2001.10.10
高 炉大手各社が第3四半期以降の粗鋼生産ペースを大きくシフトダウン、これに普通鋼電炉の減産が加わることで、今年度下期の全国粗鋼生産量は、上期を300万トン下回る規模になる公算が大きい。

 これまでに正式アナウンスされているメーカー別の対上期比減産量は、NKKが「60万トン以上」(矢島敦夫副社長)、川崎製鉄が「第3四半期で最大30万トン、必要なら第4四半期も継続」(佐藤脩副社長)、住友金属が「50万トン以上」(加藤幹雄副社長)、神戸製鋼が「30万トン」(光武紀芳副社長)、日新製鋼が「10万トン」(田中卓夫専務)で、5社合計は210万―220万トン。これに現在生産計画の見直し作業を行っている新日本製鉄の減産が加わると高炉6社だけで下期の減産量は300万トン前後の規模となる。

 新日鉄の昨年度粗鋼生産は上期1429万トン、下期1358万トンで通期2783万トン。これに対し今年度上期実績は1320万トンで前年同期比で109万トン減、下期との比較では34万トン減。上期から減産態勢に入っているが、前年度生産が過去10年間で最高の高い水準であったため、減産の基準をどこにとるかが難しい。基準いかんで同社の減産幅は違ってくるが、上期と下期の比較での減産幅が70万トン以下になることは考えにくい。

 このため、高炉6社の減産に下期での需要減少が予想されている普通鋼電炉の減産が加わることで下期の粗鋼生産は上期実績見込み比300万トン前後減少する計算となる。

銅 製錬メーカーの小名浜製錬(本社=東京都千代田区、川北鎮雄社長)は、シュレッダーダストの取扱量を月間6000トンから1万トン体制確立を目指す。ダスト燃焼時のボイラー部分への煙灰付着をクリアし、処理量拡大を狙う。今月末から反射炉に通じるボイラー改造工事を開始し、2002年2月から本格稼働する。

 今回の工事は、反射炉に通じるボイラーに煙灰が付着し、管が詰まるトラブルを防ぐもの。現在、月間6000―7000トンのダストを処理しているが、設備トラブルによって受け入れを断るケースがあった。

 具体的には、同工場にある4つのボイラーに打撃装置(ハンマーで叩いて振動させ煙灰を除去する装置)を設置し、その振動で不純物の付着を防止する。今月末から工事を開始し、02年2月にすべてのボイラーに設置する。

 同社は93年12月からシュレッダーダスト受け入れを開始。金、銀、銅などが回収できることで、従来の石炭やタイヤなどの代替燃料として注目していた。

東 国製鋼は提携関係にある川崎製鉄から購入している厚板用スラブについて、来年の購入量は30万―40万トンと昨年と同規模になる、との見通しを明らかにした。

 同社は99年に川鉄との間で、(1)原料の安定購入(2)厚板、形鋼の技術提携(3)資本提携の3点を軸に提携関係を構築。この中で原料購入においては安定的な供給ソースの確保を目的に、厚板用スラブ約40万トンを購入契約した。今年は川鉄・水島製鉄所の4号高炉改修などの影響で、購入量は20万トンと半減していた。来年はこれを当初の30万―40万トンレベルにまで戻すもの。同社にとっても、隣国からのスラブ購入は遠国物に比べ、価格、納期の面で最もメリットが大きい。

輸 入業者が受注を手控えるなど、米国の鋼材緊急輸入制限の影響が出始めている。制限措置が発効するのは3月初の見込みだが、措置内容が見えない段階で、リスクを避けるために商社などは現時点から受注を調整せざるを得ない。冷延鋼板のアンチダンピング(AD)提訴も追い打ちをかけた。今月の被害認定など当局の調査状況を見ながら輸入再開の時期を探るが、対象品種の輸入は4―5カ月間止まる可能性がある。

 米政府の要請に応じて、米国際貿易委員会(ITC)は通商法201条に基づく鋼材の緊急輸入制限に向けて調査を進めている。対象はほぼ全品種で、除外されているのは既に制限措置を課している線材、ラインパイプのほか一部。ITCは5日に関係者の公聴会を終え、22日に被害認定する。この段階で国内業界に被害なしと認定された場合、調査が完了し、輸入を再開できる。クロの場合は受注再開は2月にずれ込むのが濃厚だ。

住 友金属建材(津田和明社長)は中期経営計画「C★PLAN」において、今年度は売上高780億円、経常利益7億円、当期利益2億円の確保を目指しているが、昨年からスタートした3事業部で黒字化のメドが立つなど、積極施策を遂行することで達成に向けて着実に進捗している。

 「C★PLAN(00―03年度)」では、事業構造改革をはじめとして、選択と集中や顧客志向を徹底し、21世紀型の経営戦略を実行していく。これによって、03年度末には売上高820億円(ワコースチール事業継承分を含めて850億円)、経常利益30億円、ROA(総資産利益率)6%へ引き上げる計画だ。

 今年度は、建築が住宅・非住宅ともに前年度比マイナスとなり、また土木も公共予算の縮減傾向が著しい。この厳しい需要環境下において、同社では今年度、数値目標を達成するべく、積極的な施策を遂行している。

 メーンの土木部門は、新製品の開発・拡販に注力。今年度の新規アイテムとして「CF型スリットダム(透過型鋼製ダム)」や「複合構造鋼製防護柵」「楕円ビーム型ガードパイプ」を市場投入。厳しい需要環境ながら、下期でより一層の拡販に取り組む。

 その一方で、今年4月1日付でワコースチールから譲り受けた、グレーチングおよびリップの製造・販売事業は移管後の立ち上がりが順調。これは昨年9月末で撤退したデッキプレート事業のマイナスを補い、さらに収益増に寄与する見通し。
富 士総合研究所はこのほど、2001年度の住宅着工を前年度比6・2%減の113万8000戸とする見通しを発表した。生涯所得不安による住宅所得意欲の減退に加え、01年以降、景気悪化を受けた家計の先行き不安の増大や、減税規模の縮小による政策効果の減少、さらに過剰在庫の蓄積をうけた分譲マンションの着工減少などの抑制要因が働くことを挙げている。

02年は、住宅ローン減税拡充措置の期限切れをにらんだマンションの駆け込み着工など、政策要因が一時的に下支え、前年比3・2%増の117万4000戸と予測した。

 今後、低水準の着工が予想される背景には、以下の中期的要因があるとする。家計の生涯所得不安により、長期の住宅ローンを組みにくい状況が生じていることや、バブル期に住宅を購入した世帯が、その後の地価下落で発生した約25兆円の含み損により、二次取得を行いにくい点、さらに主力取得層である20―40代の世帯数が00―05年にかけて0・9%減少すること。

 02年は、(1)特殊法人改革で住宅金融公庫の融資縮小・停止案の具体化が予想されるなかで、住宅購入が急がれる可能性がある(2)年度後半以降は、住宅ローン減税拡充措置の適用期限を前に、平均工期1年以上のマンションの駆け込み着工が発生する―など政策要因が下支えとして働くため前年比プラスとした。
日 本鉄鋼輸出組合によると、中国の馬鞍山鋼鉄は、第1製鋼工場のスラブ連鋳ラインを8月末に完成した。年産70万トンのラインで、これで念願の薄板部門進出の前提が実現した。

 馬鞍山鋼鉄は2580立方メートル、1200立方メートルの高炉を有する一貫製鉄所。条鋼と厚板がこれまでの主力生産品目。家電・自動車などの製造業向けの薄板需要が増加しているところから、薄板部門への進出が計画されていた。薄板部門進出という中期路線に沿って、上工程では平炉から転炉へ転換。さらには中板用スラブ圧延機の熱延ミルへの改造などが進められている。

 熱延ミルは年産200万トンで、下工程に冷延用レバースミル(年産130万トン)、亜鉛めっきライン(年産30万トン)の導入が計画されている。最終的には2003年の完成予定。

韓 国資産管理公社は、レイマン・ブラザース社を金融アドバイザーに、韓宝鉄鋼工業唐津製鉄所の売却入札を10月中に予備競売の形で実施する見通し。非拘束ビッド提出後行われる計画で、3社がオファーしたもよう。管理公社はA地区、B地区2分割方式での売却を予定しており、これまでの一括売却よりも実現性が高いと見られている。

 韓宝鉄鋼・唐津製鉄所は、年産600万トンの電炉一貫製鉄所として計画された。しかし,資金難から小棒200万トン、ホットコイル200万トンの設備が完了した段階で中断。韓宝鉄鋼も過大投資から経営が破綻した。このため管理銀行団が中心になって競売が実施された。

 最初の競売では、東国製鋼が買収権を獲得したが、売却金額が低すぎるとして再入札が計画された。

 バンカーズ・トラストが管理会社になって実施され、ネイバース・コンソーシアムが権利を確保。しかし、ネイバースも所有権移転をめぐり、裁判所が決定した事項が履行されていないとして直前で入金をストップ。現在、韓国資産管理公社が資産管理を行っている。

 その後、2分割売却方式で競売することが検討されていたが、今回、管理公社による非拘束予備競売という形で、近く実施される見通しになった。 

東 京地区のH形鋼市況は200×100で3万4000―3万4500円中心の横ばいで、強含みに向かいつつある。高炉メーカーには、店売り分の値上げを検討する動きもあり、今週から来週にかけて発表される。

 店売り向け需要は減少が見込まれるものの、減産と入庫減から、歯抜けはベースサイズにも散見されるようになった。流通の加工納期の受注残は、1週間から10日前後と、増加傾向にある。在庫商社は1日から一斉に3万5000円下限を唱え始めた。この機会に高炉は値上げ意欲を見せるものの、在庫流通は現在でも逆ザヤのため、抵抗を示している。

東 京地区の厚板市況は市中価格(12ミリ、ベースサイズ)3万9000―4万円中心で横ばい。

 中小溶断業者は、短納期の受注をつなぎながら仕事を確保。プロジェクト以外の建築が低迷するほか、橋梁、建機など内需はいずれも不振という厳しい状況。定尺品は荷動きが落ちて、実需見合いの小口注文以外は価格を含めて動きがない。

 供給は、国内高炉各社が造船やUO鋼管向けでタイト化の気配。輸入材も価格低迷から韓国や台湾が対日輸出を手控えている。本来ならば在庫減少につながってもおかしくないが、手当てには余裕がある。需要家や同業者間に対して信用面を警戒する雰囲気がさらに強まっている。

大 阪地区の厚板市況は国内外メーカーが値上げを表明、これを受けて、扱い特約店は唱えを上げつつある。市況は3万7000円どころで強含み。

 国内の高炉メーカーはロールタイトな状態が続いており、店売りはほとんど余裕がない状態。海外ミルも自国の需要対応に追われているのが実情で、結果、輸入材の入着は低水準。特約店、熔断業者の在庫も減少傾向にあり、品薄ぎみとなっている。

 一方、需要は主力の建築が落ち込んでいるうえ、機械も不振。この結果、熔断業者も受注残が2―3日程度と少ない。しかし、流通はメーカーの値上げを転嫁していく方針で、当面、市況は強含みで推移する見通し。