2001.09.13
新 日本製鉄は、今年度下期のステンレス鋼板の生産・出荷量を薄板、厚板など総量で今年度上期比10%程度絞り込む。前年度末以降、大幅に積み上がったステンレス鋼板在庫は、これまでの減産にもかかわらず、減少ペースが遅く、依然高水準にある。加えてIT(情報技術)関連などステンレス実需が減退していることから、市場環境を是正するため、一段の削減に踏み切ることにした。通常ステンレス生産は年度上期より下期に増加するが、今年度については市場環境の悪化を加味し、薄板をはじめ、厚板などヒモ付き、店売りとも供給全体をカットする。

 一方、輸出については、東南アジア市場の環境改善が遅れ気味なことから、引き続き採算を重視して、慎重な対応を進めていく方針だ。

 景気減速を受けて、年初来ステンレス需要はIT関連、非住宅、業務用厨房など減少傾向にある。こうした状況を踏まえ、メーカーサイドでは、店売りなどで供給を抑えてきた。しかし、在庫水準は高位を続け、在庫調整の進ちょく度は鈍い。

ニ ューヨークの金融街を襲った現地11日の大規模なテロのため、証券取引、金属などの商品取引を中止せざるを得ないなど、経済界にも大混乱が起こった。地下鉄などの公共交通機関がマヒしているため、現場から離れた中心街でもビジネスマンは早々に自宅に引き上げていた。

 中心街にオフィスを置く鉄鋼、非鉄関係者も業務を早めに切り上げたようだ。11日夕時点では混乱で事態が正確に把握できないため、情勢を見ながら対処せざるを得ない状態だ。

 日本領事館では邦人の安否確認を急いでいる。日本政府として邦人に対して特別な指示は出していないが、問い合わせに対しては外出を控えるなどの助言をしている。



 ニューヨークなどに駐在事務所を設置している大手鉄鋼8社は、12日午前までに駐在員、現地採用スタッフ、出張者、留学生、合弁企業などの家族を含めた関係者全員の無事をほぼ確認した。8社コメントは次のとおり。

 ▽新日本製鉄=米国内のニューヨーク、シカゴ両事務所、ヒューストン駐在3カ所合計の駐在員16人、現地採用23人および留学生・出張者全員の無事を確認した。

 また、今後の米国出張については、事実上、渡航禁止の状態なため、事態を静観したい、としている。

 なお、ニューヨーク事務所は東50番街で、世界貿易センターから北へ数キロほど離れたところにある。

 ▽NKK=ニューヨーク事務所は世界貿易センターから北へ約5キロ離れたパークアベニュー沿いにあって、志村峯男NKKアメリカ社長と連絡が取れ、駐在員10人、現地採用、出張者、留学生を含め全員の無事を確認した。

 ▽川崎製鉄=久留島正和ニューヨーク事務所長によると、駐在員5人、出張者4人、現地採用者など全員の無事を確認した。ニューヨーク事務所はパークアベニュー沿いに位置している。

 ▽住友金属=シカゴ、ヒューストン両事務所、LTVとの合弁会社エレクトロ・ガルバナイジング・カンパニー社(薄板表面処理・電気亜鉛めっき)の従業員および家族を含め、全員の無事を確認した。

 ▽神戸製鋼=ニューヨーク事務所はセントラルパークの南端にあって、古瀬司コーベ・スチールUSA社長以下、駐在員7人、現地採用6人全員の無事を確認した。出張者についてもほぼ確認済み。週内は海外出張を禁止し、17日に対応を見直す。

 ▽日新製鋼=ニューヨークのニッシンスチールUSAの上田正一社長を含めた駐在員3人、現地採用1人、そして出張者1人は上田社長に随行しており、全員の無事を確認した。

 ▽山陽特殊製鋼=佐久間創SSSU社長と駐在員1人、出張者1人の無事を確認した。米国出張は当面、自粛の方向。

 ▽日立金属=現地法人のヒタチ・メタルズ・アメリカ(吉岡博美社長)は従業員114人で、このうち、日本人11人とその家族19人を含め、全員の無事を確認した。



 ニューヨーク市内には数多くの商社が米国本社を構えるが、各社広報部などによると日本時間12日夕までに現地駐在員および関係者の無事がほぼ確認されている。各社のコメントは次の通り。

 ▽三井物産=米国三井物産の本社および関係各社の邦人101人、日本からの出張者について無事を確認済み。

 ▽三菱商事=NY駐在員、家族を含め無事を確認。出張者についてもほぼ確認済み。

 ▽伊藤忠商事=ミッドタウンにある米国本社については社員の無事を確認。WTC第1ビル89階にある金融・保険関連の100%子会社、コスモス・サービシズ・アメリカについても駐在員1人を含む全社員の無事を確認済み。

 ▽住友商事=米国本社の派遣者、駐在員、出張者ともに無事を確認済み。

 ▽日商岩井=米国本社の社員全員の無事が確認。

 ▽丸紅=丸紅米国会社の駐在員の無事を確認。NY、ボストン、ワシントン、ピッツバーグの現地企業などへの出向者についても無事を確認した。

 ▽川鉄商事=WTCから2ブロックほど離れたダウンタウンのブロードウェイ沿い米国本社があるが、日本人15人、ナショナルスタッフ24人の全員の無事を確認している。

 ▽金商=WTCと同じダウンタウンのウォールストリート沿いに米国本社があるが、駐在員の無事は確認済み。

三 菱商事は大手ステンレス流通の阪和工材(本社=大阪市淀川区、吉村知記社長)の持つ海外拠点の買収を検討している。対象は阪和工材の中国、東南アジアの6つの子会社で、対中貿易の強化を図ろうとするもの。月内に基本骨子を固め、年内をメドに結論を出す意向だ。同社が買収を検討している阪和工材の海外拠点は、シンガポール2拠点、タイ、マレーシア、香港、深それぞれ1拠点の計6拠点で、ステンレス薄板の加工販売がメーン。

 近年、三菱商事ではステンレス事業の積極策をとっている。海外では、南アフリカに本社を持つ大手フェロクロムメーカー、ハーニック社へ資本参加、国内では昨年に日本金属工業の株式を2・2%買い増し6・4%で筆頭株主となった。また4月には兼松が保有していた八千代ステンレスセンターの株式35%を取得するなど、ステンレス業界の再編をにらんだ動きを強めている。同社は現在、海外のステンレス販売拠点として、シンガポールにあるサステックの100%子会社・TECH SINを持つが、パイプの扱いがメーンで、ステンレス薄板の拠点は持っていない。

 今回の買収交渉相手の阪和工材は、ステンレス鋼板を主力とする国内大手のステンレス流通問屋で、事業規模は01年度3月期で売上高569億円。99年に川鉄商事および丸紅から役員の迎え入れを行うなど、経営の再構築を進めている。
五 十鈴(本社=東京都大田区、鈴木貴士社長)は、薄板コイルの自動板取システムを開発した。レベラー加工の板取作業時間を大幅に短縮し、歩留まりや加工性に応じて最適な板取を行うことができる。6月から各拠点で稼働を開始し、今年度中には全拠点に導入する。「板取支援システム」として外部販売も展開する考え。

 開発したシステムは条件に合った受注データとコイル在庫データを引き当てるもので、受注内容の仕分けから在庫確認、加工依頼書の発行までをパソコン上で自動的に行い、従来は人手と時間がかかっていた業務のスピードアップを図る。

 マスターとして登録した顧客や注文内容、梱包方法に応じて最適な板取を提供し、担当者の経験差による歩留まりのばらつきを抑える。また、成品や半成品からの引き当てや入庫日が一番古い母材の引き当てを優先するなどの機能もあり、コイル在庫を効率的に活用できる。

 板取単独の作業時間でみると、100件の注文を1人で行った場合に注文書の仕分けから在庫確認、板取、加工依頼書の作成まで合計で約90分かかっていたのが、システム導入により注文確認から板取処理まで約10分で可能になるという。

 なお、システム開発について9月上旬に特許申請を行った。

 問い合わせはベル・インフォ・テック(電話03―3739―1018)まで。

関 西地区の鋼管特約店である奥平パイプ興業(本社=大阪市浪速区塩草、奥平喜廣社長)はこのほど、南港営業所(大阪市住之江区南港南)に最新鋭の角パイプ専用穴開け機「αNCボール盤2001」を新設、稼働を開始した。需要家の加工ニーズにこたえたもので、主に既存業者ができない少量注文に対応していきたい考え。

 導入した同機は、富士機工製の穴開け機を同社向けに改良した最新鋭機で、機械仕様は角パイプ22ミリ角〜75ミリ角、製品最大長2000ミリ、穴開け8φ〜18φ。製品加工時の送りがNCの自動制御となっているほか、X・Yの2軸のため穴開けの精度も高い。加工能力は約3000本/日。一連の設備投資額は約500万円で、先月末までに南港倉庫への設置を終え、本格稼働を開始した。

 同社はこれまで、穴開け加工に対しては外注対応を行ってきたが、顧客の製作納期の短縮などのニーズにこたえるため、今回、穴開け加工に進出。最近の流れである「短納期」「少量注文」にも積極的に対応していく考え。
千 代田鋼鉄工業(本社=東京都足立区、坂田正孝社長)は、これまで地道なPR活動を展開してきた、長尺金属成形瓦「フィンルーフ」がここにきて市場に浸透してきており、月間販売量は平均1万平方メートルをクリアする勢い。今後はメーンの店売りに加えて、住宅メーカーなどユーザーへ積極的にアプローチし、現行比倍増の2万平方メートルの達成を目指す。

 「フィンルーフ」は、フィンランド・ラニラ社と提携・技術導入し、国内向けにアレンジした北欧感覚の新タイプデザイン屋根。特長は(1)耐候性・耐久性に優れ、ステアーの曲げ部分に塗膜のクラックが発生しない(2)施工が簡単で、既存屋根の葺き替えにも最適(3)長尺金属瓦による連続瓦の施工が可能になり、工事後は北欧風のデザインとシックな色調が建物に風格を与える―など。

 素材は、塗装溶融亜鉛5%アルミ合金めっき鋼板で、塗膜の骨格樹脂には耐候性に優れたフッ素樹脂を採用。標準サイズは働き長さが350―2100ミリ、働き巾は455ミリ(3山)と607ミリ(4山)で、ステアー(段)は1から6まで。カラーは標準4色(銀黒・緑青・レンガ〈つやけし〉・黒〈つやけし〉)。
全 国鉄鋼販売業連合会がこのほどまとめた7月の流通動態調査によると、月末在庫量は31万8787トンで前月比3・8%減少、前年同月比1・0%増加した。在庫率は76・3%で、前年同月の68・5%に比べて高率。販売が減った分だけ在庫率が上昇した、と全鉄連では分析している。仕入量は40万5249トンで前月比0・4%減、前年同月比10・8%減。販売量は41万7874トンで、前月比0・4%増、前年同月比9・3%減。

 品種別の販売量は、異形棒鋼が前月比0・2%微減、形鋼は0・9%増加、H形鋼は0・5%微減。コラムは3地区とも減少一方、軽量形鋼は3地区とも増加。

 在庫量は、異形棒鋼が前月比3・4%減少。形鋼は3・8%減少で、H形鋼は3・3%減。コラム3・1%減、軽量7・2%減、山形3・5%減、溝形5・4%減といずれも減少。

ボ ルト、ナットなどねじの輸入量が増えている。ボルトの00年度輸入は前年比16・2%増の4万9950トンで2年連続の増加。今年1―7月累計では3万870トンで同22・5%増えている。輸入先は中国、台湾が大半を占め、コスト競争力を背景に日本市場に進出。また、日本メーカーの中には海外に拠点を建設し逆輸入しているケースも見られる。家電産業など国内ユーザーが海外に生産をシフトしており、国内ねじメーカーは輸入増と内需減とのダブルの国際圧力を受けている。

 ボルトの輸入先は、中国が4割強を占め、続いて台湾3割強、韓国、マレーシア、タイなどアジア地域が多い。ナットは、00年度で14・3%増の2万1130トン、2年連続の増加。台湾が半量、中国3割、マレーシア、韓国などから。今年1―7月は、12・3%増の1万1560トン。ボルト、ナットとも関西地区での入着が多く、7月実績で関西1950トン、関東1200トン。

 また、ステンレス製品も増加しており、ステンボルトの00年度輸入は22・7%増の6900トンで3年連続の増加。ステンナットは15・5%増の6200トンで3年連続で前年を上回った。

 ねじ類では00年度実績で、コーチスクリューが68・5%増の1450トン。木ねじが45・4%増の1万1530トン。セルフタッピングスクリューは、58・3%増の7530トンといずれも伸び、ねじ類合計では70・7%増の10万2870トン。00年度のねじ国内生産が89万5120トンで、国内生産に占める輸入製品比率は11・5%(95年6・7%)と拡大している。

東 京地区の厚板は底値横ばい。市中価格(12ミリ、ベースサイズ)は3万9000―4万円中心。

 今週に入って川崎製鉄、新日本製鉄がいずれも3000円の値上げを表明し、高炉メーカー各社とも10―11月の出荷分以降で同様の対応を取る見通し。これに対して溶断業者にかかわる需要は鉄骨、橋梁を中心に停滞し、先行き不透明感が漂っている。定尺品、母材ともに流通での荷動きは悪く、一定の需要がありながらも材料の手当てには余裕がある。仕事量が豊富でない状況と母材の下落を反映して、切板価格にも値下げ圧力がかかり、まだ弱含み感が残る。当面は在庫調整を見守りながら横ばいで推移。

東 京地区の大径角形鋼管(コラム)は12×300×300の一次加工付き価格で、STKR5万5000円、BCR6万5000円中心と下値寄りになった。需要家は目先の必要分のみを手配。小口短納期の状態が続く。流通の保有する加工納期の受注残は1―3日。

 需要家は、サイズを小さく肉厚にして予算を抑えており、小口化が進んでいる。流通には、稼働率維持のために加工賃を削って量を求める動きもある。BCRのエキストラは1万円アップが中心だが、量がまとまると8000―9000円になることも。当面は弱含み。

大 阪地区のH形鋼はベース3万―3万1000円どころで弱含み。市中の荷動きは相変わらず低調で、流通の売り腰が軟弱。今年は秋需も期待できないとあって、マーケットの先安観は消えず、市況はジリジリと下がっているのが実情だ。

 一部には、持ち込み置き場換算で大台の3万円を割る安値も散見されている。ただ、流通間では安値への警戒もあり、先月に比べると値下がり速度が鈍化してきている。

 一方、ときわ会在庫は2月以降5カ月連続で減少し、現在、適正水準を下回る比較的タイトな状況となっている。今後も低位安定する見通し。