2001.10.01
日 米欧鉄鋼3極の同時不況に、同時多発テロという予期しえなかった新事態が加わったことで、鉄鋼業はかつて経験したことのない異常な経営環境のなかで、01年度の中間点を折り返した。下期は減産、値上げ、アライアンスが進行。危機感を強めたメーカー各社の具体策により、未曾有(みぞう)の底からの脱却がみえてくる。

 02年3月期の決算見通しは大幅な下方修正を強いられ、鉄鋼業の各分野で需給改善と価格是正の動きがにわかに強まってきた。高炉の粗鋼生産は川崎製鉄が3・四半期からの減産を表明、新日本製鉄が熱延、厚板に加え、10月出荷から店売りおよび一部ヒモ付き薄板類のトン当たり3000円値上げを発表。線材製品、構造用鋼なども値戻しの動きを強めている。

 01年度の適正粗鋼生産規模が9800万―9900万トンとされているなかで、4―8月の粗鋼生産は4361万7300トン、前年同期比5・4%減ではあるが、なお年率換算1億400万トンの高水準を保っている。その一方で8月末の普通鋼鋼材在庫(メーカー・問屋)は782万8000トン、国内向け在庫に限っても619万9000トンで、今年1月から8カ月連続で600万トン台の高水準で推移している。

 この間、薄板類の鋼材価格は国内、輸出とも、国際比価でも最低水準にまで落ちこみ、年度下期で一段と内外実需が後退する懸念が強まるなかで、価格是正に向けたアクションが急務となっていた。高炉各社が粗鋼減産、価格是正に足並みをそろえることで鋼材市場の潮目は大きく変わる。

経 済産業省がまとめた2001年度第3・四半期(10ー12月)の特殊鋼需要見通し(熱間圧延ベース、月平均)によると、特殊鋼需要量は国内、輸出合わせ、128万500トン(前期比0・4%増、前年同期比5・5%減)と策定された。主力需要分野の自動車生産を完成車245万台(同1・2%増、同3・4%減)、KDセットは130万台(同横ばい、同0・4%増)、合計375万台(同0・8%増、同2・1%減)と想定、構造用鋼など自動車用鋼のプラスを見込んで国内向けは前期比増とした。輸出向けは自動車関連での工具鋼の伸びと、東南アジア向けで高抗張力鋼の大径管の増加を予想し、前期を上回る。

 需要量は前年同期比では2期連続減に対し、前期比では3期ぶりの増加となる。

 内訳は、国内が91万5200トン(同0・4%増、同10・7減%)、輸出が36万5300トン(同0・4%増、 同11・1%増)。国内向けは4期ぶりの前期比増で、3期連続の前年同期比減。輸出は国内、輸出とも2期ぶりのプラス。

電 炉メーカーの関西製鋼(大阪府堺市)と臨港製鉄(大阪府交野市)の対等合併により、「新関西製鐵」が10月1日スタートする。新会社は年産45万トン。平鋼では国内シェア約25%となり、関東の王子製鉄と肩を並べ国内トップ。初代社長には旧関西の清吾修三社長、代表権のある会長に旧臨港の中野修行社長、同じく代表権のある副社長に三菱商事の杉山勝利前中部支社副支社長が就任。執行役員制も導入し、陣容を整えた。資本金は15億250万円で、三菱商事が出資比率9・8%で筆頭。本社所在地は旧関西本社。従業員は417人の体制。

 旧関西は広幅平鋼最大手。旧臨港は平鋼を中心に丸鋼、角鋼、異形鋼などを生産する多品種少量生産の典型電炉。合併を機に経営資源の集中、最適配分を図り、合理化、効率化を追求する。合併前にそれぞれに収益性の改善、財務体質の改善など課題に取り組んだこともあり、初年度(2002年9月期)は厳しい環境にありながら、売上高190億円で、経常利益1億3000万円を見込む。先行き合併によるシナジー効果も引き出し、収益に反映させる。

8 月の鉄鋼輸出実績(全鉄鋼ベース)は、271万3654トンで前月比1・9%減、前年同月比6・0%増だった。この結果、1―8月の同輸出累計は1914万5162トン、前年同期比3・0%減となった。

 これは日本鉄鋼連盟まとめによるもので、8月の普通鋼鋼材輸出は188万568トン、前月比6・9%減、前年同月比7・4%減。うち熱延広幅帯鋼は66万5807トンでそれぞれ4・3%減、10・0%減、冷延広幅帯鋼が23万2トン、10・4%減、12・8%減。亜鉛メッキ鋼板が27万84トン、16・7%減、25・7%減、厚板は13万3395トン、同4・6%増、4・3%減。普通鋼鋼材の1―8月の輸出累計は1403万4122トン、前年同期比8・0%減だった。

 全鉄鋼ベースの8月の輸出は、韓国(55万7000トン、前年同月比3・4%増)向けが5カ月連続、中国(39万1000トン、同11・4%増)向けも2カ月連続、台湾(23万6000トン、同24・3%増)向けは2カ月ぶりでそれぞれ増加。一方、タイ(23万6000トン、同11・8%減)向けは3カ月連続、米国(14万8000トン、同15・3%減)は3カ月ぶりの減少となった。
住 友金属工業は28日、パソコンの基本ソフトより高度なソフト群「ミドルウェア」を用いた類似文書検索システムを開発した、と発表した。同システムは、従来のキーワードはなく、文書による検索で、そのため検索処理が複雑になるなどの難点があったが、それを複数のパソコンを使った並列化により高速処理化した。並列化したパソコンの1台が故障しても他機で代替可能。

 同社は、経済産業省が21世紀に必要とされる情報処理技術を開発するため92年度から10カ年計画で推進中のRWC(リアル・ワールド・コンピューティング)プロジェクトに鉄鋼メーカーとして唯一参加し、同プロジェクトの一環として今回の類似文書検索システムを開発した。

 同社は同システムを子会社の住友金属システムソリューションズに技術供与し、同社がそれを組み込んだ電子編集・画像処理システムを開発中で、03年度を目標に商品化を目指している。

 なお、同プロジェクトの研究成果は、3―5日、東京・有明の東京ファッションタウンで発表される。
日 鉄建材工業(岡田明久社長)は、急速に変化しているマーケットニーズに積極対応するとともに、需要が低迷する中で新規開拓を推進するため、下期の試験研究費を当初計画比で40%アップするなど、研究開発部門をより一層強化していく。

 同社では、地球保全や快適な都市生活など、環境問題に配慮するとともに安全性やデザイン性が高く、低コストを実現する新規開発に力を注いできた。これが功を奏し、最近では「ノンフレーム工法(斜面安定化工法)」や「サイレントロード(裏面吸音板)」など、数々のヒット商品を誕生させている。

 研究開発費は毎年度、売上高の約1%(試験研究費、労務費を含む)を計上しているが、マーケットが急速に変化している今年度は弾力的に対応。下期には、試験研究費を当初計画比40%アップさせる。

 開発への取り組みとしては、キーワードである『統合化』を前面に打ち出す。具体的には、コンクリートや木材など非鉄鋼を鋼材に組み合わせる『材料のハイブリッド化』を追求するとともに、化学や電機など他分野技術との統合も推進。さらに、需要家や同業他社との共同開発に関しては、鋼製防護柵協会など関連団体を通じて意欲的に取り組んでいく方針だ。
カ ンパニア・バレ・ド・リオ・ドセ(CVRD)は26日、べレム―アドミニストラコエス・エ・パーティシパコエスの99・99%を買収したと発表した。子会社のドセパーが残り0・01%を取得した。

 べレムはベスレヘム・スチールとベスレヘム・スチール・インターナショナルが保有しており、エンプリエンディエメントス・ブラジレイロス・デ・ミネラカオ(EBM)の9・9%を保有。

 EBMはカエミ・ミネラカオ・エ・メタルルジアが支配しており、EBMが鉄鉱業のミネラコエス・ブラジレイラス・レウニダス(MBR)の51%を所有している。

日 本鉄源協会がまとめた9月第4週の鉄スクラップ市況調査によると、関東・中部・関西3地区平均価格はトン当たり6600円(メーカー炉前価格、H2中値平均)と前週比横ばい。

 全国平均は6937円(前週比横ばい)で3地区、全国ともに横ばいとなった。

 地区別では関東が6817円(前週比横ばい)、中部が5940円(同横ばい)、関西が6900円(同横ばい)となった。

東 京地区の異形棒鋼はゼネコンの厳しい買い姿勢から商社販価の上昇力は乏しく、ベース2万6000円で弱ムード。

 先安を見込むゼネコンの買い控えが顕著となり、9月の明細は低調。出荷も明細の落ちとともに下降し、荷動きに陰りが見られる状況。

 ベースおよび細物メーカー各社は市況軟化を懸念し、10月以降も「価格維持を徹底」(大塚寿郎・朝日工業社長)する。メーカーは10月前半の売り出しを見送る見通しで、「焦って売る必要はない」(メーカー営業担当者)と慎重に構える。

 しかし、ゼネコンの指し値は変わらず、先行きを不安視する商社の売り先行の動きもあり、当面横ばいか。

東 京地区の表面処理鋼板(電気亜鉛めっき)は弱含み。市中価格は5万3000―5万4000円(熱延下地)、6万3000―6万4000円(冷延下地)。

 10―12月は需要期とされるが、建材や電機など各分野とも需要の核となる材料がなく、流通は停滞した状況が続くとの見方。8月後半から9月にかけての低調な荷動きを引きずって、9月の販売も8月と同水準にとどまる見通しだ。

 在庫過剰のピークは越えたものの、需要の落ち込みでまだ余剰感が強い。とくに仲間取引で中心となる電気亜鉛めっきは注文が細る傾向にあり、販売業者の在庫意欲や中小規模の受注が落ちていることを示す。

大 阪地区の冷延薄板はここにきて、メーカーが減産に本腰を入れてきているものの、秋需が不振なこともあって、市況は3万8000円(トン当たり、1ミリ厚みの3×6幅)どころで弱含み。

 高炉メーカーは10―12月に減産を表明したが、実際に流通の入荷が減るのは今月末からとなる方向。コイルセンター段階の冷延薄板の在庫は減少しつつあるが、在庫率は1・2―1・3カ月と高い水準。また、メーカーの中継地在庫も依然として過剰ぎみ。

 また、需要は家電が低調で、建築も不振。コイルセンターの加工も稼働率が7―8割程度となっている。需給改善の方向性は見えててきたが、実際の効果が出てくるには時間がかかるため、当面、市況は弱含み。