2004年03月03日
東アジアの大手高炉が相次いで薄板の値上げを打ち出している。中国を中心とするアジアの薄板消費拡大によって需給バランスが急速にタイト化し、スポット市況は上昇基調にある。このため各社のホットコイル国内価格の引き上げ幅(トン当たり)は、韓国POSCO5万ウォン(40ドル)、中国・宝山鋼鉄400―450元(60ドル)、台湾・中国鋼鉄(CSC)2800台湾ドル(80ドル)と決定の日を追うごとに広がっている。

 各社の値上げは、鉄鉱石や石炭など原料コストアップ分の製品価格への転嫁が急務となっていることも背景にあり、同様の事情で国内・輸出価格の引き上げが必要となっている日本の鉄鋼各社にとっても追い風となる。

米国のシリコマンガンで1トン2205ドルの高値が出るなど、マンガン系合金鉄の国際市況が続伸している。極東アジアの高値につられて上昇基調で推移していたが、合金鉄大手エラメットの米工場の減産がきっかけで急騰した。極東は1300―1400ドル程度で落ち着いているものの、トルコでは1600―1700ドルに上がっている。世界的な粗鋼増で需要が伸びるなかで、中国の電力不足などで供給が滞っており、相場は当面高値圏で推移すると見られている。



高炉メーカーが取り組んできた高炉ガス管の在庫調整が2003年度末で完了する見通しとなった。全国流通在庫量(黒ガス管、白ガス管)は、04年3月末で3万2000トンを割り込む可能性が高く、メーカーサイドでは「全体の鉄源が不足する中、新年度の生産も低水準となる」(JFEスチール鋼管営業部)との認識で、03年度下期から続いている需給タイト感は04年度で一層強まりそうだ。

大同特殊鋼は2日、4月出荷分から工具鋼の値上げを実施すると発表した。上げ幅は特殊工具鋼と炭素工具鋼がトン当たり2万5000円、プラスチック金型用鋼同2万5000―3万円、ダイス鋼と鍛造型用鋼同4万円、高速度鋼同9万円。スクラップや合金などの急騰に対応する。価格変動の著しいコバルトを含有する工具鋼には、コバルト価格の変動に連動した「価格スライド制」を導入、ユーザーや流通業者と毎月価格交渉を行う。

関東地区の小棒メーカー各社は、3月の販売価格をトン1万円以上の値上げを相次いで表明している。販売価格は朝日工業、伊藤製鉄所などベース5万5000円となり、バブル期以来の5万円台を示現。鉄スクラップ価格は2万7000円で、なお強含んでいる。メーカーサイドは一段の値上げを検討しており、新年度入り後は6万円が視野に入ってきた。

新日本製鉄と環境エンジニアリングは2日、共同開発した余剰汚泥発生減量化システム「バイオダイエット」の公共下水道分野で本格的な営業活動を開始したと発表した。下水の汚泥処理ではバクテリアで有機物を処理後、残った余剰汚泥を埋め立て処分していたが、同システムでは約80%減量化できる。