2001.03.19
佐 藤商事(本社=東京都、矢次良守社長)は、同社3番目のコイルセンターとして福島工場(福島県田村郡船町光陽台)を建設する。周辺に展開する自動車関連の薄板プレスメーカーの需要囲い込みを狙いとしたもので、5月中旬から稼働予定。設備は、第1期工事として神奈川工場からコンビネーションレベラーを移設する。自動車関連と隣接して建設されている三進金属工業向けなどを中心に、当面月間5000トンの加工を目指す。

 佐藤商事は、今3月期で売上高955億円、経常で19億円の黒字が見込まれている。特殊鋼部門を主体に自動車・家電関係の薄板製品の加工販売を行っている。金属部門の比率は57%に達しているが、量販店向けの雑貨類も10数%ある。

 薄板部門は、NKKなどの製品を自動車メーカー・いすゞ関連の部品メーカーに供給している。神奈川工場、栃木工場が現在稼働しており、今回3番目のコイルセンターとして福島に進出する。

 コイルセンター業界は、全国的に30%近くの設備過剰と言われる。このため高炉系を中心に統合・設備の相乗り、廃棄などの動きがある。一方、商社を中心に、需要業界に近いところで新規展開することで、特定の需要家を囲い込み、販路を確保して差別化を図る動きがある。佐藤商事も、自動車関係の部品メーカーの近辺に立地することで、特定需要の囲い込みを狙った。

 工場は敷地面積約1万2000平方メートル。建屋が2500平方メートル。設備は第1期分として、神奈川工場からコンビネーションラインとリシャーを移設する。今後の需要動向を見ながら、レベラー、スリッターなどの増設を第2期工事として計画している。加工量は、現在神奈川工場で加工している分の委譲を含め、5000トン近くが見込まれている。

鋼 製ラックのトップメーカーの三進金属工業(本社=大阪府泉北郡忠岡町、新井正準社長)は、福島県石川郡平田村に新工場(名称=福島工場)を建設していたが、このほどほぼ工事を完了、4月1日に竣工披露を行う。

 既存の郡山工場(福島県郡山市、工場棟=4カ所)を新工場に全面集約するのが狙い。新工場は環境に配慮した21世紀タイプで、生産設備はコイルから自動フォーミングで部材ができる機械を新設するなど、海外との競争にも打ち勝てる体制を整備した。ラックの製作能力は月間2500―3000トン(母材ベース)で、早急にフル稼働を目指す。将来は建屋を増強し、月間1万トン規模の工場にしたい考え。

 同社は本社工場と郡山工場(4カ所)を持ち、電動式移動ラック、手動式ラック、立体自動倉庫、鋼製部品ラック、パレットラック、パーティションなどを生産・販売している。

 郡山工場は市内に4カ所(1棟=1万890平方メートル、1棟=1980平方メートル、1棟=1万2200平方メートル、1棟=990平方メートル)に分散しており、生産・物流の効率が低下していた。今後、海外メーカーも含めたコスト競争を考慮すると、集約が課題となっていた。

本 紙の調べによると、2000暦年のメーカー別H形鋼生産量は、東京製鉄が前年比16%増の129万5000トンと、前年トップの新日本製鉄を抜いて首位に返り咲いたことが分かった。新日鉄は同比3・2%減の120万7000トンと、生産メーカーの中で唯一減産を堅持したことでシェアを落とした。東鉄が首位に立ったのは、新日鉄との間で第3次H形戦争を演じた93年以来7年ぶりのこと。

 同暦年の全国生産量は前年比9・2%増の576万トン。この中で、首位に立った東鉄のシェアは、前年の21・2%から22・5%にアップ。逆に、新日鉄は23・7%から21%にシェアダウンしている。合同製鐵、トピー工業を含めた新日鉄グループ全体の生産量はほぼ横ばいの154万9000トンだったが、シェアは29・5%から26・9%にダウンした。

 昨年、最も増産率が高かったのはキョウエイ製鉄で、28・2%増の79万トン。シェアも11・7%から13・7%に躍進した。また、NKK・エヌケーケー条鋼も16・4%増の76万2000トンと増え、シェアが12・4%から13・2%にアップした。

 このほか、川崎製鉄・ダイワスチールは同比2・7%増の96万2000トン、大和工業が2・8%増の40万トンといずれも微増にとどまり、シェアを落とした。

中 山製鋼所のエンジニアリング事業部は建設、海洋、溶射、鋳機の4部門のうち、今3月期で唯一赤字予想の建設部門(建設エンジ)について、来期は売上高年15億円に再チャレンジし、黒字確保に全力をあげる。

 エンジ事業部は建設、海洋、溶射の3部門と、昨年4月に従来の機械事業部から一部(ロール・バルブ事業)を継承し発足した鋳機の4部門構成。エンジ事業部全体では今3月期で売上高50億円、経常利益2億6000万円程度を見込むが、部門別では海洋、溶射、鋳機の3部門が黒字見通しであるのに対し、建設部門は上期のマイナスが響き、通期で若干ながら赤字予想。

 建設部門の今期の主な施工物件としては総合建築請負で三星商事の姫路営業所、星光商事の本社ビルの建設、中山三星建材の苫小牧工場の倉庫増築、清水工場の事務所建設。また鉄骨工事でユニバーサル・スタジオ・ジャパンの施設4棟などがあるが、売上高は上期が5億8400万円の実績、下期が5億4700万円の予想となっており、通期11億円強と当初目標の15億円に対して4億円ほど未達となる見通し。

 建設部門ではこうした状況を踏まえ、来期は今期目標の売上高15億円に再チャレンジし、黒字確保に全力をあげる。

コ ンストラクション・イーシー・ドットコム(佐藤誠社長)はこのほど、2001年度事業展開の一環として、これまでの仮設資材から本設資機材や請負工事を含む建設工事全般へとサービス対象を拡大するとともに、ユーザーの選択幅が広がる新しい料金体系を設定して、広く会員募集を行うと発表した。

 同社はNTTデータをはじめ、大手ゼネコン5社らが出資して、昨年8月1日付で設立。同社が運営するeコマースサイト『建設マーケットプレイス』は同12月20日に開始され、仮設資機材や建設機械の調達やリース、レンタル業務を対象に電子商取引サービスを行ってきた。

 ただ、会員企業の広範なニーズに対応するためには、請負工事を含む建設工事全般にサービスを拡大することが必要であるとし、このほど定款を改定して正式に取り組むことを決めた。

 具体的には、建設工事全般に関する工種を分類し、サービス対象カテゴリーを提案。このサービス対象カテゴリーに対応して、3月15日から広く会員募集を開始している。申し込み会員が一定数に達したカテゴリーから登録作業を行い、同作業が完了したカテゴリーから4月中旬をメドに、サービスを開始する予定。また「品川東口B―3地区ビル(仮称)新築工事」をモデルプロジェクトとして、重点カテゴリーに沿った会員募集を行う。

 一方、同社では事業規模に合わせて選択可能な新料金体系を設定し、順次適用していく方針。現行の料金体系では、画一的で柔軟性がないとの指摘が出ているとともに、今回対象を拡大することで会員の事業や取引規模でバラツキが生じることから、改定に踏み切ったもの。

姫 路の大手鋼材特約店である飯塚鉄鋼(本社=姫路市別所町北宿、前田正彦社長)は5月末に、本社工場に最新鋭の開先加工機3基を新設する。大手取引先などの顧客ニーズに対応するもので、これにより開先加工能力は倍増する。同社はここ数年、切り板を中心とする加工設備の増強を行っているが、今年度は開先加工設備の充実に重点を置き、本年後半にもNCプラズマ開先機の導入を検討している。

 新設する開先機は安川電機製のロボット開先機「MOTOMAN SERIES UP6」2基と、シンクス製の送材式開先機「VRK―3615」1基の計3基。ロボット開先機は、加工部が自由に可動するマニピュレーター機能を有しており、広範囲な角度での開先加工が可能。送材式開先機も高い加工能力を有する最新鋭機で、投資金額は合計約3000万円。いずれもすでに発注済みで、5月末の納入を予定している。同工場の開先機は従来機と合わせ計6台となるが、今年前半の需要動向などを見て、NCプラズマ開先機の導入も検討する。

 同社は「従来の鋼材販売機能だけでは生き残れない」との判断のもと、ここ数年は鋼板加工設備の充実に力を注いでいる。昨年までに、ステンレスや合金鋼など非鉄金属切断加工用のアルゴン水素プラズマ(コータキ製)を1基導入したほか、CADを1台増設。さらに、切断速度・生産コストが大幅に低減できる最新鋭機ツインスターファインプラズマ(コマツ産機製)1基も新設し、旧式溶断機を最大有効板厚600ミリの超極厚用に改造するなど、約1億円弱を投入して加工設備の充実と更新を推進してきた。

住 友商事・大阪本社の大阪鉄鋼建材部は4月1日から、「大阪鉄鋼建材・製鋼原料部」とするが、同部は来年度に年間600億円の売り上げを目指す。具体的には小棒の販売機能のシステム化を推進、収益の向上を図る。また、来年度は関西地区で土木の大型工事が発注されることから、鋼管杭、鋼矢板の受注を増やす。関係会社の住商鉄鋼販売(水上義久社長)の取扱製品であるテクノトラス、サミットグリーンなどの販売も伸ばしていく方針。

 これまで、大阪本社では鉄鋼建材製品を大阪鉄鋼建材部で取り扱っていたが、4月1日からは鉄鋼原料部の製鋼チームを統合し、大阪鉄鋼建材・製鋼原料部とする。

 また、チームは土木建材、特殊建材、棒鋼、建築建材、形鋼の5つだったが、4月1日からは土木建材と特殊建材を一つに統合するとともに、製鋼原料チームが加わり新たな5チーム体制となる。

 来年度は小棒の販売機能のシステム化を図る。関東地区で先行しているデーバーeを機能させ、これを今後はゼネコンのシステムともつなげ、効率的な営業展開を目指す。

 土木は来年度、神戸沖の埋め立て、関西新空港2期工事、スラッジセンター向けの沈埋函などの土木工事がまとまって発注されることから、同向けの鋼矢板、鋼管杭などの受注を強化する。

 形鋼については既存の取引関係のある特約店との連携を密接化し、販売数量の確保を図る。また、鉄骨住宅向けのFRPも伸ばしていく。

鋼 板加工業者の永和興業(本社=大阪市大正区南恩加島、浜野滋社長)は、中長期的には本社工場の2棟のうち、1棟をレーザーの専用工場とする計画。すでに今月には最新鋭のレーザー加工機1基を増設、2基体制としたが、3年後にはさらに1基を導入する予定。溶断についてはいずれかの時期にプラズマ溶断設備を新設、現在のNC溶断での加工からプラズマに切り替え、鋼板の厚物を主体に加工していきたい考え。

 同社は本社工場にNC溶断機4基、レーザー加工機、ショットブラスト・プライマー設備2基などがあり、精密溶断、レーザー切断、ショット加工を手掛けている。

 現在、切板の加工量は月間200トンで、このうち、レーザーが同20トン。ただ、レーザーの加工は産業機械、建設機械から部品などの細かく精密な注文が多く、このニーズに対応するにはレーザーの増設が必要と判断、今月、4`hのレーザー加工機を増設した。

 中長期的には本社工場の2棟のうちの1棟をレーザー専用工場とし、部材加工を強化する。具体的には既存のレーザー設備2基に加え、3年後をメドに、さらに設備を増設する。

東 京地区の縞板市況は定尺の引き合いが鈍っており、弱含みムードが広がってきた。市中価格(3・2―4・5ミリ、ベースサイズ)は、5万5000―5万6000円が中心。

 東京製鉄の値下げ発表が尾を引き、小売業者にとっては需要家の値下げ圧力をどこまで抑えるかがポイントとなっている。小口の受注を集積してきた縞板も、コイル価格が表に出てしまうとやはり商売が難しくなり、定尺販売で買い控えが顕著となってきた。

 このため、小売価格も高値が徐々に消え、量がまとまった場合の値引き対応についても需要家との交渉で形勢が不利となっている。加工の繁忙感はあるが、目先も弱含み。

東 京地区の一般構造用鋼管(熔協品)市況はトン当たり5万3000―5万4000円(48・6ミリ×2・3ミリ)を中心に、横ばい基調が続いている。

 扱い量は、2月に若干の減少傾向を示し先行きが懸念されたが、3月に入り「(倉出し)販売に変化は見られない」(扱い筋)とのこと。市場全体としては活気がある状態ではないが、低位ながらも手堅い量を保っている――ということか。年度末に顕在化するメーカーサイドの売り圧力もなく、「需要に変化がないので、現状ではメーカー・流通ともに『今の基調を守ろう』との意識がある」との見方。市中在庫は適正水準の範囲内。目先、横ばい商状の見込み。

大 阪地区の異形棒鋼市況は下げ止まり感が台頭してきた。相場はベース2万5000―2万5500円どころ。メーカーの価格最優先の姿勢が奏功、これ以上の値下げはないとみた流通筋が極端な安値取引回避に動き出している。

 メーカーの3月契約における販価据え置き限定販売方針を受けて、各商社とも先週までにおおむねメーカーとの契約を終えている。

 メーカー各社は価格を最優先し減産で足並みがそろっているため、商社サイドもこれまでのような先行安売り的な商いを回避する動きで、2万3、4000円といった極端な安値取引は消えつつある。

 ただ相変わらず明細の出は悪いだけにメーカーとしては当分の間、減産継続でがまんの状態が続きそうだ。