2000.10.26
通 産省はこのほど「第5回アジア鉄鋼市場と日本鉄鋼業研究会」(座長=浦田秀次郎・早大教授)を開催、これまでの討議内容の整理と、今後のとりまとめ作業に分けた2010年を想定した東アジア鉄鋼需給見通しの策定方法などを話し合った。見通しについては2010年までにエネルギー消費量を90年比10%減とする粗鋼生産年間1億トン前後を想定した業界目標に沿って、地球環境問題を加味して策定をする必要があるとされたほか、東南アジア諸国連合(ASEAN)など東アジアで設備投資など生産需給面でのあり方を話し合う場がないことなども指摘され、広域で情報を共有化するスキームづくりも提言された。

 また、今後の同研究会としてのとりまとめに向け、アジア鉄鋼需給予測とともに、日本鉄鋼業の競争力維持、強化を念頭に、技術開発や財務体質などについても議論を進めることとした。技術開発では老朽化するコークス炉の問題も論点にあげられ、10―15年先を見据えた生産面での大きな制約にはならないものの、延命策など対処の検証は必要とされた。需給予測は日、韓、台の3国地域と中国、そしてASEAN地域の3グループに分類してまとめることになった。

 第5回研究会では、第4回までの議論の整理をして、「東アジア各国の経済は順調に回復している」とする認識を確認。アジア地域での能力増強については、上工程では一貫製鉄所建設は今後、10―15年の間は実施されないとする見方が大勢を占めたものの、ASEAN各国などで共同プロジェクトの形で進められる可能性も示され、継続して議論することになった。さらに一貫製鉄所構想に日本、韓国がどう対応するかがカギとする考えで一致した。下工程では設備導入後、技術移転が着実に実行されないと順調な操業は不可能と分析。その一方で既存計画が実現すると、アジア地域の設備能力は飽和状態になるとの懸念も示され、設投には慎重さが必要とし、アジア各国で同じ認識を持てるかが焦点。

 地球環境問題への対応も掲げられ、業界目標を無視して生産を増やすことは「非現実的」とする見方で一致。さらに需給見通しにもこうした地球環境対応を勘案した予測とすることとした。

N KKは25日、グループ会社で主に製鉄所における設備・補修部門を担っている福山共同機工(FKK、本社=福山市、齋藤森生社長)と鋼管機械工業(KKK、本社=川崎市、宮嶋進社長)が、2001年1月に合併することで合意したと発表した。

 新会社は社名をメンテック機工、本社を東京都港区におき、資本金は6億590万円。合併方式はFKKを存続会社とし、合併比率はFKK1、KKK4・1、株主構成はNKK83・5%、三菱重工業16・5%、社長に齋藤森生・FKK社長が就任する。事業内容は機械、電気、制御、土木建築関連の設計・施工および補修・製鉄機械他の製造・販売、売上高は420億円(99年度単純合算)、従業員数は1760人(2000年10月1日現在の両社従業員数合計)。

 FKKは、福山製鉄所の設備・補修部門の機能を、KKKは京浜製鉄所の同部門の機能を担っているが、両社はこれまで京浜・福山両製鉄所ごとに独立していた設備・補修部門の機能を統合することで、技術・人材の一元化などによる技術力の維持・向上ならびに事業基盤の強化を図ることを目的に合併するもの。

 また、長年鉄鋼事業で培ってきた高い技術力を生かし、今後、需要の伸びが期待できる設備メンテナンス分野および従来手がけているプラント工事など、外部事業の一層の拡大も合わせて目指している。

 NKKは今年2月に発表した「グループ中期経営計画」に則り、グループ経営基盤の一層の強化を図るべく事業の効率化と事業体制の再編を推進している。この合併はこの目的に合致し、鉄鋼事業の競争力強化へ一層貢献することが期待されることから、NKKは積極的に支援していく。

大 手平鋼メーカーの王子製鉄(山隆男社長)は、11月契約分の平鋼の販価を、名古屋、大阪などの西日本地区で1000円値上げ、東京など東日本地区では据え置く方針を固めた。平鋼の販価は「西低東高」状態が続いているため、東西格差を是正する狙いで東日本地区は据え置いた。

 今回、価格を据え置いた東日本地区については、12月には2000円程度の値上げを検討しており、そのための需給調整に拍車をかける。

 具体的には10―12月期の生産を7―9月期並みに抑制。なかでも粗圧延の改造に伴い、5日間にわたってラインを止めた10月の生産は、7―9月期と比べて12―13%の減産となる。

 10―12月期は土木需要が台頭する時期だが、実需の盛り上がりが依然として弱いと判断。減産を継続することで市場をタイト化して、店売り市場で2000円上げの環境が整う下地を構築する。すでに一部ではサイズ歯抜けが散見される状況となっており、減産の継続により、市場は年内にも需給ひっ迫が見込まれている。



日 本電工(高橋啓悟社長)は郡山工場で建設を進めてきたホウ素回収プラントが完成し、本格運転を開始した。ホウ素回収設備は、同社が力を入れているクロム酸回収など環境システム事業の拡充の一環として導入、国内初のホウ素リサイクルシステムの体制を整えた。日本電工は、2000年から3カ年の中期経営計画で新素材と環境システム両事業を成長戦略として強化・拡大する方針で、ホウ素回収事業は02年に5億円の売り上げを見込んでいる。

 ホウ素はメッキなどの表面処理、ガラス、殺菌剤、樹脂、化学薬品、肥料などの製造に幅広く使用される基礎素材だが、一定濃度を超えると農作物の育成を阻害するなどの悪影響を及ぼす。

 すでに琵琶湖を中心とする関西地区の自治体では、条例により排水規制を実施しており、環境庁でも一段の規制強化を検討中で、近く排水基準の概要が決まる見通し。これまでもホウ素の選択的除去は可能だったが、分離したホウ素の再利用の道がなく、産業廃棄物として処分されているのが実態で、再資源化システムの構築が切望されていた。

 日本電工はすでに実績を積み上げているクロム酸回収のシステムをホウ素の回収に応用し、原料として再利用できる体制を確立した。

 ホウ素リサイクルの具体的なシステムは(1)ユーザーの事業所に設置したイオン交換塔(商品名B―クルパック)内の樹脂にホウ素を吸着させ、飽和した時点でB―クルパックを引き取り、再生済みB―クルパックと交換する(操業形態に応じ排水循環型・一過放流型のどちらか選択可能)(2)郡山工場の新プラントでは、引き取ったB―クルパックからホウ素を回収、樹脂の再生処理を行う(3)回収したホウ素はホウ酸として精製し、北陸工場(富山県)で製造しているフェロボロンの原料として利用することで再資源化を図る。

 新プラントは約1億円を投資し、主要設備は、ホウ素を吸着したイオン交換樹脂再生設備とホウ素の溶離液中からのホウ素回収・精製設備が各1式で、設備能力は月間6万リットル(ホウ素を吸着したイオン交換樹脂再生能力)。

中 山通商(町田宏社長)はプロジェクト営業を強化するため、厚板の拠点シャー体制の整備確立を図る。全国各地区ごとの拠点シャーをより明確に定め、物件営業力を強化し、中山製鋼所、中通、拠点シャーが三位一体となって力を発揮できる体制を確立する。

 同社は「中山製鋼グループの商社として存在感のあるメーカー商社に変身する」(町田社長)方針のもと、10月1日付で組織の一部改正を行うとともに、販売戦略と経営管理体制の見直しを行ったが、その販売戦略の一つとしてプロジェクト営業の強化を掲げている。プロジェクト営業強化のためには厚板の拠点シャー体制の整備確立などが不可欠との判断で、今後、各地区ごとに拠点シャーをより明確に定め、手薄な地域は拠点づくりも検討する。

 現状、中山製鋼の拠点シャーは関西地区に4社、中部地区に2社、九州地区に3社、関東地区に1社などとみられる。地区によっては不十分なところもあり、さらに北海道などは拠点がないため、拠点設置を含め地区ごとに体制を見直し整備する。これにより物件営業力を強化する方針。

 販売戦略的にはこのほか地域密着型営業の推進、新熱延ミルの本格稼働に伴う新製品販売体制の強化、さらに営業スタイルを極力ユーザーに近い位置に置くことによる最終ユーザーへの販売強化と新規取引先開拓などに取り組む。地域密着型営業では中国・四国地区の営業拠点として10月1日付で開設した岡山営業所を手始めに、今後営業所の増設を検討する。また東京支店も人員を従来の14人から16人に増強し、関東地区拡販体制を整備した。

 経営体質的には従業員の退職、社外出向により人員を85人まで削減、その他経費削減効果もあり月商30億円でも黒字を確保できるところまで合理化を完了した。2000年度は売上高420億円、経常利益1億1900万円を見込む。



日 本水道鋼管協会(WSP)と塩ビライニング鋼管リサイクル協会はこのほど、「資源循環型社会の実現に向けて」と題する、塩ビライニング鋼管リサイクルのPRビデオを作製した。WSPは同ビデオの完成を機に、第2次PR活動として、中央官庁、都道府県、都市、公団・公社の営繕・住宅部門、水道事業体のほか、設計事務所、ゼネコン、設備工事会社などに対する巡回活動と技術説明会の開催を全国的に展開していく。

 塩ビライニング鋼管のリサイクルシステム(分別回収・鋼管と硬質塩ビとの加熱分離など)について、建設省をはじめとする各需要家の要請にこたえ、昨年12月にリサイクル拠点の体制整備(中間集積場13カ所、協力会社2カ所)を完了し、端材、廃材の回収作業を開始した。このリサイクル活動をより積極的、専門的に実施するため、今年4月に塩ビライニング鋼管リサイクル協会を設立し、また、PR資料としてカラーパンフレット「硬質塩化ビニルライニング鋼管のリサイクル」を発刊、全国的なPR活動を展開してきた。

 こうしたリサイクルPRをより効果的、効率的に推進するために製作されたのが、今回のビデオ作品(13分)。内容は(1)プロローグ(2)ライニング鋼管の紹介(給水・給湯・消火・排水・空調配管用の諸製品)と需要動向(オフィスビルで約80%の使用比率)(3)工事現場からの端材・廃材の発生(4)中間集積場(10月現在で14カ所)およびリサイクル協力会社(神奈川県と滋賀県の2カ所)の設置(5)リサイクルシステムのフロー、受け入れ基準、受け入れできないもの(6)回収材搬入の申し込み手順、リサイクル依頼伝票(7)リサイクル技術開発(現行の加熱分離に代わる非分離方式・熱媒浴法による開発)(8)エピローグで構成されている。

 WSPでは同ビデオ(コピー版)を会員だけでなく、一般にも頒布(1本5000円)することとし申し込みを受け付けている。

 (連絡先=日本水道鋼管協会 リサイクルビデオ頒布係 電話03―3264―1855 FAX03―3264―1856)



N KKが出資するタイの電気亜鉛めっき鋼板工場、タイ・コーテッド・スチール・シート社(TCS、生天目優社長)は、2001年に設備のフル稼働を予定し、年間15万トンの生産を見込んでいる。家電やコンピューター向けの耐指紋性鋼板の販売が好調で、00年は14万トンとほぼフルに近い操業を確保。ユーザー先の輸出向け販売が堅調で受注は上昇傾向を維持しており、近い将来には20万トン規模に生産能力を拡大していく方針だ。

 TCSは東南アジア唯一の電気亜鉛めっき鋼板工場として、NKK46・6%、丸紅29・9%、伊藤忠14・9%、タイ現地資本のサハビリア・グループ8・6%の出資(資本金34億バーツ・約90億円)で90年に設立登記された。工場の敷地面積は5万7600平方メートル、総敷地面積8万8263平方メートル。主要機器納入や工場建設は一式NKKの総合エンジニアリング事業部で行った。

 年間生産能力は15万トン。製造可能な製品厚は0・3―2・0ミリ、製品幅は900―1550ミリ。素材は、NKK、サハビリア・グループとNKK合弁のタイ・コールド・ロールド・スチール・シート社(TCR)、ポスコの3社から仕入れている。従業員はバンコク本社に25人、工場には事務・技術系41人、技能系208人の計274人を配している。

 94年の操業スタート時は、年間約4万トンの生産だったが96年には9万トン、97年14万トンと順調に拡大。97年の通貨危機も家電産業は、さほどダメージを受けなかったため、国内全般に景気の底となった98年も12万トンとわずかの減少にとどめた。99年は14万トンに回復、00年もほぼフル生産の14万トンペースを維持している。

 TCSの販売先は、耐指紋性鋼板ユーザーの家電やコンピューター向けが65%、エアコンの室外機や鋼製家具など一般用途35%。大半がコイルセンター経由でダイレクトはわずか。タイ国内の家電メーカーは、ASEAN近隣諸国など輸出向けが好調で、資材の現地調達比率の向上を進めていることからTCSでは先行きも底堅い需要を見込んでいる。

大 阪地区の合成床板は大店立地法がらみの需要が一巡、上げ足も鈍化してきた。市況はベース9万2000―9万3000円どころ。

 大店法がらみの大型スーパーやホームセンターの需要はピークを過ぎ、ほぼ一巡。一時期の活況感は消え、ここにきてメーカーの直送納期も1カ月強から3週間に短縮。また、活発だった店売りの定尺販売の荷動きも鈍化してきている。

 大阪鉄鋼流通協会の調べによると、9月末の入出庫状況(デッキ・キーストン含む)は入荷が前月比13・4%増の1725トン、出荷が同比12・5%減の1637トンと推移し、在庫は8・1%増の1173トンと2カ月連続で増加した。

 このため、市況の上げ足は鈍化。現在、メーカーの直送価格は7万3000円中心、小口物件では7万5000円近辺。メーカー各社は引き続き採算回復を目指して、唱えを7万5000円に引き上げている。