2001.11.12
関 東地区の条鋼品種扱い流通筋は、12日からH形鋼、一般形鋼(山形鋼、溝形鋼)、コラムの販売価格を1000円引き上げる。なかでもH形鋼は帳端明けの21日からはさらに1000円引き上げる。形鋼類はメーカー各社の減産徹底により供給が抑制され、需給タイト感が強まった。H形鋼はメーカーの値上げによる収益圧迫を、市況上げに転嫁する。コラムは経費高による収益悪化を回避する狙い。

 H形鋼は12日から3万6000円を下限に売り腰を強める。帳端明けの21日からは3万7000円を下限とする。年内には3万8000円を目指す。現状は3万5000円が中心で、徐々に3万6000円に移行しつつある。売り腰をさらに強めることで、収益を改善する。

 一般形鋼は山形鋼3万5000円、溝形鋼3万9000円が中心だが、12日から唱えを1000円引き上げ、山形鋼3万6000円、溝形鋼4万円とする。メーカー側の減産により需給がタイト化し、市況引き上げの環境が整ったと判断した。

 コラム(大径角形鋼管)は現状5万4000円中心だが、5万5000円を下限とした。小口、即納の注文が多く経費がかかり、収益の圧迫要因となっているため、売り腰を強めることで適正収益を確保する。「H形鋼より2万円アップの市況を目指す」(流通筋)という構えだ。

 メーカーの値上げを受けて、市中の鋼材値上げが本格化してきた。関東地区の流通筋は、条鋼類、薄板類の値戻しに乗り出した。H形鋼、熱延鋼板などは高炉筋が3000円の値上げを打ち出しており、市中ではこれを転嫁し、収益改善を目指す動きだ。条鋼類はメーカーの減産により需給環境が好転、値戻しできる状況と判断。薄板類は在庫過剰の状態が続いているが、メーカーの採算回復を狙っての値上げを受けて売値を引き上げる。依然として需要が回復していないうえ、今後は鋼材の不需要期になることから、条鋼類、薄板類とも3000円を一度に転嫁することは困難な状況で、1000円ずつの小刻みな値戻しとなった。

経 済産業省は13日、東京・港区のホテルオークラで、岡本巖・製造産業局長など同省幹部と鋳物、金属プレスなど素形材産業界との懇談会として「素形材サミット」を開く。毎年11月を素形材月間とし、素形材センターを中心に各種行事を開催、この中のメーン事業のひとつとして同サミットが行われる。米国同時多発テロ事件などで景気が一段と厳しさを増す中で、素形材産業の生産、価格の低下、海外シフトや空洞化など業況報告を通じ状況を把握、政策対応なども含め、国際競争力強化への施策につなげる。

 素形材サミットには、経済省から岡本局長のほか、富田健介・素形材産業室長など素形材産業担当の幹部クラスが出席。一方、業界側からは日本鋳物工業会、日本金属プレス工業協会、日本可鍛鋳鉄工業会など素形材産業関連20団体の会長クラスが参加、フリーディスカッションの形で意見を交換する。

 意見交換では、各団体サイドから概況を報告、これを踏まえて今後の展望、政策テーマといった支援策などを討議し、認識を深める。

公 正取引委員会がこのほど下したNKK、川崎製鉄の事業統合に関する事前相談の結論では、無方向性電磁鋼板、容器用鋼板、配管用鋼管、高抗張力鋼の4品目の取引を重点的に検討した。いずれの品目でも他の有力競争業者が複数存在することやユーザー側の価格交渉力が強いことなどを根拠に、統合によって競争を実質的に制限することはないと判断。この結果、独占禁止法上の規定には抵触しないと結論付け、両社の統合を承認した。

 今回の事前相談では、両社のグループ企業(出資比率50%以上)も含め、4品目以外に約20品目を、エンジニアリング部門も対象に検討を行った。

 販売数量シェア35%、第2位の製品となる無方向性電磁鋼板は、シェア50%以上の首位事業者や有力競争業者が存在するほか、ユーザーの大手電機メーカーが海外調達を拡大、アジア製品の輸入が検討されているほか、品質格差もなく、価格交渉力はユーザー側が強いことなどを勘案し、競争制限はないとした。

 シェア35%、第1位となる容器用鋼板は、ほかに35%、25%の有力競争業者があり、用途のスチール缶がアルミ缶、ペットボトルに代替され、販売が減少、ユーザーの価格交渉力が強いことを要因とした。

 シェア45%、第1位となる配管用鋼管は、シェア25%強の競争業者が複数あり、需要も樹脂管に代替され減少、競争入札もあってユーザーの価格交渉力が強いと判断された。

 シェア35%、第2位の高抗張力鋼は、45%強の首位事業者があるほか、品質差もなく、ユーザーの購入先選別もあってユーザー側の価格交渉力が強いとした。

浦 安鉄鋼団地組合の「U―ing」と、大阪の「OSA―AKINDS」および神戸の「(仮称)兵庫県鉄鋼流通組合神戸地区2世会」の3地区の2世会は9日、大阪の鉄鋼会館で初めて交流会を開催した。

 交流会は、昨年に設立10周年を迎えたU―ingが記念旅行を兼ねて発案した企画で、同会の呼びかけに大阪、神戸の両会が応えて実現した。参加者はU―ingが29人、OSA―AKINDSが11人、神戸2世会が7人の計47人。

 開催に当たって、角田善彦・U―ing代表幹事は「大阪、神戸には我々の呼び掛けに一つ返事でOKしていただき感謝するとともに、貴重な第1歩が踏み出せた。経済環境は厳しいが、ざっくばらんな会合をしたい」とあいさつ。続いて、AKINDSの井上浩行代表は「我々の会は発足から日が浅いので、弟分と思っていただければ光栄。鉄鋼メーカーが再編する怒涛の波の中で、中小企業の鉄鋼流通がいかに生き残っていけるか、会を通して探って生きたい」と応じた。来賓として出席した大内俊一・兵庫県鉄鋼流通組合理事長も「神戸と大阪は鉄の面白さを2世に分かってもらえれば」

 あいさつの後には、品種ごとに5グループに分かれて意見交換を実施。主に運賃問題や雇用問題、後継者問題などが各グループで討議され、薄板では製造業の海外シフト問題、厚板では東西価格差の問題などタイムリーな課題も話し合われた。
経 済産業省は今月20日、同省内で「産業競争力戦略会議」を開催する。鉄鋼、自動車、電気機械など日本製造業の海外生産シフトや空洞化を踏まえ、国際競争力回復を念頭に、産業をめぐる諸課題、政策的対応などを総合的に検討していく。

 同研究会は平沼赳夫・経済産業大臣の私的懇談会として発足、今回は、テーマを設定、研究開発基盤の強化、人材、雇用問題、企業関連法制、国際協調の方途などを論点に議論。産業界の現状認識や対応、必要な政策対応などを討議する。

 産業界側からの出席メンバーは、鉄鋼業界から新日本製鉄の千速晃社長のほか、トヨタ自動車の奥田碩会長、TDKの澤部肇社長、三菱重工業の西岡喬社長、NECの西垣浩司社長、伊藤忠商事の丹羽宇一郎社長、松下電器産業の森下洋一会長、東大大学院経済学研究科の吉川洋教授など11人。

 今後、月に1―2回程度を開き、来春まで開催する予定だ。

関 西地区の大手厚板加工業者の高砂金属工業(本社=大阪府高石市高砂、宮崎吉二社長)はレーザー加工をさらに強化・推進し、切板のコスト低減と加工品質の向上を図る。来年にも関係会社の木津川建材加工(本社=大阪市大正区)のレーザー設備2基のうち1基を最新鋭機(出力=4kw)にリプレースする。また、高砂金属工業・本社工場の北棟は先月、レーザー専用工場にリニューアルしたが、今後は稼働率を引き上げ、同工場だけで月間250―300トンのレーザー加工を目指す。特に、夜間の無人化操業は平日営業日に限定されているが、今後は土日を含めた無人化操業にもトライしていく。

 同社は今年6月から、本社工場(建屋面積=3300平方メートル)の北棟(建屋=780平方メートル)をレーザー専用の工場にリニューアルさせる作業を開始した。

 具体的には北棟にあったギロチンシャー、簡易型NC切断機を撤去し、夏から田中製作所製のレーザー切断機1基「MXV TF4000」(出力=4kw)を新設するとともに、架台(36メートルライン)を設置した。作業は先月に完了、稼働を開始した。

 稼働開始後は鉄骨、橋梁を中心に、一部は産業機械、建設機械向けのレーザー加工を手がけている。ただ、夜間操業は月曜日から金曜日の営業日に行っているが、今後は土日の休日の連続無人化操業を目指す。

 一方、関係会社の木津川建材加工には3kwのレーザー切断機2基を用いて、建材向けに加工している。ただ、既存設備では板厚16ミリが安定的に切断しづらいことや、加工スピードも含めて考慮すると、出力4kwの最新鋭機にリプレースすることがベターと判断したもの。
鋼 材の小口配送を手がける物流会社の大榮(本社=大阪市此花区常吉、吉田寛司社長)は昨今の小口配送ニーズの高まりを受け、すでに提携関係にある関東地区のメタル便(本社=千葉県浦安市、梶大吉社長)との配送体制を拡充するほか、独自のミックスチャーター便のエリアを西日本全域に広げるなど、小口配送体制を強化する。また、西日本向けの配送において三井物産、三菱商事などが出資する電子商取引サイト・スマートオンライン(本社=東京都港区、西村博夫社長)との提携も前向きに検討し、サービスの向上に努める考え。

 同社は関東地区で鋼材の小口配送を手がけるメタル便と提携し、10月から関東発関西着の小口配送サービスを展開。今月からは大阪近郊150キロメートル圏内を対象とした関西発着「メタル便関西」を開始した。配送エリアは東が滋賀県八日市市、西が兵庫県赤穂市、南が和歌山市、北が京都府福知山市・綾部市。配送料金は最低重量300キログラムから最高3500キログラムまでの製品別と、配送先別に約100段階を設定。月曜日から金曜日まで毎日運行している。

 また、鋼材のほか一般雑貨や工作機械などを4トントラックに混載して配送するミックスチャーター便は、現在、大阪近郊や東京向けの配送を毎日運行。中、長距離便については3日の納品猶予期間を設け、随時運行している。来春にはこの配送体制を拡大して山陽、九州ルートを開始し、中・長距離便での毎日運行も実現していきたい考え。

関 西地区の厚板の定尺市況は先週、500―1000円方反発した。これにより、韓国の東国製鋼製品で3万7000―3万8000円、中山製鋼所製品で4万2000円が実勢化した。今後、地区の特約店ではメーカーの値上げした製品が本格的に入ってきているだけに、順次唱えを上げる方向。

 地区の厚板は供給サイドが夏場以降、急速に引き締まった。これは高炉メーカーが造船、大径管向けでロールが埋まり、店売りを出せず、オーバーロール品も激減していること、また、中山製鋼所も通常ペースの生産にとどめているうえ、輸入材も月間4万―5万トンと低水準になっているため。特に、切板材の新規入着が絞られ続けている。

 この結果、在庫も特約店、熔断業者段階、および岸壁段階(輸入材)も減少、在庫率も適正に近い水準となっている。特に、厚み16、19、22ミリが品薄で、中でも、これらの厚みの5幅が品薄感が強い。

 需要自体は建築、産業機械、建設機械ともに落ち込んでおり、定尺の荷動きはさえない状態が続いている。

 しかし、特約店にとってはメーカーが夏場以降に打ち出した3000円値上げの製品が先月下旬から入ってきたことで、安値販売を回避した。今月に入り唱えを上げ、これが浸透、市況は反発した。

東 京地区の中板市況は横ばいながらも堅調。市中価格(3・2―4・5ミリ、ベースサイズ)は3万4000―3万5000円。

 関東地区の大手流通は値上げ転嫁を継続するものの、需要環境から値上げの受け入れに抵抗する動きもある。高炉各社、7月出荷以降に実施した3000円の値上げに強い姿勢が見られ、市況も底値は堅い。

 コイルセンターを含めて販売業者は量の確保に苦戦しているが、高炉メーカー同様に収益を確保できない価格水準、そして建材関係を中心に与信不安も残る中で、あえて量を売ろうとの意向は少なくなっている。在庫調整も進んだが、市況上昇の契機がない状態。

東 京地区の異形棒鋼は新規物件の出が鈍く、ベース2万5500円どころを弱横ばい推移。メーカー出荷は依然堅調で、ベースは首都圏の再開発工事が一巡したことでピークを過ぎたが、細物は「バブル期並み」(メーカー社長)と荷繰りに苦労しているほど。

 しかし、新規発注はゼネコンの指し値が厳しく、商社も販価維持が精いっぱいといったところ。一方、メーカーはベース、細物各社とも11月から1000円の値上げに取り組み、強気の構え。減産と細物輸出は11月も続き、メーカー姿勢が市況を下支えている。

 需要に好材料は見当たらないが、「製・販の姿勢は変わらず、年内は現行値推移」(商社)との見方が大勢。

大 阪地区の異形棒鋼は強含み。市中相場はベース2万2000―2万2500円どころ。メーカー各社の減産強化により、ベースを中心にタイト感が強まっている。

 ベースの納期は1・5カ月程度になっており、流通では価格よりデリバリーとの認識で、安売りは回避の姿勢。減産によるタイト化を背景にメーカーは強気の姿勢で、流通サイドもメーカーの値上げ玉を受け入れざるを得ない展開。

 このため大手商社などでは新規商売に当たりベース2万3000円以上を唱えていく動きにある。新規引き合いには乏しいが、メーカーの販売姿勢を映して、相場は強含み展開。