2001.09.17
高 炉メーカーの、店売り厚板トン当たり3000円の値上げが14日までに出そろった。高炉の厚板の値上げ表明は約1年半ぶり。出荷時期など各社の値上げ内容は一部異なるが、いずれも10―11月出荷分以降を対象に価格是正に取り組む。電炉厚板メーカーの中部鋼鈑も同様の値上げを決めている。

 店売り厚板は1―3月の需給ギャップ拡大から市況が下落。在庫も今年度4―6月の需要落ち込みが響き、高水準で推移していた。これに対して高炉各社は4月以降、1―3月比で20―30%の減産を実施、ここにきて在庫が適正化へ向かうとの見方を強めている。

 02年度いっぱい受注堅調が続く造船や、天然ガスなどエネルギー関連のパイプライン向け需要から、高炉各社の厚板ミルは高稼働が続く見通し。その一方で、店売り主力の建築鉄骨や建機、産機関係は需要低迷が目立つことから、各メーカーは10月以降出荷を絞り込む方針。

 内需が楽観できない中で、流通は高炉各社の値上げ実行の姿勢を注視。とくに店売り向けと需要の重複するスポットの建築鉄骨向け価格がポイントになるとみており、年末にかけてメーカーの値上げの実行力が試されることになる。

N KKは9月契約10―11月出荷分から、店売り厚板をトン当たり3000円値上げすることを決めた。

 造船、ラインパイプ向けUOE鋼管の需要が堅調で、厚板ミルはフル操業が続く見通し。店売り分野では4―6月に1―3月比20%、7―9月に同30%の減産を行ってきた。市中の厚板在庫が減少に転じ、値戻しの環境が整ったと判断。10−12月も1―3月比で30%の減産を続けつつ、シャーや販売業者への浸透を図り、価格是正に取り組む。



 神戸製鋼所は、9月契約から店売り厚板をトン当たり3000円値上げする。10―12月も店売り分野の減産を継続し、価格是正を進める方針。

 値上げの対象はシャー、特約店向けの店売り厚板で10月ロール、10月中旬―11月の出荷分から。4―6月に1―3月比20%、7―9月に同30%の減産を実施。5―6月をピークに市中在庫が減少し、環境が整ってきたとみている。

 同社の場合、ラインパイプ向け厚板は生産していないが、比率の高い造船分野を中心に稼働は好調。店売り向けは10―12月も1―3月比30%の減産を続け、適正水準への値戻しを目指す。

N KKは14日、国内で販売されているLPガス埋設管用のポリエチレン管としては最小径の「20Aポリエチレン管システム」を、国内メーカーとしては初めて本格販売すると発表した。従来の同用途のポリエチレン管の最小径は25Aまで。NKKでは新製品の販売を契機にポリエチレン管の扱いを強め、従来比200トンアップの年間4200トンの販売を目指している。

 現在、国内のポリエチレン管の年間需要は推定2万トン。20Aサイズ管の開発は、材料費低減など経済性の面から、住宅向けなどへの使用を望むLPガスユーザーの要求にこたえたもの。NKKと子会社の富士化工(本社=静岡県富士市、松本重康社長)が一昨年に共同開発し、昨年末から販売に向けたPR活動を行っていた。

 新販売の20Aポリエチレン管システムのバリエーションは、ポリエチレンの直管(標準5M)およびコイル管(同120M)と、エレクトロフュージョン継手(ポリエチレン製電気融着継手)およびポリエチレン立ち上がり管。製品はポリエチレン特有の高い耐腐食性のほか、可とう性(剛性と柔軟性の併存)に優れるなどの特徴を持つ。 NKKではユーザー側が同システムを導入することで、品質・コスト面などで幅広いメリットが得られる――と説明している。

経 済産業省は14日、同省内で第2回鉄鋼業の競争力強化と将来展望研究会(座長=足立芳寛・東大教授)を開催した。今回は日本鉄鋼業の競争力強化の方向について議論、コスト面に加え品質面でも海外に対し優位性がなくなる可能性を指摘。そのうえでユーザーの製造業空洞化も加味し、年間粗鋼生産8000万―9000万トン規模でも十分な利益確保できる体制にすることが重要であるとし、製鉄所の競争力強化、品種別住み分けと事業統合、アジア展開など事業拡大を方策として挙げた。需要に応じた生産の徹底、非効率な生産設備の削減も必要と唱え、きょう17日からパリで開かれる経済協力開発機構(OECD)ハイレベル鉄鋼特別会合での討論を踏まえ、日本だけでなくグローバルな流れで問題をとらえ、考察していくことで意見が一致した。

 第2回会合では、経済省の岡本巖・製造産業局長が、製造業の空洞化について「(背景や動向などの分析・検証を)省を挙げて取り組む」と空洞化問題についてもより深めた議論を進めていくという考えを示した。第3回会合は10月下旬をメドに行われる予定で、これまでの議論を受けて収益確保を通じた研究開発、技術開発について話し合うことにしている。

 競争力強化の方向性では、97年以降、ホットコイル、鋼塊・半製品と上工程製品の輸出が増えている状況下で、コスト面では韓、中、台に劣位に立ち、今後は品質面でも優位性を失う可能性を明示。

 中長期的な国際競争力維持のため、製造業の空洞化も踏まえつつ、8000万―9000万トンの粗鋼生産でも収益確保ができる強靭(きょうじん)な体制づくりが必要とした。
古 賀オール(本社=東京都中央区、古畑勝茂社長)は、今年度(01年9月―02年8月)の販売量について前年度実績比3%増を目指す。薄板需要の減少傾向で厳しい環境が予想されるが、顧客志向を重視し、社内小集団活動の拡大を図る。また東北、甲信越の両支店にも新しいコンピューターシステムを導入する。

 前期は販売量で前々期比8%増を計画していたが、今年3月以降の環境悪化から微増にとどまった。一方、売上高は販売競争の激化や市況下落のため減少した。薄板を取り巻く環境が厳しい中で、今期は「現状に満足することなく、一歩上を目指す改善・改革」(古畑社長)し、3%増の計画達成を最終目標とする。

 管理部門では新システムを東北(宮城県白石市)、甲信越(長野県茅野市)の両支店・工場に、今期中に導入することを決定。すでに導入している本社、東京工場(東京都江東区)、北関東支店・工場(群馬県太田市)と合わせて、全社を結ぶネットワークを完成させる。

 システムの一元化により営業、管理部門間の情報伝達や在庫管理のスピードアップ、手書き伝票のデータ化を進め、業務効率化につながるという。業務改善活動の「SCASH21」については各事業所への展開を完了、目標数値を引き上げてレベルアップを図る。
厚 板の大手取扱業者の中嶋産業(本社=大阪市住之江区南港南、中嶋秀章社長)は、関係会社の松本シヤリング工場(本社=大阪市住之江区南港東)の加工体制の強化を進めていたが、このほど、2・8トンの門型クレーンの導入し、一連の作業を終えた。今後は工場の生産性を向上させ、切板で月間400―500トンの加工確保を目指すとともに、利益確保を図る。

 松本シヤリング工場は中嶋産業が昨年12月、松本の全株式を購入、子会社化した。この段階では本社工場の加工設備がアイトレーサー1基、NC熔断機2基、大型シャー1基で、厚み6―9ミリの薄物を中心に、産業機械向けに加工していた。

 ただ、薄物の加工を効率的に行うには設備の増強が必要と判断、今年春から作業を進めていた。まず、今年4月に中嶋産業のレーザー加工専門の南港工場(大阪市住之江区南港東)から、レーザー切断機1基(新日本工機製、出力=6キロワット)を移設するとともに、付帯設備として2・8トンのクレーンを導入した。

 さらに、8月に片側門型クレーン1基を設置した。これにより、一連の設備の増強が完了、工場の物流がスムーズになるとともに、生産効率面の改善が実現できた。

 今後、松本シヤリング工場では薄物の細かい受注に対応し、収益力のアップを図っていく方針。
関 西地区の厚板市況は3万6000―3万7000円(トン当たり、12ミリ厚の3×6幅、東国製鋼ベース)どころで底入れムード。高炉メーカーが、秋から店売り値上げを表明したことから、地区の扱い業者も採算割れからの販売価格を是正する動きをとっているため。

 地区の厚板定尺市況は、昨年8―9月段階で4万3000―4万4000円だったが、その後は需要の急激な落ち込み、在庫の増加に加え、一部高炉メーカーの安値販売が影響し、昨年11―12月から下落し、現在3万6000―3万7000円が中心となっている。

 しかし、ここにきて供給面で大きな変化が出てきた。まず、高炉メーカーは造船向け、および大径管向けでロールがいっぱいとなっており、ほとんどのミルが店売りを大きく絞っている。輸入材も海外ミルが日本向けで赤字で、輸出を抑制する動きをとっており、ここ最近の入着量は低水準。

 このため、特約店の入荷も夏場から絞られており、在庫も特約店段階で適正に近い状態。熔断業者段階や地方特約店の在庫も、調整がほぼ完了している。

日 本鋳鍛鋼会がまとめた2001年7月分の鋳鋼、鍛鋼生産速報によると、生産量は鋳鋼が2万948トン(前月比1097トン、5%減、前年同月比1064トン、4・8%減)、鍛鋼が4万5332トン(同1100トン、2・4%減、同4043トン、8・2%減)といずれも減少した。鋳鋼は2カ月連続の前年同月比減で、鍛鋼は4カ月連続の前年同月比減。鋳鋼は建設機械が低迷、産業機械向け中大型品などが落ち込み、鍛鋼では船舶、発電用機器以外は前年実績を割り込んだ。今後も前年実績を下回る見込みだ。

 同速報は鋳鋼が全国92工場、鍛鋼が同22工場が対象。それによると鋳鋼はバルブ・コック、船舶、発電用機器向けが下支えし、月産2万トン台を維持しているものの、主力の建機向け量産品が減少、産機も中大物部品がさえない状況。鍛鋼も船舶、電力を除くと各用途とも前年実績よりも減少している。

 今後の見通しについても、現在堅調さを保っている機種以外は、建機、大型トラックのほか、設備投資や輸出関連が先行き回復の見込みがないことから、前年比での減少が続く公算が大きい。

東 京地区の異形棒鋼は新規物件の出件が振るわず、ベース2万6500円で弱横ばい。 出荷は細物中心にタイトな状況。しかし、他地区の低市況やゼネコンの安指し値といった下押し要因と半ば相殺し、基調は引き締まらず、2万5000―2万7000円の間で幅のある展開。

 「ゼネコンは受注競争から仕入れコストを引き下げざるを得ない」(専業商社)ため、商社の販売価格は改善されず、メーカーの値上げ・減産に対する市況の反応は依然鈍い。

 関東地区は再開発工事が続き、「高層マンションも計画段階で100棟」(内販商社)ともいわれ、需要は当面維持される見通し。あとはメーカーの生産・販売姿勢による。

東 京地区の中板は横ばい。市中価格(3・2―4・5ミリ、ベースサイズ)3万4000―3万5000円中心。

 高炉メーカーの値戻しに対し、流通も段階的に値上げを転嫁する姿勢。ただ、仮需がないことや二次販売の先の需要家からの値下げ要請が強いことから、メーカー主導の値上げは難航し、市況も底との認識はあるが横ばいで推移する。

 コイルセンターや二次販売店の売れ行きは7月、8月とも大きな伸びはないが堅調だった。9月以降は需要の核となる材料を欠き、在庫もほぼ均衡している。今週発表となる東京製鉄の10月販価に注目が集まっているが、需要の後押しが弱く、市況は横ばいか。

大 阪地区の冷延薄板は需要が秋になっても低調な状態が続いているうえ、在庫の調整も遅れており、市況は3万8000円(トン当たり、1ミリ厚の3×6幅)どころで弱含み。

 高炉メーカーはここにきて、減産に入りつつがあるが、中継地の在庫も多く、供給圧迫感は解消されていない。この結果、コイルセンターの入荷は依然として、需要見合いのものとはなっていない。コイルセンター段階の在庫はようやく減少しつつあるが、依然として過剰ぎみ。

 一方、需要は家電が大きく落ち込んでおり、建材も不振。コイルセンターの加工も稼働率が通常の80%程度にとどまっている。このため、流通はなかなか販売を引き締められない状態が続いており、当面、市況は弱含み。