2001.06.06
高 炉メーカーが相次いで店売り熱延鋼板の受注調整を表明した。在庫増加と価格の下落に歯止めがかからない中で、需給改善に向けて危機感を示したといえる。薄板は4月以降の需要が予想以上の落ち込みで、年度後半に向けても需要見通しに厳しさが増している。まず熱延鋼板から市中の雰囲気を変えるためには6―7月の生産水準、メーカー在庫の圧縮が焦点となる。

 新日本製鉄、NKK、住友金属工業の3社が先週5月末までに、6―7月にかけて熱延鋼板の受注調整を行うことを表明した。調整の幅は店売り受注分で1カ月前後、数量にして1万トン弱から1万数千トンとなる。

 店売り市場は高炉メーカーのシェアが低く、熱延も輸入材や東京製鉄製品が主力。受注調整の効果が出るのは7月、8月以降で需給改善に直結するというよりも、メーカーの明確な意思表示に対する心理的な影響が大きい。

 薄板はコイルセンターや流通を巻き込んだ局地的な受注競争が長引き、価格が大幅に下落した。輸入材は1―3月をピークに減少、市場として魅力がなくなっている。メーカー、流通とも価格的に限界との認識で一致しており、メーカーが受注調整をあえて表明した背景には「市況の悪さを黙って見過ごせない」(住金)レベルまで需給環境が悪化したことが挙げられる。

 需要について高炉メーカーでは「4月以降前年同月比で5%、前月比では10%以上落ちている」(NKK)という。4、5月の販売不振から「1―3月の建築の非住宅着工面積が予想よりも落ちた。上半期を通じて停滞が続くのではないか」(新日鉄)と7―9月、今年度下半期とも厳しい見通し。建材に比べて店売り分野では関連の薄い自動車も、7―9月の生産予想は下方修正含みだ。

日 新製鋼は今年度第2四半期(7―9月)にかけて、ステンレス鋼板の生産調整を実施する。IT(情報技術)関連需要の落ち込みと輸入材流入による店売りでの在庫増を勘案し、国内向けステンレス薄板について3月末ごろと比べ、全体で14―15%供給を絞る。IT、店売りなど部分的には最大で50%程度落とすほか、店売り全体でも30%以上抑制する。東南アジア向け輸出環境も市況反転の兆しが見えつつある中で、国内向けでも7―9月にかけて集中的に施策を講じ、市場環境を整える。

 ステンレス市場は、輸出市場では市況が底を打ち、上昇機運も出始めている。これを受けて、日本国内への輸入材も減少しつつあり、市中への圧力も弱まってきているという。こうした状況を踏まえ、同社では店売りを主体として在庫圧縮など短期間に対応策を集中的に実行することで、早い段階で調整を完了させたい考えだ。

 IT、店売りなどで需要は後退しているものの、普通鋼に比べれば出荷レベルの落ち込みは小さい。市況が弱含んできている情勢をにらみ、早期に需給バランスの改善に当たる。

鉄 鋼労連、非鉄連合会、造船重機労連は5日、東京・芝の友愛会館で記者会見を開き、03年秋をメドに3産別の組織を正式に統合することで合意した、と発表した。これにより新産別の組織人員は約28万人(鉄鋼14万、造船12万、非鉄2万)となる。

 会見には荻野武士・鉄鋼労連、渡部智・非鉄連合会、吉井眞之・造船重機労連の各中央執行委員長が顔をそろえた。

 3産別代表が組織統合に向け、検討を重ねてきた結論として、各産別の大会終了後に「統一準備委員会」(仮称)を設置し、(1)規約・規定(2)組織運営(3)地方組織(4)諸活動、などを中心に具体的な検討に着手する。同準備委員会では特に、統合の新名称、旗のデザインなどついては公募する方向を確認している。

 また、新産別の活動周期は第1期は1年間とし、第2期以降(04年秋)、2年周期とする。
神 戸製鋼所およびグループ各社で取り組んでいる「環境家計簿」活動が、大阪府の「平成13年度おおさか環境賞」を受賞、きょう表彰式が行われる。「おおさか環境賞」は、豊かな環境づくり大阪府民会議(会長=大田房江大阪府知事)が平成9年4月に創設、豊かな環境づくりに功績のあった府民、団交、事業者を表彰している。

 神鋼は事業者部門奨励賞7社のうちの1社に選ばれたもので、同賞の受賞は鉄鋼業界では初めて。受賞にあたっては関西経済連合会(秋山喜久会長)が推薦者となった。

 「環境家計簿」活動は、神鋼グループの会社員、家族を対象に、半年ごとに5万部の環境家計簿を配布、回収し、家庭での省エネ、省資源活動を積極的に推進している。これまで5回の配布、回収を行っており、今年上期で継続3年、6回目となる。
在 阪の大手形鋼特約店各社が3、5月期決算で、増収、経常黒字を確保する見通しだ。昨年7―11月の需要増、市況上伸が寄与したもので、横浜鋼業(3月期)が4期ぶりの経常黒字に転換したほか、堂島鋼業(5月期)も3期ぶりの経常黒字となるもよう。ただ、各社の黒字幅は建築需要が急減した1―5月で大幅に目減りしており、今期の業績見通しについても極めて厳しい見方となっている。

 大手形鋼特約店の横浜鋼業は3月の単独決算で、売上高77億9200万円(前期比8・7%増)、経常利益6400万円(前期=2億1500万円の赤字)と増収、黒字転換。

 昨年、市況がH形鋼で約5000円、アングルで7000円近く上昇したほか、改正大店法に伴う大型スーパーの駆け込み需要が出るなど、昨年の環境好転が寄与した。同じ3月決算の西岡金属も昨年の市況上伸、扱いトン数の増加から、増収増益。とりわけIT投資で好調だった九州など地方での売り上げ増が目立った。

 また、薮本鉄鋼は1―3月の需要急減が響き減収となったものの、経常利益は前期と同額程度の5000万―6000万円を確保。鋼材販売の収益は振るわなかったが、軽仮設リース部門の黒字が貢献した。さらに、5月に決算期を迎えた特約店も微増収ながら経常黒字を確保できそう。堂島鋼業は売上高100億円強、経常利益1000万円の見通し。1―3月の需要急減、4、5月の市況ダウンが大きく響いたが、前半6―12月の貯金で利益を確保できるもよう。同じ5月決算の三栄金属も微増収で、経常利益は前期とほぼ同額の6000万―7000万円を計上できる見通しだ。
台 湾のセンユ・スチールは、37億円を投じて酸洗設備の更新と圧延ラインの改造を年内に実施する。酸洗設備は、2系列あるラインのうち老朽化した方を30億円で更新する。圧延設備の改造は4段レバースミルの改造で、投資額は7億円。これで一昨年から進めているメッキライン、カラー鋼板設備関係の投資は完了する。一連の設備投資で、今年の売上高は前年比23%増加することが見込まれている。

 同社は、淀川製鋼と台湾の統一実業が出資している表面処理鋼板メーカー。メッキ鋼板を主体にカラー鋼板などを生産している。

 設備投資は、一昨年から本格化しており、2000年1月に43億円を投じた年産25万トンのメッキラインが完成。今年1月には8万トンのカラーラインが完成している。

 これに続き、酸洗設備の更新と圧延設備の改造を実施する。これで酸洗ラインから以下のカラー鋼板ラインが新設備で完成することになり、生産量も30%程度拡大する見通し。

 同社は、前期で355億円の売上高だが、今期は新設備の稼働が本格化するため、373億円の売り上げが見込まれている。経常段階の黒字幅も大きく改善する計画で、淀川製鋼の連結決算の改善にも貢献する。
中 国の馬鞍山鋼鉄は冷延薄板、表面処理鋼板部門に進出する。国家の第4次専門プロジェクト資金計画に組み込まれたもので、年内に設備発注交渉が開始される。投資額は52億元。既存の中厚板用スラブ圧延設備を連続鋳造・熱延ミルに改造し、230万トンに拡大。下工程に100万トンの冷延レバースミルと30万トンの溶融亜鉛メッキ設備を導入する。2003年の完成を予定している。

 馬鞍山鋼鉄は、1958年に設立。安黴省馬鞍山市に一貫製鉄所を保有している。高炉10基と平炉1基が製鋼部門の主要設備。中国最大の大型形鋼ミルが99年に完成しており、条鋼主体のメーカー。

 99年に粗鋼355万トンを生産しており、鋼材生産312万トンで中国第4位の鉄鋼メーカーとなっている。形鋼135万トン、線材98万トン、厚中板49万トンが主要な生産品目で、今後、需要の伸びが期待されている自動車・家電向けの薄板製品の生産がない。このため薄板部門進出が、今後の経営課題となっていた。

 今回、薄板部門へ進出することが正式に決まったことで、品種構成は板系へ大きく傾斜することになる。

韓 国のPOSCOは、元POSCO会長の朴泰俊・前総理の名誉会長就任を正式に決定した。6月1日付で就任した。

 朴・前総理は、初代のPOSCO会長として高炉建設と火入れまでの黎明期に体制を確立した韓国鉄鋼業界最大の功労者とされている。政権交代で一たん会長を辞したが、電炉メーカーや、単圧メーカーの幹部多数をPOSCOから輩出するなど韓国鉄鋼業の基礎を作った。

 鉄鋼業界を離れた後、アメリカなどに居住していたが、帰国後、国会議員になり、金大中大統領政権下での総理として入閣していた。

 今回、名誉会長としてPOSCOに復帰するのは、POSCOを世界的な鉄鋼メーカーに導いた指導者として正式に処遇するためとしている。今後、名誉会長としてPOSCOの経営問題に対する助言をあおいでいくことになるが、それ以上の意味はないとしている。

東 京地区の等辺山形鋼市況は6×50で3万4000―3万5000円、溝形鋼は5×50×100で3万8000―3万9000円中心の横ばい。小口中心で荷動きは悪いが、入荷を絞った効果で、一部歯抜けが出てきた。流通は6月中に3万4000円未満の一掃を目指す。

 流通は4月契約での値上げを受けて、3―5月の購入は最低限に抑えてきた。メーカーは輸出を増やすことで、国内向けの売り圧力はかけず価格優先姿勢を続けた。このため「あとは流通の売り方の問題」(大手特約店)。現在、在庫店は完全に赤字。最低3万6000円程度で売る必要がある。このためH形鋼の底値基調に乗って6月中の反転を目指す。

東 京地区の厚板市況は在庫が多く荷動きも停滞しており弱基調。市中価格(12ミリ、ベースサイズ)3万9000―4万円が中心。

 高炉メーカー各社は減産による需給改善に乗り出している。しかし4月、5月とも需要が低迷したため効果は薄れ、流通では「先行きもあまり期待できない」と悲観的。「小口需要も細ってきた」(小売業者)との声も聞かれる。

 溶断業者の在庫は4月さらに増加し、在庫率は193%(東京地区)と高水準。定尺、切板価格については建築、土木など需要の停滞から動きが止まっているが、荷動きが好転すれば再度の値下がりも予想される。目先も弱含みか。

大 阪地区の冷延薄板市況は地区の需要の立ち直りの兆しが見えないことや、在庫も多く、扱い特約店は弱気の販売が続いている。これを反映し、市況は4万2000―4万3000円どころで弱含み。

 高炉メーカーはここにきて、薄板の引き受けを絞るとともに、減産を行ってきている。しかし、流通の入荷はようやく減少してきた段階で、大きな数量減とはなっていない。

 一方、需要は電機が中国を中心にした生産拠点の海外シフトを継続しており、建材も地区の建築工事が低調。この結果、コイルセンターの加工は稼働率が通常比2―3割減となっている。

 在庫もコイルセンター段階で過剰ぎみで、特約店のシートも多い。流通はユーザーの指し値に押し切られている。