2001.06.18
ダ イハツ工業の関係会社のダイハツ車体(本社=群馬県前橋市、東迫旦洋社長)は2004年末をメドに、本社工場を大分県中津市今津に全面移転することを、このほど正式に決めた。ダイハツグループの移転計画の第1弾となる。今回の移転は本社(前橋)工場がグループの車両生産工場の中で、敷地面積が最も狭いうえ、工場周辺の市街地化が進んでいるため。現在、ダイハツ車体・本社工場では軽貨物車を月間1万台強生産、関東地区のコイルセンター(約3社)などを通じて月間約3000トンの薄板を購入している。移転後はこの薄板需要が関東地区からなくなることから、先行き、コイルセンターを中心に地区の材料納入業者などに微妙な影響が出ることが予想される。

 ダイハツ工業は21世紀の地球環境への対応、工場の生産性向上の競争力の維持・強化を図るため、1991年に、大分県に工場進出することを表明。98年3月に工場用地(敷地面積=130万平方メートル)を正式に購入した。

 その後、グループを含めた用地の活用を検討していた。そうした中で、グループ会社のダイハツ車体は本社工場が車両生産するには手狭なうえ、工場周辺の宅地化など環境面などから、先行き、生産活動を継続するには制約条件が多くなっていた。

 同社の前年度業績は売上高が841億8000万円。本社工場は敷地面積が9万7200平方メートル、従業員が950人。生産車はハイゼット、アトレーなど軽貨物車で、月間1万台を生産している。

 今回、大分県中津に購入した工場用地の一部に新工場を建設。2004年末から本社(前橋)工場の生産を全面移転し、新工場で操業を開始する。投下金額は約400億円。

住 友金属は、薄板在庫の圧縮を目的に7―9月期に和歌山製鉄所で粗鋼減産を実施する。これにより同社の今年度上半期の粗鋼生産は前年下半期の530万トンから510万トンに減少する。下半期の見通しは依然として不透明であるが、内需および輸出低迷が続いた場合、今年度の同社粗鋼生産が再び1000万トンを割り込むこともあり得る。

 同社の00年度の粗鋼生産は1040万トン(上半期510万トン、下半期530万トン)、99年度は970万トン(460万トン、510万トン)だった。

 今年度については1040万トンと前年横ばいの生産計画を立てていたが、薄板在庫が適正水準を大幅に上回るレベルにあることから、この圧縮を目的に減産に踏み切るもの。

 具体的には和歌山製鉄所で7―9月期に20万トン規模の粗鋼減産を実施。一方、鹿島製鉄所は前年下半期ペースを維持する。

 なお、エネルギー関連需要の高まりを受けて同社の今年度のシームレス鋼管生産は前年度の80万トンから100万トン超へ大幅増加する見通し。また鹿島製鉄所で生産するUO管も受注がおう盛。このため同所で生産する厚板が供給不足となる勢いにあるが、「7―9月期については所内で対応できる」(広報部)見込み。

川 崎製鉄の直系電炉大手のダイワスチール(大森尚社長)は小棒の販売、製造から最終顧客へのデリバリーまでを通して全体の最適化を狙う、サプライ・チェーン・マネジメント(SCM)システムの構築に乗り出した。取引商社、特約店と取り交わす受発注、生産、出荷などの情報をITの活用で統合的に管理し、サプライ・チェーン全体として最適化して、トータル的なコストの低減と効率化を図るもの。小棒業界での同システムの構築は初の試みで、1年以内にまず西日本での立ち上げを目指す。

 同社は本年および中期の目標として水島、東部両事業所での東西完全同期化操業(すべて熱片処理)と顧客を含めた完全同期化に取り組む方針で、SCMシステムの構築は、この顧客を含めた完全同期化戦略によるもの。

新 日本製鉄グループで銑鉄鋳物関連の専門商社である関東銑鉄(東京都千代田区、山本英輔社長)は、内田(東京都千代田区、内田豊一社長)から建材など4部門の営業権を譲り受け、本格的に営業活動を開始した。とくにOA/フリーアクセス・フロア、パーテーション(間仕切り)、ブラインドなどの建築内装工事を中心とした建材部門の拡大に取り組んでいく。

 営業譲渡を受けたのは建材部門のほか、特殊鋳造品・建設機械部品、研磨材・表面処理材、ダイカスト亜鉛の計4部門。今年2月1日付の営業譲渡で、内田からは営業担当者を中心に、6人が関東銑鉄に移籍した。

 とくに積極的に事業展開を図る建材部門は、内田が約20年前から取り組んできた分野。OA/フリーアクセス・フロア、間仕切り、ブラインドなどの建築内装工事を取り扱い、NHK大阪放送局新築工事、日本テレコム新東京センター、NTTドコモ長野ビル(すべて平成12年施工)といった大型プロジェクトの受注実績が多数ある。

 また、すでに取り扱っている研磨材や関連性の高い鋳造品も営業譲渡の対象であり、営業譲渡を受けた部門のうち大きな比率を占める建材部門を含めて、経営基盤の強化につながるとしている。

 4部門の売上高は約10億円と見込まれており、01年度の関東銑鉄の売上高見込み45億円の20%を占める。

米 国の鋼材輸入に5年間の割当を設置する法案が下院を通過する見通しだ。ピート・ビスクロスキー下院議員が14日明らかにしたもので、鉄鋼再興法案は現在、下院435人中219人の支持を集めているという。同様の法案は上院にも提出されている。

 再興法では鉄鉱石、コークス、半成品、鋼材について、94年7月から97年7月平均の水準に5年間にわたって輸入割当を導入する。鉄鋼メーカーに対する10億ドルの政府融資を実施するほか、米国内のすべての鋼材取引や輸入に1・5%課税し、退職者給付金を賄う基金を設置。メーカーの再構築費用や環境基準対応費用のために5億ドルの基金を設置する。

 米国鉄鋼メーカーは、輸入の増加と鋼材価格の低迷や、97年以来18社が破産申請したことなどを主張している。一方、米国内の鋼材消費産業は、自動車などの価格を押し上げるとして法案に反対している。

 ブッシュ政権は先週、米国際貿易委員会(ITC)に1974年貿易法201条による調査を開始し、輸入鋼材が国内メーカーに被害を与えているかどうかを明らかにするよう要請した。政府は19日までに調査要請の正式文書をITCに提出する意向だ。
日 鉄建材工業(岡田明久社長)は、中期経営計画で掲げている生産体制の再編成に向けて準備を進めてきたが、川崎製造所の野木製造所への移転・集約に関して15日、川崎製造所の閉所式を行い、岡田社長をはじめ同社首脳や新日本製鉄関係者など、約140人が出席した。

 デッキプレートラインで最終製品の生産が完了した後に休止式が始まり、現地にて神事・直会が執り行われた。岡田社長は「川崎製造所は大正6年に富士製鋼として発足以来、日本製鉄、富士製鉄、新日鉄そして当社へと引き継がれた重要な発祥の地の一つである。これまで軽量形鋼・デッキプレートなど建築商品の東の主力生産拠点として役割を果たしてきたが、中期経営計画に基づいて、由緒ある川崎を閉鎖することは正に苦渋の選択であった。川崎製造所を支えてきた設備や優れた技術は野木製造所で新しく蘇り、さらに発展することを期待する」と語った。
関 西地区の大手鋼材特約店の山大興業(本社=大阪府堺市、大西昌三社長)は、今春から本社工場の加工能力増強を進めているが、今週から増設のコラム加工ライン2ラインを本格稼働させる。

 同社は建屋約3万5000平方メートルの本社工場で、H形鋼やコラム、形鋼、厚板などの一次加工を行っている。今回、約1億円を投じて最新鋭の穴開け・切断複合加工機や、コラム用の切断機2基と開先機2基を新・増設するなど加工能力の増強を実施。コラムの新加工ラインは、先月から基礎工事に着手し、先週までに据え付け工事を完了。今週からラインを本格稼働させ、並行してクレーン1基の取り付けも行う予定。

 同社のコラム加工はこれまで4ライン(切断機4機、開先機4機)を保有して、月間約3000トン程度をこなしていた。今回の増設で6ライン体制となり、月間加工能力も約5000トンにアップするため、需要期の注文増にも対応できるようになる。また、同社は従来から夜間操業体制も敷いており、強まる短納期要請に対応し、中1日での加工出荷体制を目指す。

日 本鉄鋼協会は7月6日、東京・大手町のサンケイプラザで鋼とコンクリートの使われ方の異業種交流セミナー「材料と設計シリーズ」を開催する。

 同協会交流委員会が異業種、他学会や国際交流を積極的に推進することを目的にしているもので、鉄鋼、プラスチック、機械、建築など広範な団体との協賛で進める。

 セミナーの開催要領は次の通り。

 ▽日時=7月6日午前10時から午後5時

 ▽場所=東京・大手町のサンケイプラザ3F

 ▽講演テーマ=「構造物のコンセプトデザイン」(京大・土木工学・渡邉英一教授)、「構造材料としてのコンクリート」(海上技術安全研究所・松岡一祥材料加工部高エネルギー利用研究室長)、

「鋼とコンクリート主体とした複合構造物、」(京大・土木システム・小野紘一教授)

 ▽討論会=「材料と設計」

東 京地区の異形棒鋼はゼネコンの新規発注に迫力を欠き指し値も厳しく、ベース2万7500円どころで弱ムード。

 ベースメーカーが6月の販売予定量を5月比50%と絞り、需給調整を進めている。細物メーカーは枠売りを検討、さらに輸出成約を積極化するなど市況対策に乗り出しており、これを受け商社サイドは需給の引き締まりを予想、ムード好転に期待を寄せている。

 ただ、5月連休明けに見込まれたゼネコンからの発注が6月入り後も出方は鈍く、一部商社では先行きの不安感から売り先行に陥りがち。

 メーカーの強気が商社を刺激し、大手商社を中心に唱え上げの姿勢を強めているが、ゼネコンの買い姿勢は慎重で綱引き状態は当分続きそう。

東 京地区の厚板は弱含み。市中価格(12ミリ、ベースサイズ)3万9000―4万円が中心。4月以降の需要減と高炉メーカーの生産増が重なり、母材の在庫は過剰となっている。

 メーカーも減産方針を打ち出し、6月末をメドに需給調整を進める狙いだったが、足元の需要からすると7―9月まで調整局面が続きそう。溶断業者の稼働は大手建材シャーで回復傾向だが、中小では相変わらず短納期、小口の切板加工を行っている。

 切板価格は数量がまとまる場合に安値が提示されるようだが、市中で大口の注文が流れていないため、6万2000円前後で横ばい。定尺も荷動きが悪く、まだ底値感は出てきていない。

大 阪地区の中板は引き合いが閑散としているうえ、扱い特約店は弱気の販売が続いている。市況は3万1000円どころで弱含み。

 地区の建築は依然として落ち込んでおり、産業機械も設備投資の鈍化で、生産が不振。地方特約店も当用買いを続けている。この結果、定尺の荷動きはさえない。一方、国内高炉は店売り向けの減産、出荷を抑制してきている。輸入材は入着が月間16万―18万トンと通常ペース。また、在庫もコイルセンター段階でようやく、減少の兆しが見えてきている。

 しかし、ポスコが第3クオーターで対日向けを3000円引き上げる方針を打ち出したが、今のところ、市場は反応していない。当面、市況は弱横ばい。