2002.03.19
経 済協力開発機構(OECD)の鉄鋼ハイレベル会合に基づく、鉄鋼生産能力削減に関するワーキンググループ(WG)と、市場をわい曲する補助金規制など規律強化のスタディグループ(SG)が、このほどパリで開催された。米国のセーフガード措置発表後の会合となり、冒頭「同措置が米国での構造調整を遅らせかねない―」とする懸念が表明され、世界的レベルで進行しようとする鉄鋼産業の構造改革にとって、マイナス要素をにじませた会合となった。能力削減については削減の履行状況をモニタリングするため年2回の頻度で事務局がデータ収集、参加国によって検証する試案が提示され、規律強化ではセーフガード、アンチ・ダンピング(AD)措置を政治宣言に盛り込むかで意見調整がつかず、来月の鉄鋼ハイレベル会合に持ち越されることになった。

 WG、SGの今後の運営については、来月18日、19日にパリでの開催が予定されている第4回OECD鉄鋼ハイレベル会合での結果を受けて、決定することで一致した。

 WG、SGは、13日にWGが、14日、15日の2日間にSGが行われた。日本から経済産業省・鉄鋼課の喜多見淳一・製鉄企画室長や、米商務省のシャザード次官補、米通商代表部(USTR)のリザー・代表補、欧州委員会(EC)のサレルノ鉄鋼担当課長などが出席、議論が進められた。
日 本鉄鋼連盟の千速晃会長(新日本製鉄社長)は18日の定例会見で、米国のセーフガード(緊急輸入制限)発動問題で二国間協議が物別れに終わったことについて「われわれとしては納得できないことであり、連盟の立場で経済産業相に対してWTO(世界貿易機関)への提訴をお願いしている。提訴し二国間協議をして、成り立たない場合はパネルを設置、WTOできちんと判定してもらうしかない」とWTO提訴もやむを得ないとの考えを示した。米セーフガードによるマーケットの影響については「北米地域で鋼材価格が急激に上昇しており、現地ユーザーでセーフガードに対する反発が強まっている。日本の鉄鋼業界への影響というのは足元では出ていない。これからどうなるかは予想し難いが、第三国あたりから突発的にマーケットを乱すような動きがあった場合の対応などは連盟内で協議している。必要とあれば政府に対応措置をお願いする」と述べた。

 また需給改善が進む日本市場については「メーカーの減産により国内在庫は減少してきており、価格は底についたとの認識だ。いい方向に向かう気配で、一部需要分野では陥没価格の改善に向けてコミットし始めている。需要家さんの方への実質価格改定は、夏場あたりになると考えるのが順当だろう」と今後の見通しを語った。
新 日本製鉄は、02年度から無排土杭「NSエコパイル」で600ミリメートル以下の中小径マーケットに参入する。これまで600―1200ミリメートルの大径領域をターゲットにしていたが、集合住宅向けに600―260ミリメートル、戸建住宅向けに250ミリメートル以下を市場投入。PC杭やNKKの「つばさ杭(杭径508ミリメートル)」が強かった中小径マーケット参入を図り、04年度をめどに売上高100億円を目指す。

 「NSエコパイル」は、鋼管の先端に螺旋状の羽根を溶接した鋼管杭。回転圧入で貫入するため、無排土施工が可能となる。施工時には、オーガマシン等で鋼管を回転させ、先端の羽根によって地盤を掘削するため低騒音、低振動で施工。杭周辺地盤を締め固める効果も得られる。

 最終根入れでは、トルクにより支持層を確認でき、高品質で信頼性の高い杭基礎の構築が可能となる。また、貫入時と逆回転させることで容易に杭体を引き抜くことができるため、リサイクルや仮設杭としての活用も狙えるなどの特徴がある。

東 京製綱は、18日開催の取締役会で、4月1日付の役員人事と執行役員制導入および6月下旬予定の株主総会での人事異動を内定し、田中重人副社長が代表取締役社長兼執行役員に4月1日付で就任、上西凖社長は代表取締役会長に就任する。

 6月総会で新たに取締役になるのは、西本英二・泉佐野工場長、萩原良仁・環境建材部長、村田秀樹・鋼索鋼線生産管理部長(3氏とも4月に執行役員就任)。梅谷覚雄常務管理本部長と根本英一取締役が監査役となる。
住 友金属工業のエンジニアリング事業部は、02年度からカンパニー制を導入、4月1日付でビジネスユニットごとに徹底した収益管理を行う「モニタリング制度」をベースに受注売上高1000億円規模の事業体を目指す。02年度は新体制のもとで12のビジネスユニットで黒字定着を図り、03年度にROA2・5%、04年度はROA5%を狙う。なお、当面は、製鉄事業で提携関係にある新日本製鉄や神戸製鋼所との連携は計画しないという。

 同社のエンジニアリング事業部では、カンパニー制導入を機に、より効率的な新たな収益管理体制構築に取り組む。ミッションとして「社会インフラへの貢献」と「住友金属グループへの収益貢献」を掲げ、独立した事業体として運営できる体制作りを本格化する。

 具体的には、4月1日付で建設エンジニアリング事業部7ユニット、エネルギーエンジニアリング事業部3ユニット、環境・プラントエンジニアリング事業部2ユニットの合計12のビジネスユニットに事業を統合集約。厳しく採算管理をする「モニタリング制度」の導入で収益基盤の強化を図る。

鉄 鋼労連は16日、第4回中央闘争委員会を開催、同日までの02年春闘回答状況を集計した。それによると、普通鋼、特殊鋼、アロイ、二次加工・鉄鋼一般の業種別29組合の回答日は13日から15日に集中し、今春闘で焦点となっている「雇用安定協定の締結」については、20組合が確認書(予定含む)、3組合が「覚書」のほか、「共同宣言」「協定書」「声明文」が各1組合ずつであった。3組合が同協定の締結を要求しなかった。

 また、一時金では業績連動型の導入を要求し、その回答を得たのは3組合、別途協議が2組合のほか、70万円から133万円までの有額と3・9カ月の給比回答があった。

 定昇については29組合とも3500―3800円の回答。

和 泉鋼業(本社=川崎市幸区、石川仁社長)と大利根倉庫(本社=群馬県太田市、安河内隆義社長)は、加工部門の集約提携で合意した。今年11月をメドに、和泉鋼業・群馬工場(群馬県太田市)の加工を大利根倉庫・本社工場に集約する。薄板加工業界は需要減による加工量の低迷と設備負担が大きな課題であり、今回のような立地条件や加工内容の近似を踏まえた提携や設備集約は、今後も確実に進みそうだ。

 和泉鋼業・群馬の加工設備のうちスリッター、レベラーは廃棄し、シャーリング3基は大利根倉庫に移設する。和泉鋼業は大利根倉庫を活用することで、販売面に経営資源を特化する。群馬工場の従業員は原則として大利根倉庫で雇用する。工場跡地は大利根倉庫に賃貸し、大利根倉庫の主力需要家である富士重工業向けの物流ヤードとして活用する。

 大利根倉庫は01年8月から伊藤忠丸紅鉄鋼(出資比率40%)、住友商事(同39%)との共同経営に移行。今回の提携による物流機能の拡大を含め、今後厚物スリッターライン1基とコイル探索システムを備えた新鋼材倉庫の増設などにより、富士重工向けの加工物流拠点との位置付けで基盤強化を図る。

澁 谷工業は水素ガス発生装置による水素切断システム「エポックス」の厚板溶断業者向け拡販に注力する。来期(今年7月―来年6月)は水素ガス発生装置単体で30台、切断システムとして10台の販売を目指す。

 「エポックス」は水を電気分解して酸素と水素を分離発生させ、その水素を燃料として厚板の溶断加工などを行うもの。水を電気分解して発生させた水素ガスを使用するため、LPガスなどに比べ低コストで安全性が高い。また水素ガスは燃焼後、水に還元するため環境保全にも貢献する。

 澁谷ではイタリア・ILT社製の水素ガス発生装置「ピエール」の日本総発売元である国際通信ネットワークサービスと販売契約し、これに溶断システムを組み合わせて「エポックス」として昨春から販売しているほか、水素ガス発生装置単体での販売も行っている。発売以来ほぼ1年が経過したが、発生装置単体では小松シヤリングの2台をはじめ計20台、切断加工システムでは山本梅太郎商店をはじめ計6台の実績をあげている。小松シヤリングは水素・酸素混合ガス発生タイプからの切り替え。
東 京地区の冷延薄板は市中価格は横ばい。ただ、薄板の中で市況浮上に最も多く課題を残している。メーカー、流通も冷延薄板の市況動向が薄板全体の価格是正でカギを握るとの見方。

 荷動きは、建材を中心とした需要低迷を受けて相変わらず鈍い。1、2月の販売が低位横ばいで推移したのに対し、3月はさらに落ち込むわけではないが、上向く気配にも乏しいという。

 高炉メーカー大手が4月出荷からの新価格をベースに、大幅値上げによる価格是正を打ち出した。この価格転嫁が流通の課題となるが、足元の市況が低水準で浮上はまだ先となりそう。市中価格は(1・0ミリ、4×8)4万5000円。

東 京地区の一般構造用鋼管(STK)は、市況上昇力がなく横ばい。需要停滞の中で、小売業者も価格維持に全力を注いでいる。

 建築関連の需要低迷により市中の販売量は伸びず、溶接鋼管メーカーの生産も影響を受けている。年度末を迎えて一部メーカーの押し込み的な販売が一時的に増える、との懸念も流通に出ている。

 高炉メーカー各社と東京製鉄の熱延コイル値上げに対し、他の建材製品は強含み気配に転じたが、一般構造用鋼管が反転するとしても、少なくとも4月以降までずれ込むとの見方が強い。一時的には弱気感が増す可能性もある。市中価格(STK400)は、5万2000円中心。
大 阪地区のH形鋼は流通筋が唱えの引き上げにかかっているが、実需は精彩を欠いており、相場上伸にまでは至っていない。市中相場はベース、トン当たりで3万5000円どころ。

 高炉メーカーでは需給引き締めのため4月以降、引き受け数量の大幅カットを行うとともに、販売価格もトン当たり3000円の値上げを打ち出している。「需要以上に数量を落としている」との認識で、サイズによっては歯抜け状態も散見される。

 ただ、建築物件の減少もあり、流通では後追いの姿勢を取っているものの、メーカーほど強気に徹しきれていない。しばらくは底固めにとどまるとの見方も出てきている。