2003年09月10日
新日本製鉄、住友金属工業、神戸製鋼所、日新製鋼は9日、2003年9月中間期および通期業績見通しを発表、先週発表したJFEホールディングスとあわせ、高炉5社の業績見通しが出そろった。

 アジア向け鋼材輸出が好調。国内および輸出価格の改善も寄与し、各社の収益は一段と向上している。

 中間期の連結経常利益は新日鉄が前年同期比4・7倍の600億円、JFEが同2・9倍の780億円、住金が同12%増の220億円、神鋼が同40%増の140億円、日新は130億円(前中間期は40億円の損失)の見通し。

 通期の連結経常利益は新日鉄が前期比2・4倍の1700億円、JFEが同1・9倍の2000億円、住金は同33%増の550億円、神鋼が同21%増の430億円、日新が同3・6倍の230億円を見込む。



高炉各社は、鋼材輸出価格の上昇基調を2003年度下半期についても維持する方針である。主力のアジア市場では韓国の景気低迷が懸念されているが、「中国を中心とするアジアからの高級鋼材の引き合いは非常に強い」という。その一方で各社の高炉改修による減産が予定され、「受注にこたえきれない」状況が見込まれる。こうした中、各社は価格優先の販売スタンスを徹底、輸出価格の追加是正に取り組む。



住友金属工業は今月1日、関東特殊製鋼を完全子会社化したが、このほど、関東特殊製鋼(カントク)のロール事業、新機材事業、鍛造用金型事業を、住金の自社事業として継承すると9日発表した。事業継承のスケジュールは新機材事業(形状記憶合金事業)が10月1日、ロールと鍛造用金型事業は12月から開始する。

日鉄建材工業(岡田明久社長)は、土木主力3商品(コルゲートパイプ、ライナープレート、ガードレール類)に関して、8月契約分からトン当たり1万円の再値上げに踏み切った。同社の土木3商品の値上げは3回目であり、10月出荷分までに新値浸透を図る。

2003年1―7月の日本の中国向け全鉄鋼輸出累計は362万トンで前年同期比18・5%減となった。中国の鋼材需要は高水準を維持しており、セーフガード措置による輸入規制が輸出減の背景にある。  同期の鋼材輸出は、普通鋼鋼材243万トン、12・8%減、特殊鋼鋼材97万トン、12・9%増。半製品は7万5000トン、85%減。