2000.09.08
関 東地区の大手電炉小棒メーカー、東京鉄鋼(本社=東京都新宿区、吉原毎文社長)は、9月7日から14日までの8日間、新規契約分を売り止めする。ロールのタイト化により、このままではゼネコンに対する供給責任が果たせなくなると判断。明細を整理する狙いもあっての売り止めとなった。需給がひっ迫して値上げ環境が整ってきたことから、18日からは実行販価を1000円引き上げる。

 同社の本社工場(栃木県小山市)で生産しているベース小棒は、大幅減産の継続によりロールがタイト化。加えて付加価値製品である機械式鉄筋継手「ネジテツコン」への生産シフトもあって、ロール対応の遅れが懸念される状況となっていた。需要は引き続きマンション建築が好調で、大型再開発物件も台頭。需給はかなりひっ迫している。

 このため、8日間にわたる新規契約の売り止めを決めた。これにより、9月の新規契約量は半減する見通し。

 同社以外の関東地区のベース小棒メーカーも状況は同じで、今後も需給ひっ迫が加速しそう。価格もさらに上伸する公算が大きい。

鉄 鋼製品の電子商取引サイト運営会社スマートオンライン(本社=東京都港区、西村博夫社長)と大塚商会(本社=東京都千代田区、大塚実社長)は7日、両社の鉄鋼流通分野の事業強化を目的に、包括的な業務提携を結んだと発表した。提携に基づき、大塚商会は遅くとも2001年1月中をメドに、ウェブ上でスマートオンラインのサイトの在庫データと連携できる、総合型業務管理ソフトシステム「Power Steel」の新バージョンを発売する。

 提携は新規顧客の獲得で両社の思惑が一致したためで、大塚商会では連携機能を追加したソフトの販売目標を1年間で200本、約10億円と設定。将来的には受発注など他のシステムにおいても、スマート側のサイトと互換性を持たせたい意向だ。

 スマートオンラインのサイトの在庫データベースに対応した連携機能を新たに追加するのは、大塚商会の総合型業務管理ソフトSMILEαの鋼材卸業専門販売管理システム「Power Steel」。同システムは売り上げ・仕入れ、受注・発注、入荷・出荷、在庫、加工指示の各管理システムを持ち、提携具体化でスマートオンラインのサイトと、在庫データの連携機能を新たに追加する。これにより新バージョンを利用すれば、同システムの在庫データをスマートオンラインのサイト上の在庫データとして、オンライン上で登録可能になる。

 大塚商会は将来的に、売り上げ・仕入れ、受注・発注などPower Steelのその他の各管理システムについても、スマートオンラインのサイトシステムと互換可能にしたいとしている。鉄鋼流通業界へのPower Steelの販売実績は累計200社。既存ソフトの価格はスタンドアロン構成で165万円、ネットワーク構成(3台)は280万円。

H 形鋼の市況が上伸基調を強め、関東地区では一部で3万5000円が通り始めているが、メーカー筋では「年内に4万円が狙える状況までさらに上がる」と予測。特約店筋も「年内に4万5000円まで上伸し、高騰を抑制しなければならない状況も想定される」(大手特約店)とみている。

 先行指標の建築着工統計床面積によると、S造(鉄骨造)の5月は前年同月比19・3%増、6月が同12・7%増、7月が同17・3%増。SRC造(鉄骨鉄筋造)が50・3%、12・2%、12・4%と、S造、SRC造ともに3カ月連続で2ケタの増加。S造、SRC造ともに9カ月連続で前年同月の水準を上回った。

 これに伴う鋼材需要は3カ月程度遅れて本格化するため、今年10月まで需要面での懸念材料は見当たらない。10月以降も急激に細る心配はない。土木需要の伸び悩みを補って余りある需要量で、大型再開発物件以外の需要も本格化してきた。需要の台頭を裏づけるように、市況も徐々に右肩上がり。このままで推移すれば、年内にも4万円に達する勢い。

 市況が上がれば、メーカーの増産意欲につながる懸念もあるが、その分需要が増加すれば需給バランスは崩れない。高炉筋は今後も需給調整を継続する姿勢をみせており、電炉筋は増産したくても年間電力契約を変更できないことから、増産対応は無理。

 こうした状況から、メーカー筋では年内にも市況が4万円に達する可能性があるとみており、一部の大手特約店では4万5000円も想定している。

日 立金属は7日、2001年3月期の単独・連結業績予想を上方修正した。それによると、連結売上高および経常利益は過去最高となる見込み。

 単独は中間期売上高は1510億円(前回予想1473億円)、経常利益126億円(同106億円)、当期利益26億円(同23億円)、通期売上高3190億円(同3170億円)、経常利益218億円(同198億円)、当期利益73億円(同70億円)に、連結は中間期売上高2420億円(同2250億円)、経常利益177億円(同134億円)、当期利益50億円(同34億円)、通期売上高は5010億円(同4750億円)、経常利益330億円(同268億円)、当期利益120億円(同94億円)に修正した。

 同社の業績は携帯電話・パソコン関連向けの電子金属材料や、アイソレータ・積層部品をはじめとする携帯電話関連部品、クリーンエンジン用排気系部品の耐熱鋳造製品(ハーキュナイト)などが好調に推移している。また、「2002年中期経営計画」に基づく子会社の統廃合や有利子負債の削減など、一連の具体的施策が着実に実効をあげている。このため、全体的には底堅く、売上高、経常利益、当期利益とも当初予想を上回る見込みであることから、業績予想を上方修正したもの。

住 友精密工業(本社=兵庫県尼崎市、長谷登社長)は、本社工場内のセンサ部門の製造能力を拡大するため17億円を投じてマイクロマシン、検査装置などの導入工事を進めている。2001年2月末の完成予定で、生産能力は年産200万個レベルに拡大する。3月から本格的な操業立ち上げの計画で、振動ジャイロ向けの角速度センサや3軸加速度センサの量産に入る。

 販売面は角速度センサでは、すでに英国ルーカスバリティ社との間で2004年までの4年間に200万個を納入することで合意。この後の供給についても、追加的に契約が行われる見通し。実際の製造は、孫会社のシリコン・センシング・プロダクツ(SSP)が担当する。

 同社は、住金系列の精密機器製造メーカーとして機能しており、航空機部品、熱交換器、半導体、環境機器などを生産。センサ部門は、もともと91年からスタートしたマイクロマシニングプロセスの研究に付随してスタートした。マイクロマシニング装置の製造・販売事業を拡大していく中で、三軸加速度センサをはじめとする各種センサを開発。この製造・販売が中心となっている。

 自動車向け角速度センサを含めたSSPでの量産化対応は、英国向けの大量成約が契機。もともと自動車制御用のセンサは、94年に住友精密とブリティシュ・エアロスペース(BAe)が締結した共同開発の提携で本格的にスタート。その後、99年6月にモーションセンサ製造の合弁会社・シリコン・センシング・プロダクツを設立した。製品販売はシリコン・センシング・システムズ・ジャパン(SSSジャパン)が担当。

 角速度センサを組み込んだ振動ジャイロの供給は、住友精密、BAeと米国VDOコントロールシステムズを加えたコンソーシアムが、英国のルーカスバリティ社と交渉。2001年以降の欧米市場向け自動車安定走行制御システム用振動ジャイロ150万個を受注していた。これがさらに拡大して、200万個の契約になった。この契約に対応するため、製造部門であるSSP(住友精密本社工場内)に17億円を投じて、マイクロマシン、検査装置などの導入を進めている。BAeとの各50%の出資であるため17億円の投資は、両社が折半して負担する。3月から供給を開始する。増設に伴い、技術者3人とオペレーター30人程度が必要となるが、当面はグループ企業のリードライト社の要員を受け入れる形で対応する。最終的には、この部門で60人程度の雇用が見込まれている。

 ルーカスバリティ向けの供給契約は、これまでの4カ年200万個から将来さらに拡大する見通し。他の欧米諸国での契約も検討されており、SSSの本社がある英国プリマスでの第2工場建設の構想もある。

伊 藤忠商事系列のコイルセンター、東京スチールセンター(本社=神奈川県愛甲郡、澤井弘忠社長)は来年2月をメドに、厚中板コイルブランキング(打ち抜き)ラインを設置する。需要家である自動車部品メーカーの加工外注化に対応した設備投資を行い、稼働率や歩留まりの向上により競争力強化を図る。レベラーは中古品を購入済みで、ブランキングプレスは既存設備を活用する。

 同社は伊藤忠商事のグループ会社で、新日本製鉄の関東地区コイル鋼板加工拠点。厚中板のレベラー、スリッター、ショットブラスト、シートブランキングプレスと薄板のレベラーシャー、エリオ鋼板用シャーなどの設備を持ち、受託材を中心に月間約1万6000トンを加工している。需要先は自動車関連が約70%、建材その他が約30%。

 需要先の1社である大手ブレーキメーカー、曙ブレーキ工業が摩擦と振動を中心とした事業分野に経営資源を集中配分するため、鋼板加工の一部を外注化する方針を打ち出し、この動きに照準を合わせた取り組みとして、コイルブランキングラインを導入するもの。主にドラムブレーキに使う鋼板を加工する。

 設備は8月までに購入した中古レベラーと既存のプレスで構成。レベラーは板厚2・3―10ミリ、板幅200―1000ミリ、最大コイル重量15トン、最大コイル外径1800ミリ。プレスは加圧能力600トン、ボルスター寸法1300ミリ×1300ミリで、10月から分解点検修理(オーバーホール)したうえで活用する。

 12月までにレベラーとプレスの設置工事を行い、来年1月から試運転を開始。来年2月から本格稼働に入る方針。投資額は約6000万円。「需要家から高い品質が求められる」(澤井社長)ため、曙ブレーキに対する安定加工体制の構築に注力する考え。

 稼働後の月間加工量(成品ベース)は約200トンを予定。将来的には受注先の開拓を進めて月間約500トンを目指し、加工量や稼働率の向上を図る。同社は84年にシートブランキング加工を開始。大型ホイール用部材専用の厚中板用ブランキングラインを稼働させている。

日 鉄建材工業は、大径角形鋼管(コラム)の販売価格を10月出荷分から2000円値上げする。8月に実施した3000円の値上げが既に市況に反映しており、中小物件を含めて今後も堅調な需要が見込めるほか、僚品H形鋼市況の上昇が確実と見て、追加値上げが可能と判断した。今回の値上げで採算ラインにほぼ到達する。

 コラム市況が8月に3000円上昇し、値上げ分が反映したのをとらえて、追加値上げを検討していた。H形鋼との価格差は通常2万円とされ、あまりに拡大すると市場に受け入れられないとみて、H形鋼の動向を見極めていた。高炉各社が9月契約で店売り向けH形鋼を2000円値上げして市況がさらに上昇するとみられるなかで、値上げ環境が整ったと判断した。

 コラム需要は5月から上向き、7―9月は4―6月比10%増加する見込みで、建築着工床面積や鉄骨加工業者の仕事量から10―12月の需要は7―9月並みで推移すると想定。プレスコラムの代替需要で450ミリ以上の大径サイズの納期は1―1・5カ月に延びており、繁忙感は年内は解消しないと見ている。

 底堅い需要に支えられて、コラム市況は一次加工込みで5万5000―5万6000円と、まだ上昇余地を残している。今回の値上げによる上昇圧力の追加を機に、市況は6万円程度に上昇すると日鉄建材ではみている。





東 京地区の中板(4・5ミリ厚、ベースサイズ)は横ばいながらも重苦しいムード。市況は3万8000―3万9000円どころ中心。

 仲間価格は扱い筋の販売姿勢で辛うじて現状を維持するが、コイルセンター出し値については「春先までの高値からすると2000―3000円ほど下がったのではないか」(特約店)との声も聞かれるほど。7月末時点のコイルセンター在庫はさらに増加、関東地区を中心とする東日本で183・2%と高水準となっている。

 東京製鉄が価格を据え置き、輸入コイルに対する懸念も消えていない状況では市況が停滞するのもやむを得ないとの雰囲気。市中では7月から8月にかけて荷動きが上向いたとの感触も聞かれるが、需給を引き締める気配はない。定尺の引き合いも低調、在庫調整の局面が続く。目先も弱横ばいで推移か。