移している。通常の3万5000―4万トンと比べて大きく減少したことで、細物各社の在庫は枯渇した。

 7月末の段階で城南製鋼所、ダイワスチール・東部事業所、千代田鋼鉄工業の在庫はサイズ歯抜け状態に突入。

 関東スチール、三興製鋼、向山工場も8月末には歯抜け状態に陥ることが確実で、「細物小棒の需給はひっ迫している」(向山悟・向山工場常務)。細物小棒5社(関東スチールを除く)の4―6月期の粗鋼生産量は36万7000トンと前年同期比6・3%増だが、在庫の減少が需要の増加を裏づけている。



通 産省の2001年度概算要求のうち、鉄鋼関連技術開発主要予算は総額で約27億円(2000年度比16%増)にのぼる見通しだ。

 新年度からは新規案件として「製鉄プロセス顕熱利用高効率水素製造技術開発」(研究機関01年度―05年度、開発費総額約23億円)で約5億円を要求。製鉄所内で発生するコークス炉ガス顕熱を利用し、コークス炉ガス内のメタンを水素に高効率で改質する技術と高効率酸素分離技術開発に乗り出す。このほか継続案件として「石炭高度転換コークス製造技術開発」で約14億円、「スーパーメタル研究開発」で約3億円、「省エネ型金属ダスト回生技術開発」で約4億円、「金属材料の高速変形特性評価方法の研究開発」で約3000万円を要求する方針だ。

 01年度鉄鋼関連技術開発主要予算の要求は、今年度で電磁力利用金属製造プロセス開発、表面処理鋼板の耐食性促進試験評価方法の開発、超高圧天然ガスパイプライン用高強度大径鋼管の特性評価方法の開発の3案件が終了するのを受けて、先導研究だったコークス炉ガス顕熱利用増熱技術開発を要素研究として新規に製鉄プロセス顕熱利用高効率水素製造技術開発に移行させる。このほか石炭高度転換コークス製造技術が約2億円の増額要求となる。

 製鉄プロセス顕熱利用高効率水素製造技術開発は、300度以下の顕熱を活用。コークス炉ガス内のメタンを水素に改質、低コストで水素を製造する新技術。金属系材料研究開発センター(JRCM)に委託(参加予定企業=新日本製鉄、NKK、川崎製鉄、住友金属工業)し、熱エネルギーを複合利用するプロセスの買質炉、固体電解質酸素分離ユニットの開発を手掛ける。鉄鋼業の使用エネルギーのうち約4割が廃熱として放散される現状を踏まえ、副生ガスや排ガスなどの顕熱を化学エネルギーへの変換を通じ、回収利用技術開発に取り組む。酸素導入型コークス炉ガス改質プロセスと熱エネルギーカスケード利用型高効率水素・酸素・電力併産プロセスを確立させ、水素、酸素を高効率に製造する。同プロセスが全コークス炉に導入されると水素増幅量で70億立方メートル/年が見込まれるほか、酸素も現行酸素生産量(約100億立方メートル/年)の30%に適用可能という。

 石炭高度転換コークス炉製造技術(期間94年度―02年度、総事業費119億円)では今年度より約18%の増額要求とし、革新的コークス製造技術開発のため01年度にはパイロットプラントの建設を完了させる。

 スーパーメタル研究開発では約8億円、鉄鋼分約3億円を要求。全体では約6%の減額要求だが、鉄鋼分はほぼ同額となる。プロジェクト最終年度としてプロセス条件の最適化とモデル部品の製造、試験片の大型化を行い、強度、加工性、耐食性など特性・機能を評価する。

 省エネ型金属ダスト回生技術(期間98年度―02年度、開発費総額約17億円)では今年度と同額で、製錬直後の廃ガスから直接、亜鉛を回収するプロセスの小型パイロット試験を通じプロセス成立を実証。合わせて実機規模の操業条件、設備スケールアップ条件を明確化する。

 金属材料の高速変形特性評価方法の研究(期間99年度―01年度、開発費総額約1億円)では同額要求で、自動車の衝突など金属材料の高速変形特性の評価、互換性を検討、評価方法試験方法の統一化、標準化を進める。



佐 久間特殊鋼(本社=名古屋市緑区、佐久間貞介社長)、三悦(本社=名古屋市港区、樋田浩三社長)、サハシ特殊鋼(本社=名古屋市港区、佐橋健一郎社長)の特殊鋼問屋3社は業務提携し、7月1日から構造用鋼の共同在庫を開始したことを明らかにした。在庫リスクの分散を図ると同時に仕入れのスケールメリットを追求することで、競争力の強化や経営の効率化を図ることなどが狙い。将来的には3社での共同物流センターの設置なども視野に入れており、今後の展開が注目されそうだ。

 構造用鋼はここ数年の市況低迷、関西地区からの流入に伴う販売競争の激化などにより、流通の採算がとれにくい品種とされる。しかも、鋼種やサイズによって販売回転率が異なるため、一般的には在庫率が3カ月程度は必要とされ、流通としてはこの回転率の改善が大きな課題となっていた。今回、業務提携する3社はいずれも大同特殊鋼がメーン仕入先という接点もあり、数年前から共同化の検討を始めていた。

 対象となるのは構造用鋼の店売り分野で、鋼種は機械構造用炭素鋼(S25C―S55C)とクロム・モリブデン鋼(SCM415―SCM440)。いずれもメーカーは大同特殊鋼で、数量は3社計で2000トン前後。

新 日本製鉄は、岐阜県多治見市から約121億2000万円で、日量170トンの直接溶融炉(85トン×2炉)とリサイクルプラザ(日量34トン)を受注した。近く建設工事に着工、ダイオキシン規制に対応して当初計画を1年前倒して2003年までに直接溶融炉を完成させる。また、リサイクルプラザを含めた全体工事は、2004年に竣工させる予定。今回の受注により、同社の直接溶融炉の累計受注実績は18件、今年度4件目の受注となった。

 多治見市では、これまでNKK社製の16時間准連続運転のストーカ炉により、年間約2万4000トンの一般廃棄物を処理してきた。しかし、2002年のダイオキシン規制を背景に、99年2月に直接溶融方式での炉の更新を決定。最終的には、豊富な稼働実績を持つ新日鉄の直接溶融炉の信頼性を評価し、8月17日に正式発注した。

 同時に、日量34トンのリサイクルプラザの発注を受け、PETボトル圧縮機、缶選別機、破砕設備など一式も納めることが決まった。





日 立金属は22日、昨年秋から販売を開始した冷却水供給システムである水冷式および空冷式の「チルドタワー」の第1号機(空冷式)がこのほど、キヤノン宇都宮工場で運転を開始、従来の水冷式と合わせて、チルドタワーの販売が大きく伸びていると発表した。

 キヤノン宇都宮工場は、毎年、省エネルギー10%の目標を掲げ、積極的に対策に取り組んでいる。すでに水冷チルドタワーを採用しているが、このほど空冷チルドタワーの特長であるメンテナンス性の良さを高く評価し採用を決定、1号機が5月4日から運転を開始した。生産機械の冷却用に21度の冷水を供給し、予想効果としては、従来のチラー方式と比べて、消費電力が半減できる見込み。日立では、今後も現状設備の老朽化に伴って、チルドタワーへの変更需要を期待している。

 水冷チルドタワーは、現在、数十件の引き合いがあり、月に5―6件の受注が見込める状況。ある電子部品メーカーには、まとめて9台の採用が決定している。

 空冷チルドタワーは、キヤノンの他にも多くの引き合いがあり、今後、実績評価が明確になるに伴い採用が増加するとみている。

 販売(水冷および空冷チルドタワー)は、1999年度(実績)7億円、2000年度14億円、01年度24億円を計画している。



近 年全くみられなかったロシア産普通線材が、今年2月と5月に関西に5000トン(9・0ミリ径)ずつ入着したが、ここへきて関東にも輸入されてきたようだ。東播磨港に入着したロシア材は通関価格でトン1万9900円の超破格値。線材ユーザー筋によると関東にも最近、数量・価格とも同程度が入着したとされる。品質に難があり、使用範囲がローグレード品に限定されるため、市況面への懸念の声はさほど聞かれない。しかし、安価な輸入材の裏には、加工メーカーの深刻な経営状況が垣間みえる。

 輸入普通線材は、80年代後半の円高基調を背景に、ブラジル、韓国、中国、台湾、トルコ、サウジアラビア、南アフリカ共和国など国際色豊かに輸入ソースを増やし、91年のピーク時には約68万700トンが入着していた。

 伸線加工メーカーでは国内材の割高感から輸入材に切り替え、競争力を維持していたが、バブル崩壊とともに為替が円安に振れ、また国内材の市況が軟化したことで輸入量は激減。98年2万2600トン、99年は1万6000トンと微々たるものとなり、国内普通線材の年間生産量約180万トンと比して市況への影響も縮小した。

 ところが、今年2月にそれまでみられなかったロシア材が入り品質、価格、製品市況への影響など、さまざまな憶測が飛び交った。東京製鉄の線材販売価格は、メッシュ用7・0ミリサイズでトン3万4000円。輸入材主力の韓国材は、同サイズで3万6000円程度。対してロシア材は、5月に東播磨港に5004トン(同)入着したが、トン2万700円と極端な安値をみせ、話題を呼んだ。

 関東入着の材料径は不明だが、9ミリであれば全ねじ用、6ミリおよび7ミリ径であれば溶接金網用と予測される。



東 京地区のH形鋼は200×100で3万3000―3万4000円と強含み。流通は3万4000円下限を掲げて値上げ攻勢を強めている。在庫の減少で品薄感が強まっており、メーカーの相次ぐ値上げと減産による需給の引き締まりを背景に市況は上昇基調を維持しそうだ。

 流通在庫にはサイズによって長さ切れが出ており、まとまった荷ぞろえが困難になりつつあるという。鉄骨需要は堅調に推移する見通しで、高炉を中心とした30%減産が4カ月続くことで当面在庫補充の見通しが立たない状況で、品薄感は今後さらに強まりそうだ。

 東京製鉄の値上げに続き、高炉メーカーも9月契約で2000―3000円の値上げに踏み切るとみられている。流通は当面9月に3万5000円をメドにしているが、追加値上げに応じて目標ラインを上方修正する考えで、値上げ圧力はさらに強まりそうな情勢だ。