2003年09月25日
経済産業省は特殊鋼産業のアジア展開、技術開発など国際競争力強化に向けた支援政策を打ち出す。10月初めにも同省・鉄鋼課と高炉、特殊鋼専業メーカーなどで構成される「特殊鋼の競争力強化と将来展望に関する検討委員会」(仮称)を立ち上げ、政策課題や具体的施策の検討に入る。

 主力需要分野である自動車産業の中国などアジア進出にともなった特殊鋼の供給態勢を考慮、アジア地域での現地生産と国内製造拠点の競争力維持・強化や、欧米、韓国、台湾など他国の特殊鋼産業に対する優位性向上をにらんだ技術開発の方向性、さらには中国進出などを踏まえ、知的財産権の流出防止と保護についても考察する。年度内をメドにとりまとめを行い、同省の政策支援などの形で遂行していく。

高炉各社と国内自動車大手との自動車用鋼板の再値上げ交渉は、JFEスチールが来月にも再値上げを要請、口火を切る見通しとなった。他社もタイムラグがあるものの、これに続いて個別に交渉に入るものとみられる。上げ幅は各社異なるが、トン平均5000円程度を要請、2004年4月出荷分からの値上げを目標に取り組む。

関東地区の小棒細物メーカー各社は、10月契約でトン当たり2000円の値上げを実施する。10月から物流コストが上昇する見通しから、継続して販価を引き上げる。さらに実質消失しているサイズエキストラの回復を図り、販価トン4万2000円を提示する。10―12月も輸出と減産の組み合わせで需給を引き締め、市況上伸を後押しする。ベース各社も10月2000円の値上げを表明しており、製品市況は上伸機運が強まりそうだ。

日立金属は24日、下水処理装置・システムなどを製造・販売する水処理事業を、10月1日付で日立プラント建設(東京)に譲渡することで合意したと発表した。

 市場環境が激化する中、水処理の総合エンジニアリングをコアとする日立プラントに、素材技術力の高い日立金属の事業を融合して、シナジー発揮をめざす。日立プラントのシェアは日立金属の3・5%を加え、10%強となる見通し。なお、資産、商権、人員などを除いた譲渡金は発生しない。両社の2004年3月期業績への影響は軽微としている。

韓国のPOSCOは第4四半期(10―12月積み)の日本向け輸出価格、数量の一部を決定、取引先に通達した。

 冷延コイルについてはひも付き価格(自動車を除く家電向けなど)は、第3四半期比2000円程度上げ、店売りは据え置く。数量は同比微減を計画している。ホットコイルは向け先によって据え置き、もしくは1000円程度値上げし、数量は同比横ばい。厚板、表面処理鋼板の価格は24日段階では明らかになっていない。