2001.08.03
神 戸製鋼所は、秋口にタイの線材加工拠点の設備増強に乗り出す。伸線メーカーのコウベCHワイヤ(KCH)は、伸線機1基を導入し、月産能力を20%増の1200トン体制を整備。磨棒鋼メーカーのマハジャック・キョウドウ(MKCL)では抽伸機1基を新設し、倍増の1200トン体制に拡充する。タイ国内の自動車生産は年間40万台ペースで堅調に推移、自動車メーカーの現地調達志向が強まっている。タイ2社は現在フル操業。能力アップで受注量を拡大し、品質、納期対応を強化する考え。

 タイの自動車生産は、97年の通貨危機からの復興や日系およびビッグ3など現地自動車メーカーの輸出の積極化で、99年以降増加傾向を示している。

 96年のピーク59万台から98年に16万台と落ちたが、99年33万台、00年40万台と回復。01年度は前年並みの見込みと需要が増加しているため、神鋼は関連2社の生産キャパを引き上げ、対応を図る。投資額は、KCHが数千万円単位、MKCLは2億円強となるが、資金は2社それぞれがタイ国内で調達する。

ス チールプランテック(藤原義之社長・NKK常務執行役員、略称=JSP)とNKKプラントエンジニアリング本部は2日、台湾の中国鋼鉄(CSC)から、同国としては初の35A290クラスの高級電磁鋼板の製造も可能な「無方向性電磁鋼板ライン」を共同受注したと発表した。プロジェクト総額は約50億円。

 この設備は冷圧鋼板を焼鈍後、特殊な表面処理を施す水平式連続焼鈍・コーティングライン。モーターやトランス、電源装置の省エネルギー化や効率化に不可欠な電磁鋼板を製造するラインであり、年間12万トン生産する能力を有している。設備の稼働は2003年4月の予定。

 実施サイトは台湾・高雄市内の中国鋼鉄高雄製鉄所内。ライン速度は毎分80メートル。素材は薄さ0・3―0・7ミリ、幅600―1300ミリ。最大コイルは25トン。

 CSCにとっては、今回の設備建設によって能力が増強されるうえ、磁気特性に優れ、形状、板厚偏差の少ない高品質で、高級なグレードの品ぞろえが可能となり、同国内のユーザーニーズに対応できる。

 今回の商談では日欧のメーカーとの激しい競争となったが、NKKの連続焼鈍プラント分野における優れた技術と豊富な納入実績、高い信頼性が評価された。

川 崎製鉄は、開発・製造・販売三位一体の品種セクター制をベースに、2001年度から事業戦略一体化の研究開発を強化する。2000年度の開発費200億円を10%増額し、ナノテクノロジーと環境を2本柱とする新製品開発や顧客利用技術に精通した提案型製品開発を推進。顧客サイトに近い千葉、知多、水島の3拠点に加工技術開発センターを設置、シミュレーション設備や部品加工実験設備などを活用し、自動車や家電メーカー向けに利用技術や素材特性にまで踏み込んだVA提案していく方針。

 同社は、環境変化や顧客ニーズを先取りする新製品と顧客利用技術に精通した提案型製品の研究開発を重点ターゲットとして、オンリーワン技術の開発を強化する。「カスタマーロイヤルティー」というコンセプトで、従来のプロセス技術中心の技術開発から利用者側の視点にたった商品開発や技術開発を進める。

 この1月からは、千葉、知多、水島の3拠点に設置した加工技術開発センターをベースにユーザーと密着した新製品開発を推進。増産を可能にする技術開発、川鉄グループ全体の研究開発拠点活動として本格的に活用していく。

合 同製鉄(猪熊研二社長)は2001年9月中間期で期初予想の15億円の経常利益を確保する見通しとなった。需要の低迷で売上数量は減少しているが、昨年度後半に実施した緊急黒字化対策によるコスト合理化効果がフルにきいているうえ、原料である鉄スクラップ価格が低水準で推移していることから予想利益の確保が見えてきたもの。

 前3月期は中間で6億8600万円の経常赤字を出したが、後半に実施した転籍年齢の引き下げや給与カットの上積み、外注単価の引き下げなど緊急黒字化対策、さらに外部環境の好転による製品価格の改善などにより、劇的に黒字転換し、通期で12億3300万円の経常黒字を確保した。 今期は厳しい需要環境を想定し、前期の外部環境の好転分を差し引く形で経常利益は中間期で15億円、通期で30億円を予想、スタートしたが、昨年後半に柱となる合理化を実施したことによるコスト削減効果の継続に加え、製品価格はジリ安基調ながら減産による踏ん張りで安売りを回避、さらに鉄スクラップの下落も大きな要因となって一定の収益を維持している。

 4―6月は5月に船橋の電気炉のトランス故障による製鋼操業の停止があったものの、月次3億円台の経常黒字をキープ。7―9月は夏季減産強化の影響から多少黒字幅は縮小する見通しながら、中間期の15億円の経常黒字確保が見えてきた。ただ下期は「需要面では全く悲観的。上期より減退する」(猪熊社長)とみており、スクラップ価格も下げ止まってきたことから、よりムダを省き、製品価格の維持に努めることで収益ダウンを食い止める方針。
日 本鋳鍛鋼会(会長=木村敏夫・神戸製鋼所常務執行役員)は9月11日から20日まで10日間にわたり「中国東北部鋳鋼・鍛鋼企業訪問団」を派遣する。世界貿易機関(WTO)加盟を控え、経済発展の著しい中国で、大連、哈爾濱、瀋陽など東北部の鋳鋼、鍛鋼の現地企業11社の視察を行う。親善、友好交流を図るほか、国際協調を目的とした日中の水平分業の可能性を探る。中国鍛鋼協会との交流も予定されている。同会での中国ミッションの派遣は今回で4回目となり、東北部については92年以来9年ぶりの実施となる。

 訪問団は、団長に大同特殊鋼の宗光彦・鋳鋼品事業部長、副団長に日本製鋼所の谷田康則・鉄鋼事業部鋳鍛2部長が就き、総勢20人。現在、参加者を募集中で締め切りは今月6日(最終期限は8月10日)となっている。

 大型、小型、単品、量産や材質も普通鋼、低合金鋼、耐摩耗鋼、耐食鋼、耐熱鋼と鋳鋼品全般と、一部型鍛造品を含む自由鍛造品について、現地での生産状況を視察。各製品のコスト、品質面などについても検証し、国際協調を念頭とした日本との水平分業も考察する。中国東北部からの鍛鋼の南部地域移転の実情などの把握にも当たる。

川 崎製鉄は2日、東北大学金属材料研究所、日本アナリスト(東京・品川)、アルパック・ファイ(神奈川県茅ケ崎市)と共同で、分析試料表面層の汚染の影響を受けない新微量分析装置=写真=を開発した、と発表した。製錬技術の進歩に伴う素材の高純度化に不可欠な分析技術で、分析試料の表面汚染を完全に除去することが求められていた。

 新分析装置は、高電圧により生成するガスイオンを使用して物理的に試料表面汚染層を除去する前処理装置を、最新の微量分析装置と一体化したもので、処理後の試料が大気暴露により再汚染することを防止している。前処理装置の構造改良により、試料表面に存在する汚染の完全除去に初めて成功した。同社は新装置を水島製鉄所製鋼工場へ導入する。同技術は鉄鋼材料のみならず、非鉄・非金属を含むIT関連素材にも適用可能。

高 炉筋によると今期(7―9月)の国内自動車生産は、各社販売計画の積み上げ244万台を調整した結果、240万―245万台の見通しとなった。前期実績が235万台と前年同期比4・9%の減少。今期は前年度比ほぼ横ばいだが、水準は低い。このまま推移すれば上期は480万台と年率1000万台を大きく割り込む。鋼材需要面では、上期全体で前年度比8万トン程度のマイナス。しかし、6月末の3品在庫が465万トンと100万トン近く過剰と言われているだけに、在庫調整をしながらの減産対応は、極めて厳しい。

 国内の自動車生産は、今年度に入って一段と低迷している。4―6月期は235万台で、前年度同期比12万台の減少。これに続く7―9月は、各社販売計画の単純積み上げで244万台。これを調整した後の生産見通しは、240万台から245万台と推計されている。上期を合計すれば、最大で480万台。年率では1000万台を40万台下回る。

 鉄鋼メーカーにとっては、今期の生産台数245万台は、前年度とほぼ同水準とはいえ厳しい数字。特に国内の3品在庫が400万トンを大きく上回った状況だけに、減産対応が急がれている。

 6月末の3品在庫は、464万6000トン。6カ月ぶりの減少であるが、適正水準が380万トン前後と言われているため100万トン近くが過剰。6月末では、メーカー在庫が減少しているが、問屋、コイルセンター在庫の水準は高い。

韓 国の今年上半期の国内自動車生産は、完成車ベースで148万5531台、前年同期比0・6%の微減となった。国内販売が70万7135台で同0・4%増。乗用車が堅調で、トラックが停滞した。輸出は77万9857台で、同1・3%の減。北米向けを中心に現代と起亜が比較的好調だった。

 韓国自動車工業協会はこのほど、上期の四輪車生産・販売実績を公表した。それによると国内販売は、前年同期比0・4%の微増。個別では現代自動車が34万6509台で同6・3%の増。起亜自動車は19万654台、同0・5%増。双竜自動車は5万6396台、同29・1%増。ルノーサムスンも2万9250台、同220・0%の増加。これに対し、大宇自動車は8万4268台、同34・5%の減少。国内販売の低下は、大宇の不振によるもので、他社は回復が明確になってきた。 

 輸出は前年比1・3%の微減。現代自動車が43万6161台、同16・0%の増加。起亜自動車は22万2145台、同16・8%の増加。この2社は、北米向けが比較的堅調。これに対し、大宇自動車は11万2557台、同46・5%の大幅減、双竜自動車も8549台、同25・5%の減。輸出は好調な現代、起亜に対し、低迷した双竜、大宇と明暗を分けた。

東 京地区の表面処理鋼板(電気亜鉛めっき)市況は、市中価格5万3000―5万4000円(熱延下地)、6万3000―6万4000円(冷延下地)中心で安値寄りの展開。

 需要は電機、自動車関連など需要家によって好不調があり、コイルセンターの稼働も取引先の動向次第。全体的には5―6月を底に上向きつつあるが、8月は稼働日数が少ないこともあって需要への期待は薄い。

 定尺品は実需、在庫意欲いずれも振るわず荷動きも悪い。市況は小刻みに下落して底値圏とされながらも弱気が続く。コイル在庫がメーカー、流通とも高水準で先安観は消えていない。今後も弱含みで推移。

東 京地区の等辺山形鋼市況は6×50で3万4000円、溝形鋼は5×50×100で3万8000円中心の弱含み横ばい。流通は、帳端明けから売り腰を強めたH形鋼の流れに乗じる構えを示すものの、目先の売り上げを確保する必要性から、山形3万3000円、溝形3万7000円の安値も半数近くある。

 エヌケーケー条鋼は、国内向けの7―8月の生産量を、4―6月比15%以上減らす。9月分は様子をみて決める。現在、メーカーに申し込んでから10日前後と、短期で入荷される状態が続いている。流通の申し込みの削減は続いており、在庫量は適正水準になっている。需要待ちの状態。

大 阪地区の平鋼市況はベース4万―4万1000円どころで横ばい。市中の荷動きは相変わらず低調。需給環境も市中在庫が適正水準を上回っており、やや過剰に推移。メーカー減産などで流通の入庫が減っているものの、出庫が思った以上に伸び悩んでいる。6月末在庫は同比7・5%減の1万8411トン(大阪鉄鋼協会調べ)だが、需給調整の進展速度は遅い。

 また、広幅平鋼は主力用途先である建築の不振から、荷動きが大幅に減少。メーカー筋でも大幅な減産対応を迫られている。このため、扱い特約店筋の値戻しムードは完全に後退。僚品主力のH形も足踏み状態に入っていることから、当面、市況は横ばいで推移しよう。