2001.11.13
中 国のWTO加盟が承認された。世界同時不況感が日々強まる中で7%台の経済成長率を保つ巨大市場に寄せる世界の鉄鋼業界関係者のまなざしは熱い。とくに距離的に優位なポジションにある日本の鉄鋼業界関係者らは、中国WTO加盟の最大のメリットを「輸入関税率の引き下げではなく、ILなど非関税障壁の緩和である」と述べ、複雑な対中ビジネスシステムの改善に期待を寄せている。中国の今年の鋼材見掛け消費は前年比20%増の年間1億6500万トンに達する勢いで、このペースを持続すると来年には2億トン規模に達する。一方で今年の粗鋼生産は年間1億2000万トン、鋼材生産が1億5000万トンペース。設備投資計画が順調に進んだとしても、当分の間、この巨大な胃袋は大量の輸入鋼材を消費し続ける見通しだ。

 中国のWTO加盟を控えて家電、自動車をはじめとする日本の製造業の中国シフトが加速、これに合わせて部品産業の進出が相次いでいる。中国の鉄鋼業は政府の第10次・5カ年計画に沿って規模・技術の革新を進めているが、内需拡大のペースがすさまじく追いつかない。

 日本鉄鋼連盟まとめによると1―9月の中国の鉄鋼見掛け消費は約1億2400万トンで前年同期比20%増の年率1億6500万トン。同期の国内の鋼材生産は1億1500万トン、19%増加しているが、この間の鋼材輸入も1285万トンで10%増のペースにある。このうち日本の中国向け普通鋼鋼材輸出は214万トン、前年同期比5%増、特殊鋼鋼材が60万トン、25%減。

日 本と台湾の鉄鋼貿易や鉄鋼産業動向などを話し合う「日台鉄鋼対話」が今週14日、台湾・台北市で開催される。台湾の世界貿易機関(WTO)への加盟承認も踏まえ、世界同時不況下で下降する鉄鋼需要にともなう需給の不均衡など、世界の鉄鋼貿易情勢や米国通商法201条措置問題などを中心議題に意見を交わす。

 日本サイドでは、アジア規模での鉄鋼産業の発展も見据え、中核的位置付け示すほか、台湾側が世界の鉄鋼過剰生産能力問題を議論する経済協力開発機構(OECD)鉄鋼委員会への参加の意向を表明した場合、これを歓迎、支持する方針で対話に臨む。

 同対話は、今年7月に開かれて以来、2回目となる。日本からは、経済産業省の半田力・鉄鋼課長のほか、新日本製鉄の三村明夫・副社長、堀田博司・取締役、住友金属工業の本部文雄・常務執行役員、川崎製鉄の中村正俊・第一鋼材輸出部長などが出席。台湾側は経済部工業局の顔平和・金属機械産業課長や同部貿易局、中国鋼鉄の鄒若齋・副総経理(副社長)などが参加する予定だ。

 主要テーマは、世界鉄鋼貿易、アジアの鉄鋼貿易、国内、地域内の鉄鋼産業の動向、米通商201条措置問題など。

 台湾のWTO加盟も考慮し、認識を共有。そのうえで日本からは鉄鋼産業の動向について、景気後退から鉄鋼減産に踏み切った状況なども報告することにしており、市場環境の改善に努力していることへの理解を求める。

川 崎製鉄は12日、千葉製鉄所熱間圧延工場の累計生産量が1958年4月の操業開始以来、43年間で1億5000万トンを達成した、と発表した。

 現在、同製鉄所の熱間圧延は第3工場で操業されており、同工場の年間の生産能力は540万トン。製造品種は熱延・冷延鋼板、缶用鋼板、ステンレス鋼板、高炭・特殊鋼などの母材。製品寸法は板厚0・8―25ミリ、板幅600―1900ミリ、コイル最大重量32トン。

 第3工場の稼働以前、第1工場(58年4月稼働〜94年5月停止)の累計生産量が4137万4000トン、第2工場(63年9月稼働〜96年3月停止)が8733万4000トンで、第3工場のこれまでの2129万2000トンを累計して、11月5日で1億5000万トンを達成した。

 千葉製鉄所は、戦後初の近代的銑鋼一貫工場として51年から製鉄所建設に着手、51年に第1熱間圧延工場、63年に第2熱間圧延工場の操業を開始し、69年には年間最大475万トンの熱延生産量を記録した。

 その後、95年5月に最新の第3熱間圧延工場が完成し、第1、2工場から生産を引き継ぎ、96年3月以降、第3工場一基体制で操業中。

 なお、第3工場では世界初のエンドレス圧延を実現し、従来では熱延での製造が困難であった板厚0・8ミリから1・2ミリ未満の「極薄物」鋼板の生産を可能にした。

大 阪製鉄(桑原達朗社長)はグレー塗装のカラーアングル、チャンネルの製造販売を開始する。ユーザーの要望に応え、従来の防錆赤褐色塗装の製品に加え、新たに防錆機能のあるグレー塗装製品を市場に投入するもの。まだ販売時期は具体的に決まっていないが、来年の早い時期を予定している。

 同社は堺圧延工場内のカラー塗装設備で、防錆の赤褐色塗装のカラーアングル、チャンネルを現状月間2500トン程度生産しているが、建築関係の需要家から鉄骨に使用する場合として「もう少し落ち着いた色に」との要望もあり、防錆機能のあるグレー塗装の製品をラインアップに加えることにした。

 堺のカラー塗装設備は一昨年末に新設した新鋭設備だが、これに色を変えられる装置を取り付けて体制を整え、来年の早い時期に製造販売を開始する方針。
共 英製鋼(高島秀一郎社長)は、名古屋事業所(愛知県海部郡飛島村、疋田修三常務取締役所長)で製造している高強度ネジフシ鉄筋「タフネジバー」の生産量が10月に今年度では初めて目標の5000トンを超えたことを明らかにした。名古屋事業所では収益改善策の一環として高張力鉄筋やネジフシ鉄筋などの拡販を進めており、これが奏功したものといえる。同事業所では今後も引き続き市場浸透を図る構えだ。

 高強度ネジフシ鉄筋「タフネジバー」はRC(鉄筋コンクリート)構造建築の高層化、鉄筋工事の省力化への対応を目的に、1993年から本格的に製造を開始している機械式継手工法。鉄筋と鉄筋の間をカプラーでつなぎ、エポキシ・グラウト材を充填させて固定化するというもので、(1)継手作業が簡易(2)仮止めのロックナットが不要(3)作業のスピード化と工期短縮が図れる―などを特徴としている。
米 国ITCの損害決定でクロ評定が出された細物小棒輸出だが、関東地区では1月積みまで続く見通しだ。米国による通商法201条の発動が来年2月と見込まれ、輸出可能期間は1月内の入着までとみられている。関東では関東スチールが12月積みで1万トン、三興製鋼と城南製鋼所では1月積みの輸出を検討している。1―3月の不需要期に輸出が制限されることで国内需給が不安視されるが、メーカーサイドは「相応の減産を進める」(関東スチール)と需給調整を強める意向だ。

 細物メーカー各社は、関東スチールが今年2月に輸出を開始したのを皮切りに他社も相次いで参入。国内市況の改善に向け、輸出を積極化し国内出荷を絞った。このため米国向け輸出は今年3月から急速に増え、2月の4170トン(全国ベース)から3月に2万6640トン、4月以降は5万トン前後で推移している。

 1―9月累計は28万2560トンで、前年同期比808・5%増。輸出先はこのほか、韓国4万5770トン(1―9月)、プエルトリコ2万110トン、インドネシア5200トン、インド4180トン、中国2040トンなど。

 ただ、米国の法的措置によって、1月には輸出の出荷が止まる公算が大きい。このため、軟化する国内市況を維持するには「今から早目の減産が必要」(商社)とされる。細物メーカー各社は、「輸出減少分は減産で対応する」構え。
川 鉄・住重特定建設工事共同企業体が建設していた長野県の板橋川橋梁下部工工事が11月末に竣工する。同橋は県単農道(ふるさと)御所平地区に架かる5径間連続ワーレントラス橋で、P3橋脚は中空式橋脚としては日本有数の高さを誇る。96年に建設着工し、まもなく完成の予定。

 板橋川橋梁は、長野県南佐久郡川上村の急峻な地形に建設される5径間連続ワーレントラス鋼橋。橋長412メートル、橋脚高32―78メートルの高橋脚4基を有し、そのうちP3橋脚は中空式橋脚としては日本で有数の78メートルの高さを誇る。

 耐候性鋼板の採用や鋼とコンクリートのハイブリット構造で長期耐久性を実現。PC床版や合成床版を用いて小型部材や総材片数、主構造溶接延長の減少を図った新形状合理化トラスを採用するなどが特徴だ。

 また、橋脚の高さがあるために荷重軽減や資材価格軽減を狙って内部に空洞を設けた中空式橋脚とするなど、近年の公共事業費削減の流れを受け、さまざまな工夫が凝らされている。

 架設に関しては、狭隘の高所作業のため、トラッククレーンベルト工法が難しいため、両岸から左右に張り出すトラベラークレーン架設工法を採用している。

全 日本特殊鋼流通協会(会長=田島清・テクノタジマ会長)は10日、名古屋市中区の名古屋国際ホテルで青年部会の設立総会を開催した。青年部会は特殊鋼業界の次代を担う若手経営者の全国的な情報交換・親ぼくの場を提供しようと昨年から準備を進めていたもので、初代の部会長には木村雅昭氏(深江特殊鋼常務)が選出された。

 青年部会の参加資格は46歳以下の会員企業の役員または従業員で、現在の会員数は関東以北が21人、中部地区が12人、関西以西が18人の計51人。このうち運営委員は21人で、部会長に木村氏、副部会長に碓井達郎氏(碓井鋼材社長)、堀田靖氏(堀田ハガネ社長)、浅野薫仁氏(浅野鋼材取締役)が就任。また顧問には全特協の田島会長、福森康一専務理事、熊谷多津旺・人材育成委員長(クマガイ特殊鋼社長)が就いた。

東 京地区の厚板は横ばい。市中価格(12ミリ、ベースサイズ)3万9000―4万円。

 高炉メーカーの値上げは10―11月出荷が対象だが、造船やラインパイプ向けの厚板需給タイト化を背景に各社は強気の姿勢を崩していない。ただ、市中に値上げが波及する気配は見られず、流通も高炉や同業者の様子を見ている。

 流通にとっては高炉各社の出荷価格が確実に上昇するか、見極めを続けている状態。流通や溶断業者の段階でも局地的に販売数量を確保する動きは残り、需要回復が望めない中で、一部安値で折り合う例もあるようだ。定尺市況に変化はなく、高炉の対応が当面の焦点となりそう。

東 京地区の一般構造用鋼管(STK400、48・6×2・3ミリ)はトン5万2000円を中心に、弱含み横ばい。

 扱い量に大きな変化はみられない。需要期の11月も半ばとなるが、建築需要の低迷を背景に、市場の荷動きは活気薄の状態が続いている。問屋によっては「7―9月期より(荷動きが)悪い感じ」(営業担当)との声が出るなど、前4半期から好転する気配は感じられない。市場価格は一時の下げスピードは弱まったが、ジリ安ムードは否めないところ。基調反転の材料も少なく、年内は現状維持を狙った商いになりそうだ。

 目先、弱含み横ばいの見込み。

大 阪地区のH形鋼はベース3万2000―3万3000円どころで一段高の気配。

 市中の荷動きは総じて低調だが、需要期ということもあって流通の出荷量は増加傾向。10月末のときわ会推移は入庫が前月比5・1%増と増えたものの、出庫が同比10・2%増と久しぶりに2ケタ増となった。この結果、在庫は4・1%減の4万9463トンと約7年ぶりに5万トン台を割り、「広幅、中幅サイズを中心に歯抜けが増えている」(特約店筋)状況。

 こうした需給環境の改善を受け、特約店筋はさらに売り腰を強化しており、市況は一段高の気配。