2003年12月26日
経済産業省は25日、2003年度第4四半期(04年1―3月期)鋼材需要見通しを発表した。鋼材需要は2522万トン(前期比14万トン、0・6%増、前年同期比54万トン、2・2%増)で、これに見合った出荷相当粗鋼需要量は2760万トン(同40万トン、1・4%減、同50万トン、1・8%増)と策定された。

 国内は季節要因で建設分野は減少するものの、製造業は自動車、建設機械、造船と軒並み堅調で、輸出も中国、米国向け以外のその他地域が伸びる。この結果、粗鋼は一部高炉の高炉改修、立ち上げに絡み、鋼塊半製品備蓄分の取り崩しにより、前期より減少するものの、底堅い需要と薄板類での在庫圧縮の進展などを加味し、過去5番目、9期連続2500万トン超となる。



新日本製鉄など高炉大手は大手鉄鉱業者との鉄鉱石の04年度積み価格交渉で、1月第2週にも2回目の交渉に入る。1回目の交渉では具体的な幅などの提示はなかったが、供給側から値上げ要請があったようだ。中国の需要増を背景に、世界的に鉄鉱石需給がタイトという認識は日本の高炉側も持っており、交渉は値上げの方向で展開しそうだ。



鉄鋼産業懇談会の宮本盛規会長(新日本製鉄副社長)は25日の懇談会後の定例会見で、11月末の国内薄板3品在庫が、前月末に比べ11万トン減ったことを明らかにしたうえで、「国内在庫は、そこそこいいピッチで下げベクトルに入った」との見方を示した。

 11月末の国内向け普通鋼鋼材在庫(メーカー・問屋)は558万トンと前月末比ほぼ横ばいだが、「H形鋼、小捧などで9万トン増えており、薄板系は9万トン減っている」とし、問題視された国内薄板在庫は削減に向けて一歩踏み出したとの認識。ただ、いぜん高水準であることは事実で、「400万トンを切り、最低でも380万トンレベルにもっていく必要がある」と語った。



岡谷鋼機は24日、経営再建中の機械工具商社、NaITO(東京都北区、内藤寧徳社長)のメインスポンサーとして経営支援を行うことが決まったと発表した。NaITOは、機械工具卸で全国一のシェアを持つ。

 岡谷の出資比率は04年3月期末で約39%、さらに05年3月期末をメドに社債を株式転換し、51%に引き上げる計画。また代表取締役執行社長として鈴木斉氏を含む取締役3人と監査役2人を派遣する。



関東最大手の平鋼メーカー、王子製鉄(本社=東京都中央区、高山隆男社長)は、平鋼の販売価格を、1月契約から店売り向けでトン3000円、ひも付き向けで同5000―8000円値上げする。原料の鉄スクラップ価格が高騰し、また合金鉄や輸送費などコストが上昇しているため。