2001.10.09
01 年度下期入りを境に高炉大手各社の営業戦略が大きく転換した。各社の01年度の業績が当初予想以上に悪化する見通しとなったこと、同時多発テロ事件という異常事態の発生で、下期の経営環境の不透明感が一段と強まってきたことが戦略転換の直接的な契機。「危機管理としての対応が是非とも必要」(三村明夫・新日本製鉄副社長)という認識で一致、粗鋼減産、値戻し実施で足並みがそろった。

 99年度初頭から01年度にかけ正味2年以上の長期にわたって繰り広げられた薄板3品を中心とする生産・販売競争は高炉各社にとって未体験ゾーンといえるほどかつてない激しさだった。それゆえにゾーンからの脱却時期は丸1年遅れ、その結果として、各社は年度下期からの大幅粗鋼減産、不況下での値戻し努力という大きな代償と試練を受ける形となった。先月7日、高炉各社が発表した02年3月期の中間期および通期決算見通しは、今年5月下旬に各社がまとめた第一次見通しを大幅に下方修正された内容だった。修正幅は100億円から数百億円で3カ月半前の見通し修正としては異常なほどに大幅なものだった。

 その主因は高炉が生産する鋼材の大宗を占める薄板3品(熱延・冷延・表面処理鋼板)の価格下落、「表面処理の過去2年間の値下がり幅はトン1万円以上」(高炉営業幹部)にある。現状の価格では「再投資とR&Dの原資が確保できない」(各社営業トップ)ギリギリの状況に追い込まれている。

経 済産業省が現在実施中の2001年度第3・四半期(10―12月)鉄鋼生産計画ヒアリングの感触によると、高炉メーカー6社の粗鋼生産は、減産基調をもう一段強める傾向にある。

 9月に同省が策定した01年度第3・四半期需要見通しで示された出荷等相当粗鋼需要量2480万トン(前期比98万トン、3・8%減、前年同月比258万トン、9・4%減)と大幅に乖離することなく、同見通しのラインの生産水準となる見込みだ。

 生産計画ヒアリングは、この後今週、特殊鋼、普通鋼電炉各社からヒアリングする予定で、今月30日までに集計される運びだ。

日 新製鋼は、今年度下半期の粗鋼生産計画を見直し、第3・四半期に前期比10万トンの減産を実施する。減産の対象は販売価格が陥没している薄板が中心となる。同社は第4・四半期についても「需要が回復するとは考えにくい」(田中卓男専務取締役)とみており、第2・四半期比で少なくとも10万トン以上の減産を実施することになりそう。第3、4・四半期の減産により同社の下半期粗鋼生産は上半期比20万トン減の184万トン前後にとどまる見通し。同社の00年度の粗鋼生産は375万トン、上半期181万トン、下半期194万トンだった。

H 形鋼の8月分輸出が4万5678トンで前月比29・4%増と大きく伸びたのは、韓国向けが2万2287トンで同66・6%増となったことが寄与した。今回最大の向け先となった韓国が増えているのは、日本の輸出価格が220―230ドルと、韓国の国内価格約36万8000ウォンよりも安くなっており、東京製鉄を中心とする電炉材が多く出ているためだ。これまで最大の向け先となることが多かった香港への輸出量は1万6724トンと、韓国向けの4分の3にとどまった。現地の住宅建設が延期や取りやめになっている需要減に加え、台湾などが安値攻勢に出ていることが原因。

 商社筋によると、この2カ月間、韓国の問屋筋が積極的に日本から購入しているという。韓国は輸入に対する関税を段階的に下げており、3年後をメドに撤廃する予定。現在は6%で、それ以外に輸入チャージが3%程度かかる。これらを支払っても、今は日本から輸入するほうが安価になっている。

 韓国内では、INIスチールが国内価格を下げているにもかかわらず、4月以降、急激に輸入が増えており、日本だけでなく、中国の馬鞍山からも多く購入しているという。
清 和鋼業(本社=大阪市西区九条南、阪上正章社長)は新日鉄若松鉄構海洋センター(北九州市若松区)内に建設していた九州支店の事務所および倉庫がこのほど完成、きょうから新天地での営業を開始する。旧支店が北九州市などの道路建設に収用されるのを機に代替地での新設を進めていたもの。

 新九州支店は総面積1万9212平方メートル、建築面積1万1281平方メートル、延べ床面積1万1547平方メートルで、S・RC造の地上2階建て。在庫能力は旧倉庫とほぼ同じ2万トンで、H形鋼、一般形鋼などの形鋼類から鋼板類までを在庫する。

 また、加工設備は切断機2基(いずれも大東精機製)、穴開け1基(大東精機製)、H形開先機1基(ハタリ精密)、コラム開先機1基(ハタリ精密)の合計5基を旧倉庫からそのまま移設するにとどめた。月間加工能力は約400トン。

 一連の投資額は土地取得額を含め約13億5000万円。

 先週1週間でほぼ移転作業を終了、従業員約20人が入って今週から営業を開始する。竣工式は11月10日に開催予定。

 ▽新住所=北九州市若松区大字安瀬64番地の163

 ▽TEL=093―761―1482

 ▽FAX=093―761―1482

住 友金属建材(津田和明社長)は11月から、尼崎製造所(兵庫県尼崎市)でグレーチング類の在庫を開始する。小口短納期の引き合いに対応し、物流の効率化を図るもので、ワコーリップはすべての製品、グレーチングは売れ筋サイズを在庫する。これにより、グレーチング類(カタログに掲載している製品。スケッチサイズを除く)は基本的に、当日の午後2時までの受注分が翌日にデリバリーできる体制となる。

 同社は今年4月に、ワコースチールのグレーチングの事業を継承した。

 これに伴い、住友金属建材ではワコースチール(本社=千葉県香取郡、松本寿孝社長)がグレーチングを生産していた滋賀工場(滋賀県甲賀郡)を引き受け、ワコーグレチーングとして子会社とした。製品販売は住友金属建材主体で行う体制とした。

 当初、グレチーング類の在庫は、ワコーグレチーングの工場と全国のヤードを活用し展開してきた。しかし、品ぞろえを充実化し、小口短納期の引き合いに対応するには、尼崎製造所での在庫が必要と判断したもの。

 尼崎製造所での在庫は11月から開始する予定。在庫内容はワコーリップについてはポリカリップ、カラーリップ、ウレタンリップ、

RA、RB、RC型などすべての製品。グレーチングについては、スケッチ品を除いた売れ筋製品を在庫する。

 今回の在庫開始により、グレーチングなどの通常品は、その日の午後2時までに注文を受け付けると、翌日にはデリバリーできるようになる。ただ、スケッチサイズなどの特注品の納期は10―14日を予定している。
8 月の大手高炉5社合計の出銑量は21万1575トンで前月比0・29%増加し、これで01年の月別出銑量は6月以降、3カ月連続して21万トン台、3月にさかのぼれば6カ月間、20万―21万トン台の高水準となった。建築、自動車、産業機械などを中心に減少し続けている鋼材需要動向とは逆の動きを示している。

 8月の5社別の出銑量、出銑比、燃料比のうち新日本製鉄とNKKの上位2社の出銑量は前月比マイナスとなったものの川崎製鉄、住友金属、神戸製鋼の3社は同2―6%のプラスとなった。

 また、出銑比(炉容積1立方メートル当たり出銑量)は新日鉄とNKKがともに2・03で、他3社は1・81―97であった。

 燃料比(銑鉄1トン当たり)で500キロを下回っているのは引き続き新日鉄1社で、4社は515キロから542キロだった。

8 月の鉄スクラップ輸出量は、60万3000トンで前年の21万5000トンを大きく上回った。これは過去最高となった先月(67万1000トン)に次いで2番目に多く、国内の需給ギャップとアジア諸国からの引き合いの強さを反映している。

 輸出先を国別にみると、中国が24万9000トン(前年=10万8000トン、前年比=57%増)、韓国が21万5000トン(同=7万9000トン、同比=63%増)、台湾が7万8000トン(同=1万3000トン、同比=85%増)となっており、いずれも大幅な伸びをみせた。このほかインドネシアが1万9300トン、ベトナムが1万1400トン、タイが1万500トンと多方面へ向けて輸出された。

 輸出増の背景には国内鉄鋼メーカーの減産によるスクラップ需給の緩和、中国や韓国をはじめとするアジア諸国で強まる輸入引き合いがあげられる。鉄鋼蓄積量に乏しいアジア諸国には潜在的な需要余力があり、日本の余剰スクラップの供給先として今後も有望な市場といえる。

東 京地区の表面処理鋼板(電気亜鉛めっき)は高炉メーカーが値上げを表明したが、市場環境が悪く市況は弱含み。市中価格は5万3000―5万4000円(熱延下地)、6万3000―6万4000円(冷延下地)。

 高炉6社のうちすでに4社が10月出荷からの値上げ方針を表明、表面処理鋼板も対象となっている。しかし、高炉各社が認識するように市場環境は9月以降、一段と悪化した。建築着工の落ち込み、とくに電気めっきの需要は薄板の中でも後退している感触。価格は換金目的など「市況とは呼べない安値」(販売業者)もあり、弱気が払しょくできない。今後も需要回復の気配がなく弱含み。

東 京地区の等辺山形鋼はベース3万2000円どころで強含み。

 扱い流通筋が陥没価格是正に向け売り腰を引き締めているため、市況は底値から2000円方切り上がっている。各社の唱えは先週から市内オントラ3万5000円下限となっており、さらに上昇局面。

 市中在庫がベースサイズを中心に品薄となっていることも、値戻しの追い風となっている。大阪製鉄、エヌケーケー条鋼の2大メーカーは下半期も強力な減産を実施することから、当面、需給はややタイトな状況が続く見通し。

 また、メーカー減産を背景に、地方筋からの引き合いも上向く方向となっている。

大 阪地区のH形鋼市況はベース3万1000円どころで強含み。地区の扱い流通筋が陥没価格是正に向け、先週から売り腰を強化。各社は市内オントラ3万3000円を下限に唱えを引き上げており、一時の安値である2万円台は完全に解消。現状、中心値はジリジリと高値寄りに推移している。

 この店売りの値上げを受け、電炉も物件価格を2000円方引き上げ、価格立て直しに出ている。また、メーカー各社は10―12月でもシビアな減産姿勢を堅持する構えであり、市中在庫は当面、低位で安定する見通し。秋需は迫力を欠くが、市況は強含み推移か。