2001.08.01
経 済産業省は31日、鉄鋼各社の2001年度第2・四半期(7―9月)鉄鋼生産計画の集計結果を発表した。粗鋼生産は2614万6000トン(前期比20万トン、0・8%減、前年同期比80万6000トン、3%減)で、6月末に同省が策定した需要見通しの2530万トンを84万6000トン、3・3%上回る。景気低迷から鋼材需要の先行き減少が予測され、在庫水準が高い中で、今期粗鋼生産も引き続き高レベルにとどまる。

 普通鋼鋼材生産も季節的要因から建設や自動車など製造業の増加を見込み前期比増とされた。計画通り推移すると01年度上期粗鋼生産は5249万2000トンとなり、年度換算で1億トンを超えるペースとなる。今後、年末あるいは年度末までの在庫調整完了を勘案した、より慎重な生産対応を求められることになりそうだ。

 今回の生産計画について同省では「レベル的には高いものの、8月以降、今年度下期生産計画の前段として、これまでよりも減産に向けた対応も見られ始めた」(半田力・鉄鋼課長)とし、継続して在庫圧縮をにらんだ各社の対応を促している。条鋼類に続いて、薄板3品での絞り込みがどう進められるかが焦点となる。

 第2・四半期生産計画は、普通鋼鋼材生産が1931万1000トン(前期比23万6000トン、1・2%増)。内訳は国内向け1457万3000トン(同11万トン、0・8%増)、輸出向け473万8000トン(同12万5000トン、2・7%増)。

鉄 鋼産業懇談会の三村明夫会長(新日本製鉄副社長)31日、懇談会後の記者会見で、6月末の国内向けメーカー・問屋在庫が623万5000トンで前月末より4万7000トン減少したことを取り上げ、「この程度の減少をどう見るのか、いろいろ意見もあるだろうが、(これでようやく)生産と出荷がバランスしてきてた。今後ともさらに在庫減少の勢いが増すことを期待したい」と述べた。

 同会長はまた、ホットコイルを中心とした6月末の薄板3品在庫が465万トンで前月末より4万トン強減少したことも踏まえながら、「(需給の)流れは確実に変わりつつある。これが(鋼材市況を改善する)新しいスタートになる」との認識を示した。

 その具体策の一つとして同会長は「価格を重視した営業姿勢を貫く」ことを強調し、「とくに店売りの注文が入らず、販売姿勢を崩したら元の木阿弥になってしまう」と警告した。また、経済産業省の半田力・鉄鋼課長は「(各社には)下期の実需動向を見据えた価格・数量政策をとるよう強く期待したい」と指摘した。

経 済産業省と中国・国家経済貿易委員会の対外貿易委員会の対外貿易法規訪日考察団との会談では、鉄鋼通商問題について、日本側から中国によるステンレス冷延薄板のアンチ・ダンピング(AD)措置のマージン率算定基準の明確化、輸入許可証(IL)発給問題で中国側の見解を資した。ステンレスではWTOルールに違反するとし、先の米国による日本製熱延鋼板ADのWTO上級委員会での日本勝訴を例示し、中国に対して調査対応の変更を要望。IL問題では日本側の要請に対する中国政府の回答を早急に行うよう求めた。中国側はIL問題については「担当部署に伝える」と応じた。

 会談では経済産業省から半田力鉄鋼課長が、中国側からは団長の劉歓経貿委AD反補助金弁公室副主任(産業損害調査局副局長)、王・外事司処長らが出席、鉄鋼貿易の現状やAD等通商法の運用状況、通商問題の動向などを説明。

 この中で、日本側からは日中間の鉄鋼通商問題について事態打開へ向けた改善を改めて要望した。ステンレスのADマージンについては、熱延鋼板のWTO上級委の判断で、米商務省のダンピング・マージンの算出方法、米国際貿易委員会の損害認定はいずれも米側の主張がしりぞけられたことを説明。そのうえで中国のステンレスADも同様にWTOルールと整合しないとし、AD調査など中国側の対応の変更を強く求めた。
静 岡県の大手鋼材特約店、近藤鋼材(本部=静岡県沼津市沼北町2―2―16、近藤安敞社長)は7月から子会社の近藤ロール(沼津市一本松)でスパイラル管の製造・販売を、また8月から原鉄鋼センター(沼津市一本松)で高張力鉄筋の加工を開始したことを明らかにした。販売商品を拡充することで、マーケットの多様化に対応するとともに、付加価値向上を図るのが狙い。

 同社は一般鋼材を主力に扱う特約店で、年商は105億円規模。また子会社として近藤鋼材加工(H形鋼・コラムの加工)、近藤メタル(ファブデッキ製造)、近藤ロール(ロール加工)、沼津シャーリング(鋼板加工)などの各種加工を行う会社10社を擁する。

 鉄鋼需要の大幅な伸びが期待できない中、70年代からファブデッキをはじめとする独自商品の開発・研究を進めており、今回の新商品の製造・販売もこうした「総合鋼材販売業」志向の一環となるもの。販売商品を多様化することで、これから先の変化を見据え、企業基盤を強化していきたい考えだ。

新 日本製鉄が99年10月に受注したマレーシア半島東沖ウエストナツナ海域のANOAフィールドに新設する天然ガス開発用プラットホーム1基とPECIKOフィールドの3基目のプラットホームの建設工事が、このほど竣工した。3000トンクラスの大型ウエルプラットホームや3キロメートルのアンビリーカルケーブル、300メートルのフレキシブルパイプの施工などをコンソーシアムで手がけたのは同社にとって初めて。2001年4月に現地海域での据え付けを完了させ、7月中旬にパイプラインの施工を含めた全工程を工期内に無災害で完工した。

 同プロジェクトは、新日鉄のエンジニアリング子会社のNISCONI社とGema Sem Brown社がイギリス系石油会社のPremier Oilとトタール社からコンソーシアムで受注した。総工費70億円で、ウエストナツナア海域ANOAフィールドに新設するプラットホーム1基、トタール社からPECIKOフィールドの3基目のプラットホーム建設工事とフィールド内海底パイプラインをEPCを含めて一括受注したもの。

 設計は、新日鉄と同社のエンジニアリング子会社のNISCONI社が担当、加工は、同社の加工専門会社NSBATAM社とGSB社、施工は、新日鉄が同社の作業船「くろしお」で対応、フックアップはGSB社が行った。
関 西地区の大手熔断業者の前原鎔断(本社=大阪市淀川区十八条、前原健次社長)は今年から、本社工場の生産設備・システムの大幅な改善に着手、このほど、すべての取り組みを終え、今期(02年5月期)は生産性の向上を推進する。まず、今年3月にはCAD・CAM設備3基を全面リプレースした。さらに、事務所のCAD・CAMと本社工場のNC装備の切断機(プラズマを含む)を光ファイバーで結び、受注から加工までの迅速・正確に指示でき、工程管理も事務所でリアルタイムで把握できる体制とした。また、5月にはNC熔断機1基と付帯の壁クレーンを増設するなど、スポット物の加工の効率化を図った。

 同社は本社工場にNCプラズマ切断機、NC熔断機、マーキングドリル、アイトレーサーを持ち、産業機械、建築向けに切板を行っている。現在、切板数量は自社で月間1500トン、外注で同200トン。

 かねてから、生産効率の向上を検討していたが、今年、システムを含めて大幅に改善した。まず、CAD・CAMシステムはハード自体が老朽化し、処理能力が落ちていたことから、今年3月に設備・システム3基を全面リプレースした。投下金額は1000万円。

 また、これまではCAD・CAMで処理した加工指示の内容はICカードに保存し、これを工場のNC装備の設備まで持っていき、加工していた。

 ただ、加工指示の迅速化や加工工程自体の事務所で把握できる体制を整備するため、CAD・CAMと工場のNC装備の設備を光ファイバーで結んだ。これにより、事務所で得意先コードや受注リストを端末でたたけば、加工状況がわかるようになった。

日 本鉄鋼輸出組合によると、中国の国家経済貿易委員会は、中国鉄鋼業第10次5カ年計画(2001―2005年)を公表した。それによると96年からの第9次5カ年計画で、1億トンをコンスタントに上回る量的拡大を実現したが、次の5カ年計画では質的な転換を目指す。高品質化とともに省エネ対策を打ち出している。標準炭換算で、粗鋼1トン当たり920キロの原単位を800キロに13%改善させる。また、主要汚染物質の排出量をこれまでの規制なしから2000年比10%削減させる。一連の対策は、生産効率の向上がないと難しいため、労働者一人当たりの粗鋼生産量を2005年までにこれまでの100トンから250トンに引き上げる。

 中国の国貿委員会によると、今後、国内鉄鋼需要は基礎インフラ投資の拡大があるため増加するとしており、2005年の見掛け消費は1億6000万トンを上回る見通し。2000年が1億4121万トンであるため、2000万トン近く増加。

 これに対し、生産面は量的には高い水準にあるが、高品位鋼材が年間700万トン輸入されるなど質的対応が遅れている。また、国際的な市況低下の影響で普及品の価格低下が見られ、収益構造が悪化している。

 こうした状況から中国は、大手・中手メーカーのシェアアツプを推進し、生産集約化を今後進める。具体的には上位10社の粗鋼シェアをこれまでの50%から80%に引き上げる。国内自給率も、90%から95%にする。また、世界の先進工業国の品質水準に適合する鋼材の生産比率を30%から70%以上にする。

韓 国鉄鋼協会によると、韓国の2000年末の鉄鋼蓄積量が3億1192万トンと初めて3億トンを突破した。99年末比で2123万トンの増加で、人口一人当たり6598キロとなった。

 韓国の鉄鋼生産量は2000年で5030万7000トン。純輸出量が1785万2000トン。国内購入スクラップが1123万トンで、これらを差し引いた2122万5000トン分が昨年の蓄積増加量となった。

 韓国の鉄鋼累計蓄積量は、国内鉄鋼生産の増加に連れて拡大。89年には1億744万トンと初めて1億トン台を突破。95年には2億1544万トンと2億トン台に乗った。この間、1億トン増加するのに6年かかったが、2億トンから3億トンまでの1億トン増には5年と1年短縮された。

 韓国の粗鋼ベースの名目消費量は、2000年で4000万6000トン。過去の最高記録は、97年の3990万1000トンであったため、3年ぶりに記録を更新した。一人当たりの名目消費量は、98年には558キロまで低下したが、99年から再び増加しており、2000年には846キロに回復した。しかし、97年の868キロには達していない。 

 国内の鉄鋼備蓄量は、スクラツプ発生量の基礎になるもので、備蓄の伸びは今後のスクラップ発生増に繋がるものとして注目されている。

東 京地区の冷延薄板市況は市中価格(1・0―1・6ミリ、ベースサイズ)4万6000―4万7000円中心で弱含み。定尺品の荷動きは7月も低調だった。8月以降の需要に対しても小売業者の期待は小さく、強気に転じる気配はない。価格帯は一部の安値販売により、4万円台前半から小口の5万円前後まで広がっている。

 弱気要因は需要と在庫水準の高さ。ただ、4月以降市況が下落を続けてきた中で「8月は横ばいで様子を見させてほしいという仕入れ先もある」(小売業者)との声も聞かれ、なし崩し的な値下げが止まる可能性も多少は出てきた。今後も当面は弱含み推移で、在庫の圧縮がポイント。

東 京地区の鉄スクラップ市況は発生量の減少により強含み。メーカー実勢購入価格は北関東地区で6300―7200円、湾岸地区で6800―7400円で推移。湾岸、北関東メーカーともにスクラップの入荷が悪く、高値を付けて対応している。価格低迷や夏場の暑さによる集荷意欲の減退、好調な輸出の影響を受けている形。

 特に盆休みの電力が安い時期に集中して生産する湾岸メーカーは、輸出向けスクラップと取り合いになっている。大型物件の解体予定が盆明け以降にずれ込んでおり、当面発生量は増えない見込み。しばらく需給はひっ迫したままで推移し、強含み。

大 阪地区の厚板市況は、需要が建築を中心に盛り上がりに欠け、在庫もまだ、熔断業段階で多い。扱い特約店は弱気の販売が続いており、市況は3万7000円(12ミリ厚の3×6幅)どころで弱含み。

 輸入材は入着が近国物に限定されており、数量は低水準。ただ、国内メーカーも生産が一定量で、ヒモ付き関係でロールは埋まっている。一方、需要は産機、建機、建築ともに、回復の兆しが見えない。

 このため、特約店の定尺の荷動きは低調な状態が続いている。熔断業者も手持ちの受注残が2―3日程度まで減少している。在庫も熔断業者段階で減少してきているが、依然として過剰ぎみ。流通は現状価格をなんとか維持している状態。