2004年03月05日
高炉5社は4日、2004年3月期の業績見通しを発表した。アジア向け鋼材輸出の高水準推移に加え、販売価格も改善、各社とも収益が大幅に拡大する。

 連結経常利益は新日本製鉄が昨秋の名古屋製鉄所の事故による損失を織り込んだうえで前期比2・3倍の1600億円、JFEホールディングスが同2倍の2100億円、住友金属工業は同1・5倍の640億円、神戸製鋼所は中間決算発表時より30億円上乗せし、同1・3倍の460億円、日新製鋼も10億円上乗せし、同3・8倍の240億円を見込む。

 期末配当はJFEが前期比倍増の30円を予定、新日鉄、住金は前期同額の1・5円、日新は2円、神鋼は6期ぶりに復配し、1・5円を予定する。

 来期も本業の製鉄事業で堅調な需要推移が見込めるが、原燃料価格、海上輸送費などの高騰が収益圧迫要因として深刻化しており、鋼材価格への転嫁や原材料の安定確保への取り組みが大きな課題となる。

新日鉄住金ステンレス(NSSC、本社=東京都中央区、萬谷興亜社長)の初年度(2003年10月―04年3月)業績が、発足時の目標数値を確保し、黒字を達成する見通しとなった。

 NSSCは、昨年10月に発足した新日本製鉄と住友金属工業のステンレス事業統合会社。新日鉄と住金のステンレス部隊はともに赤字だったが、統合後は高炉時のオーバーヘットコスト軽減、製造面での地道なコスト削減、販価の見直し―などが功を奏し、抜本的な収益改善が実現する見通し。

日本鉄源協会(会長=平尾隆・新日本製鉄副社長)がまとめた3月第1週の鉄スクラップ市況調査(H2、中心値)によると、関東、中部、関西の3地区平均価格は、前週比1900円(7%)高の2万6000円に値上がりした。全国平均は同比1758円(7%)高の2万5489円になった。

JFEエンジニアリングは4日、グループの鋼構造物補修・改造専業企業、テクニブリッジに4億円規模の増資を実施、橋梁・水門の補修・維持管理事業を強化すると発表した。

 新株式は親会社のJFEエンジに全株を割当、テクノブリッジの資本金は4億5000万円となった。公共事業抑制で減少する鋼製橋梁の発注量を踏まえ、経営体質を強め、JFEグループとして対応を向上させる。テクノブリッジでは今後、営業力を高め、補修技術の開発もJFEエンジと共同で進め、コンクリート橋の診断、保全業務にも取り組み、2010年までに現状50億円の受注額を100億円とする。

中国の鉄スクラップ市況に天井感が広がっている。電力不足による減産や在庫積み増しが一巡したことが要因で、米国、日本鉄スクラップの買い付け意欲が鈍っている。地方の電炉メーカーは電力不足から30―50%減産を強いられているところもあり、上値を更新してきた海外相場がこう着している。電力源を主に水力に頼る中国は、雨季に入る5月下旬まで電力不安が続くとされ、鉄スクラップの本格的な需要回復は春以降になるとの見方もある。