2001.09.25
川 崎製鉄は熱延鋼板に続き、酸洗鋼板、冷延鋼板、表面処理鋼板の店売り向けの値戻しを早ければ今週中にも正式発表する。値戻し幅は3000円を中心に最終調整が進められている模様で、実施は10月契約、または11月出荷分からのいずれかになる見通し。

 熱延に続く店売り薄板類の値戻しについては、先月下旬非公式ながら、新日鉄が酸洗と冷延について、10月からの実施意向を表明している。熱延同様、冷延など各品種とも値戻し価格以下での受注を拒否し、その結果として店売り向け出荷を大幅カツト、過剰在庫の圧縮を図る狙いで共通している。

 新日鉄、川鉄両社が薄板全般にわたり店売り価格の底上げに動くことで、同業他社がこれに追随することは確実。粗鋼減産に裏打ちされた市況対策が本格化する機運が大きく高まってきた。

経 済産業省はこのほど自動車など鉄鋼需要団体ヒアリングを実施、足元の需要動向について聞いた。これまでハイペースを続けてきた造船が8月の輸出船契約実績を前年同月比47・4%減と下げ、好調にも陰りの兆候が見えつつある。自動車生産も国内販売が堅調なことから、落ち込みは小さいものの、米国同時多発テロ事件の影響で北米市場の先行きが懸念されており、輸出が一段と減少する可能性も出てきた。そのほかも建設機械、重電、家電などと減少しており、総じて鉄鋼需要につながる製造業は基調を弱めている。

 自動車を見ると、8月の国内販売は乗用車が同5・5%増、トラック同8%減で、合計は同1・6%増と2カ月連続増加。7月輸出は乗用車同5%減、トラック同14・5%減で、合計は同6・3%減と7カ月連続のマイナスを記録した。この結果、7月の生産は乗用車同横ばい、トラック同7%減、合計同1・2%減と微減ながら7月続けての減少となった。

 造船は8月の輸出船契約実績が同47・4%減と減少。夏期休暇による一時的な減少とみられるが、海運市況低迷の影響とする見方も出てきた。8月末の手持工事量は2477万1230総トンと00年3月末の2305万3466総トンを上回っている。

 産業機械は7月の受注額が同20・6%減。内需が同14・6%減、外需が同37・6%減といずれも減少した。国内のうち製造業は化学向けの伸びから同23・6%増と増えたが、官公需は同39・5%減と大幅に下げた。

川 崎製鉄は、薄板中心だった自動車鋼材の適用品種拡大を視野に入れて「自動車鋼材ミーティング」を発足、自動車メーカー向けの提案強化に乗り出す。自動車メーカーのグローバライゼーションに対応して米・欧・アジアの3極で国内外自動車メーカー各社のニーズを発掘。今後、ステンレスやパイプ、電磁鋼板など適用が進むとみられる他品種セクターとの連携など、月1回のペースでミーティングを開催し、カスタマーロイヤリティの向上を図る。

 同ミーティングの発足は、自動車メーカーのグローバル戦略の流れに対応して、全社的な情報共有ネットワーク構築をベースとした販技一体化が狙い。今後、自動車軽量化など加工技術の発達に伴い、薄板以外にステンレスやパイプ、鉄粉、棒線など適用品種拡大を見通した。

 国内外の自動車メーカー各社のニーズを収集発掘するため、「レジデントエンジニア」として大手国内自動車メーカーや部品メーカーに社員4人を配置、さらに今年度中に数名の派遣を計画している。また、海外メーカーの情報収集やニーズ発掘の体制を整える。

 昨年度、国内と輸出に分かれていた営業部門を自動車鋼板営業部として集約。技術研究所に発足した加工技術開発センターなどと連携して自動車メーカー向けの提案力強化を狙っていた。さらに開発段階から顧客と共同で技術開発に取り組む「サイマルテーニアスエンジニアリング」のコンセプトを本格的に推進する。

神 戸製鋼所はこのほど、2002年度から全社員の年収水準5%引き下げ、役員報酬の追加減額などを内容とする2年間(2002―2003年度)の緊急収益改善策の実施を決めた。同時にコスト削減策として、1300人の要員削減の追加、雇用延長型転籍制度の実施、本社要員・コストの半減、海外エンジニアリング事業の再構築なども実施する。これら施策により年間100億円程度の収益改善効果を見込み、2004年度連結経常利益400億円確保を目指す方針。

 同社は現在、昨年4月から「連結中期経営計画」を推進中だが、今期業績見通しを経常利益ゼロに下方修正するなど、市場環境の急変による業績悪化が懸念されている。このため2年間を期限とする緊急収益改善策および要員削減を中心としたコスト削減策を実施、IPPの2基稼働により安定収益基盤を確立できる2004年度には、連結経常利益400億円を確保できる収益体質を構築するというもの。

 社員の年収については、2002年度から2001年度に比べ一律5%引き下げるという大がかりなもので、引き下げ方法は今後労働組合と協議する。役員報酬は10月から10%削減を実施。これにより現在実施分と合わせ30%の削減となる。また研究開発費などあらゆる経費削減を実施する。これら緊急収益改善策で年間100億円程度の改善効果を見込んでいる。

 人員削減では現在の中期計画で2002年度末に99年年度末比2300人減の1万5300人(出向含む)体制とする計画であったが、これに1300人を追加、2003年度末には1万4000人体制とする。本社要員も300人から150人まで半減する。

 さらに今回新たに雇用延長型転籍制度を導入する。具体的には60歳までの年収差額補填を85%(従来は100%)とするかわり、転籍先で最大65歳まで雇用を延長する制度。今年度末に一部特定子会社に出向中の50歳以上の社員700人を対象に実施する。

関 東地区の小棒マーケットはメーカー、流通の業界再編が顕在化し、市況安定に向け変化の兆しがみえてきた。大手ベースメーカーの合同製鉄と東京鉄鋼が、共同販売会社の設立で合意し来年4月に新会社の業務を開始する。商社では今年10月に、丸紅鉄鋼建材と伊藤忠テクノメタルが統合し、伊藤忠丸紅テクノスチールがスタートする。両メーカーおよび商社とも「市況の安定」を課題に掲げており、製・販で安定軸が構築される来年以降、市況形成に及ぼす供給サイドの圧力は増すことになりそうだ。

 関東地区は、再開発工事や高層マンションの堅調な建設が続いている。メーカーサイドは減産と細物の輸出で需給調整を進めており、需給バランスは均衡。しかし、関西市況がベース2万2000円で低位推移するなど、他地区の低市況が足を引っ張り、関東市況はベース2万6000円で弱含み横ばいで推移している。公共事業予算の圧縮や、不透明な景気動向から先々の需要を不安視する向きはなお多い。

 こうした厳しい情勢下から、関東メーカーの構造改善が叫ばれて久しい。昨年、東洋製鋼が破たんし、細物メーカーの再編も報道されたが、「一層の構造改革が必要」(佐々木喜朗・普通鋼電炉工業会会長)との意見が大勢だ。

 現在、関東地区のベースメーカーは合同、東京鉄鋼、朝日工業、伊藤製鉄所、東京鋼鉄の5社。東京鋼鉄は東京鉄鋼に生産を全面的に委託しており、実質4社が製造・販売している。今回、合同、鉄鋼の大手2社が共販会社を立ち上げることで合意し生産も受委託することで、関東地区の供給ルートが整備されてくる。細物を含めた関東地区小棒の月間販売量は26万―27万トン。このうち、合同・鉄鋼の共販会社の販売分は、5万5000トンで約2割を占める。メーカーでは関東最大の販売シェアとなり、主導権を握ることになる。

ベ スレヘム・スチールは20日、米国際貿易委員会(ITC)が実施している201条調査のヒアリングで、鋼材輸入危機からの救済がなければ米国業界は競争に生き残れないと証言したことを公表した。

 ベスレヘムは設備更新投資などで過去10年間に約40億ドル投資したが、低価格の輸入品急増によって被害を受けたため、利益を上げられず、新規投資ができないと訴えた。

 また、ITCに対して、相互に関連するスラブから耐腐食被覆鋼板までの製品群を鋼板としてひとつの業界と捉え、包括的な救済策を採るよう要請した。

大 阪製鉄の子会社で平鋼単圧メーカー、日本スチール(本社=大阪府岸和田市臨海町、山城和弘社長)は10月に中間圧延機の更新増強工事を計画しているが、工事は10月6日着工、28日完成のスケジュールで実施する。この間生産を停止するため10月は正味1週間弱の操業にとどまる。

 中間圧延機の更新増強は既存の2台を新鋭3台に切り替えるもので、98年にスタートした第2次中長期計画の第2期工事にあたるが、さかのぼって94年の粗圧延機の更新、96年の加熱炉の更新から連なる設備近代化投資の仕上げともなる。

 更新増強は使用ビレットの大型化による生産性の向上と品質向上が狙い。現在ビレットは100ミリ角から185ミリ角までの断面角7サイズを使用しているが、更新増強後は130ミリ以上の4サイズに集約する方向で、これにより生産性を上げる。また新鋭機にリプレースすることにより精度アップ、品質向上を実現する。同工事により10月は約3週間生産を停止するため、対応策として今年度上期で製品の造りだめを行っている。

全 日本特殊鋼流通協会(会長=田島清・テクノタジマ会長)は青年部会を設立する。全国の特殊鋼流通業界の若手が集う場を提供することで、特殊鋼業界の活性化や発展につなげようとするもの。11月10日に名古屋市中区錦の名古屋国際ホテルで設立総会を開催する。

 全特協では昨年、人材育成委員会の主催のもと青年部会設立準備委員を組織、これまでに数度の会合を重ね、準備を進めてきた。設立後は各地域の若手の会と連携を取りながら、部会活動の活性化を図る。

東 京地区の熱延薄板市況は弱含み。市中価格(1・6ミリ、ベースサイズ)は3万8000―3万9000円中心。

 建築、建機産機を中心に需要が停滞し、コイルセンターの稼働率も70%前後と低調。こうした中で東京製鉄が10月販売価格でエキストラ体系を変更し、これが実質的な値下げの材料となるとの懸念が強まっている。

 1・6ミリと中板の分野との間にあった2000円の価格差を東鉄は解消し、同価格と設定した。コイルセンターでは「中板と比べると出る量が少ない」とするが、加工コストとしてエキストラがある中で、メーカーの実質値下げにより市況にも圧力がかかる可能性が出てきた。

東 京地区の角形鋼管(黒皮=2・3ミリ×100ミリ×100ミリ)市況はトン4万9000円を中心に弱含み横ばい。

 下期目前だが、需要環境に好転の兆しはうかがえない。ある問屋の9月の荷動きは日割で7―8月レベルとのことだが、「感覚的には減少ムードが付きまとう」(問屋営業)とのこと。

 関東圏の建築物件は低位安定の状態のため、目立った価格の下落は起きていないが、需給ギャップのためにジワジワと下値に押し込まれる基調が続く。流通サイドでは採算確保の意識で安値の出し合いとはなっていないが、「厳しい状態に変わりはない」。目先、弱含み横ばいの見込み。

大 阪地区のH形鋼市況はベース3万―3万1000円どころで強含み。採算悪化を理由に流通各社が先週から安値を回避し、3万円以下の安値が切り上がり、3万1000円をうかがう局面。地区の大手特約店筋では今週に2000円、月替わりに1000円の計3000円の値上げを実施する方向で、当面、3万2000―3万3000円の市況形成が焦点となる。

 また、電炉の物件価格がここにきて1000―2000円上昇していることも値戻しの強材料となっている。メーカー各社は10月以降も減産幅を拡大する意向。流通各社は「需要は期待できないが、供給量も増えることはない」として値戻しに自信を見せている。