2000.11.13
新 日本製鉄、NKKなど高炉各社と豪州、ブラジル、カナダなどの原料サプライヤーとの01年度積み主原料価格交渉が12月から始まる。日本を含む世界的な鉄鋼生産と原料需要の増加を背景に鉄鉱石、原料炭とも需給はタイト化の様相を強めている。高水準の粗鋼生産の一方で、アジア向け鉄鋼輸出価格の下落、収益回復の遅れなど、不安材料を抱える高炉各社は厳しい対応を迫られることになる。

 日本鉄鋼業の00年度の粗鋼生産は3年ぶりに1億トンの大台に乗せることが確実視されている。日本とともに、鉄鋼原料の2大バイヤーである欧州鉄鋼業も高水準の生産を持続中。これに中国の輸入急増も加わって、00年の世界の鉄鉱石海上貿易量は、過去最高レベルの4億5000万トンを超えるとの見通しも出ている。

 鉄鉱石価格は95年度から4年連続の値上げの後、99年度で10%強の大幅値下げとなったものの、00年度は4・35%(粉鉱)―5・77%(塊鉱)の値上げ。

 原料炭は98年度以降3年連続の値下げの後、一般炭市況の底入れ・回復もあって需給緩和感が解消中。インドミルなどによる一部入札でも、これまでのように安値で応札する状況は見られなくなっているという。

 ただ、高炉各社は炉寿命の延命化を図っているコークス炉に増産余力を欠いている状況。コークス生産の増加分は中国などからの輸入に依存する状況になっていることから、原料炭の所要量の増加には限界がある。

 00年度価格による主原料コストは、高炉各社全体で鉄鉱石の値上がり分約100億円を原料炭の値下がり分がほぼ相殺したものと推測されているが、01年度は鉄鉱石とともに原料炭もサプライヤーは、値上げをオファーしてくるのは必至の状況。

通 産省と中国・国家経済貿易委員会(経貿委)との次官級定期協議およびこれに先立って行われた実務者協議では、通産省、経貿委、日本鉄鋼連盟、中国鋼鉄工業協会の官民レベルによる「日中官民鉄鋼対話」の開催が基本合意されたほか、鋼材輸入規制問題では中国側が通産省に対し、輸入許可証(IL)について再度取りまとめるよう要請、ステンレス冷延薄板のアンチ・ダンピング(AD)措置問題では中国側から調査は公正に行われており、12月中旬に最終決定を下すことが伝えられた。さらに決定から1年以内なら不服申し立てに対し再審査できるとし、これ以外には不服申し立て手続きはないことも示された。

 次官級協議には荒井寿光・通産審議官、経貿委の張志剛・副主任が出席。また、実務者協議には通産省・鉄鋼課の高木繁・国際班長が、中国側からは宋和平・産業損害調査局処長、鳥継憲・対外経済協調司副司長が列席した。IL発給については日本側が2000年枠の不足分について年内発給と、来年分の早期、円滑発給を改めて確認。

 ステンレスAD問題では、日本側が世界貿易機関(WTO)ルールに一連の措置は反していると抗議したのに対し、中国側は中国国内法に沿って合理的に行っており、調査も公正に実施されていると反論した。そのうえで不服申し立て手続きは、決定から1年以内の申し立てに対する再審査のみしか国内法にないことを説明。「WTOに加盟後には、WTOルールに合わせていく」とした。さらにマニュアルレビュー(年次見直し)はなく、サンセット条項は4年目に提訴者から「損害あり」とする申し入れがあれば再度調査する制度であることも報告された。台湾の扱いについては提訴状に記載されていないことから調査対象としていないと答えた。

 また、日中官民鉄鋼対話開催については、日中経済協会ミッションと張副主任との対談を踏まえ、日本側から改めて企業動向や輸出入状況など幅広く意見交換する場の設置を要請。中国側も鉄連や中国鋼鉄工業協会と業界団体も加えた官民レベルの対話に合意した

日 本冶金工業は、同社取引流通の矢田産業が自己破産したのを受けて、新会社を設立することを決めた。新たな事業形態を敷き、取引先への供給ルートを確保する。現在、新会社設立の準備作業を進めている段階で早ければ3週間程度で発足、遅くとも年内には事業展開に着手させたい考えだ。

 新会社については、日本冶金が70%程度を出資するほか、グループ企業や新会社の社員も出資し、日本冶金グループとして80―90%程度を保有する方針。人員についても旧・矢田産業から70―80人程度を受け入れる方向で調整を進めている。

 事業体制については東京に本社を置き、北関東、神奈川、名古屋、九州の5事業所とする。事業所の立地については、管財人などとの交渉があるため決定には至っていないが、地方の事業所については、旧・矢田産業の所有物件を購入もしくは改めて新会社が賃借することも検討。東京の本社については、新立地への移転を進める。





鍛 工品メーカーのメタルアート(本社=滋賀県草津市、安冨史社長)は、海外の鍛工品メーカーとの提携を拡大する。98年以降本格提携したアメリカ、インド、インドネシア、韓国に続き、ドイツの現地メーカーとの技術提携交渉を進めており、近く最終合意の見通し。海外メーカーとの提携拡大は、国内自動車メーカーの海外法人が部品現地調達を拡大させているのに対応したもので、将来的には提携先とタイアップして現地生産に乗り出すことも検討している。

 メタルアート社は、鍛工品メーカーの大手。神戸製鋼、住友金属、山陽特殊製鋼、愛知製鋼などの特殊鋼メーカーが月間4500トン程度の特殊鋼を購入。自動車や建機向けのギア、シャフト、バルブなどを生産している。向け先は、ダイハツ、トヨタ、三菱自動車などのオフラインメーカーと、コベルコ建機などの建機メーカー。自動車向けは、現在全体の53%に達している。2000年度上期の売り上げは67億円で、1億6000万円の経常黒字が見込まれている。

 国内の自動車向け販売は、当面は好調に推移する見通しだが、長期的には低下する可能性が強い。これに対し、アジアや欧州などでの日系メーカーの生産は、増加するのは確実。しかも一定の生産水準に達すれば、部品の現地調達の拡大が必死。国内の鍛工品メーカーとしては、海外展開が長期的には戦略的なテーマになっている。このため国内メーカーの海外展開に合わせ、海外の鍛工品メーカーとの提携関係の構築に乗り出している。

 98年以降本格化しており、アジアでは、インド、インドネシア、韓国で具体化している。インドでは、最大の鍛工品メーカー・バラット

川 崎製鉄・千葉製鉄所の藤森寛敏所長(常務)は9日の会見で、NKKとの補修、物流、購買の3分野での提携で、「現状では水島製鉄所に『西部会』、千葉製鉄所に『東部会』を設置して、技術陣の相互交流、輸送の際の口銭共用に着手しており、資材購入の見直しも検討している。今後は操業技術や低稼働の研究設備の共同利用などについても検討していくことになるだろう」と、取り組み状況と今後の予定を述べた。

 具体的には、NKKの廃プラスチックの高炉投入技術や、川鉄・千葉のコークス炉の延命技術・高炉の短期改修技術など、上工程が中心となる。東部会で両社50件近いテーマを持ちより、実行できるものから着手する。

 また、今年度上期の千葉製鉄所の稼働状況は、粗鋼生産195万トンに達し、年度では400万トン弱の生産が見込まれている。現在はフル操業状態。第3ホットの稼働率を引き上げていくためにも、今後も操業率をキープしていく計画。

 千葉製鉄所が来年50周年を迎えるに当たっては、薄板に特化した製鉄所として10%の能力増強、自己実現ができる製鉄所、環境に配慮し地域に密着した製鉄所を目指す。技術と技能伝承を狙った人材育成、協力会社との絆の強化、技術開発の推進も課題となる。今後は東工場跡地の再開発も大きなテーマだが、「その際は現在東工場にあるコークス炉をどうするかがポイントになるだろう」と語った。



神 鋼鋼板加工(本社=千葉県市川市、宮征夫社長)は本社工場内の敷地を賃貸し、遊休資産の有効活用を図る。本社事務所に隣接する土地でこれまでグラウンドなどに使用していた。敷地面積は約1万3600平方メートル、9月に定期借地権方式により契約を締結した。同地には玩具卸売業者の物流センターが建設される予定。

 賃貸が決まった土地は1979年3月、同社相模工場(旧尼鉄スチール物産所有)閉鎖の際に神鋼商事と土地の等価交換を行い取得したもの。これまで従業員用のグラウンドなどで利用してきた。同社では今年度からスタートした中期経営計画の一環である遊休資産の活用方針に沿って検討を進めた結果、外部への賃貸を決定。9月までに契約を結んだ。

 賃貸先は昭和リースの不動産部門子会社「エス・エル・エス」。エス・エル・エスは延べ床面積約2万4700平方メートル、高さ約22メートル(3階建て)の倉庫を建設、玩具卸売大手のハピネットに賃貸する予定。倉庫は今週にも着工し、01年8月末に竣工、ハピネットの「新物流センター」として稼働する予定。





関 西鉄鋼センター(本社=大阪市此花区、星山秀正社長)は2000年度下期(00年10月―01年3月)、売上高で24億円、経常段階での黒字を目指す。切板については月間3200トンの受注を継続し、自社加工もフル稼働体制を維持していく。特に、自社加工のうち橋梁向けが今上期で70%強と高いウエートとなり、収益改善に大きく寄与したことから、下期についても上期並みのウエートを確保していきたい考え。

 同社は新日本製鉄の関西地区の指定シャー。本社工場は敷地面積が1万9562平方メートル、工場の建屋面積が7862平方メートル。加工設備はガスプレーナー1台、NC溶断機3台、NCレーザー切断機1台、NCプラズマ溶断機2台、アイトレーサー2台、高速開先切断機1台、油圧ベンドプレス、半自動コーナーカットなど。

 今上期は計画では売上高で20億円、経常損益はやや赤字を予定していたが、結果的には売上高で24億円、経常損益も若干の黒字となった。切板は受注で月間平均3200トン、うち自社加工が90%、外注が10%。

 この収益改善の要因は、橋梁が前年度の第4・四半期(今年1―3月)に発注されたものが工事ベースで今年度にズレ込み、結果、加工(切板)が月間ベースで平準化された。また、自社の切板数量のうち、橋梁向けのウエートが前年度同期で65%だったが、今上期は70%強まで高まったこと。昨年度下期に小物加工用の設備投資を行うとともに、切断技術の改善したことにより、全体の生産効率が向上したため。

 下期も来年1月まで、ほぼ受注のメドが立っていることから、受注目標は上期並みの月間3200トン、自社加工も月間2700―2800トンを目指す。特に、橋梁向けの自社の切板は70%強を維持していきたい考え。

東 京地区の等辺山形鋼は6×50で3万3000―3万4000円、溝形鋼は5×50×100で3万7000―3万8000円と強含み。荷動きの好転と減産によって需給は引き締まっている。メーカーは12月に再値上げする意向を示しており、当面上げ基調が続きそうだ。

 流通の10月の販売量は「7―8%増」(特約店)などと9月実績を上回ったようだ。溝形鋼はメーカーからの入荷遅れが解消しておらず、特に100サイズの品薄感が強い。山形鋼はメーカー在庫が少ないため、ロール待ちのサイズが散見されるなど窮屈感がある。

 メーカーは12月に2000円値上げする意向を示しており、11月契約で溝形を中心に20%引き受けを削減して環境整備を進めている。流通は月内に山形で3万5000円を実現したい考えで、直近では3万4000円が50%程度浸透しており、なお上昇含みの情勢だ。