2004年03月16日
高炉の厚板、4―6月 一層タイト化
JFEスチール、ブリキTFSを4月出荷から値上げ
全特協、値上げ転嫁「死活問題」
日鉄建材社長に小山氏
日墨FTA正式合意

高炉の厚板、4―6月 一層タイト化
国内高炉メーカーの厚板は4―6月、さらにタイトになる方向だ。現在、一般向けの厚板の納期待ちは各社平均で85―90日と昨年10―12月比5日程度延びている。こうした状況下で、神戸製鋼所、JFEスチールが4―6月の期間内で、住友金属工業も6―7月の期間内で圧延ミルの定修、もしくは改善を計画。

 結果、4―6月の厚板生産は当初計画の1―3月比横ばいから、2%前後減の250万―255万トン(3カ月トータル)となる見通し。受注自体も高水準なことから、4―6月の一般向けの納期待ちは90日強となる方向だ。

JFEスチールは4月出荷分から、容器用素材であるブリキ・ティンフリースチール(TFS)の値上げを実施する。一般缶向けに加えて飲料缶・食缶向けも、一般缶に準じる幅で個別交渉により値上げを行っていく。流通や需要家への申し入れを開始した。高炉メーカーでは、すでに新日本製鉄がブリキ・TFSの値上げを表明している。

全日本特殊鋼流通協会(会長=三上聡彦・ノボル鋼鉄社長)は、鋼材価格の急騰を受けて、特殊鋼鋼材の価格に関する状況説明の文書を作成した。会員各社を通じて、原材料価格の上昇などに伴う特殊鋼の価格動向をユーザーに伝え、理解を求めていく。三上会長らが15日記者会見し、明らかにした。

 三上会長は「景況感に明るさは出ているものの、メーカーの大幅値上げに対して、ユーザーへの価格改定は容易ではない面もある。会員各社にとって過去経験のない今回の値上げはまさに死活問題であり、協会としても放置できない」と経過を説明した。

日鉄建材工業は15日開催の取締役において、新日本製鉄の小山巖・常任顧問を新社長に迎える人事を内定した。岡田明久社長は取締役相談役に退く。小山氏は4月1日付で同社顧問に就き、6月末開催予定の株主総会後の取締役会で正式就任する。

日本、メキシコ両政府は先週末、川口順子外務大臣、中川昭一経済産業大臣、亀井善之農水大臣とカナレス経済大臣、ウサビアガ農牧大臣とテレビ会談を行い、両国の自由貿易協定(FTA)の締結を正式合意した。

 鉱工業品分野で鉄鋼は例外なく、すべての鉄鋼製品について10年以内に関税を撤廃するほか、現地で生産・調達が困難な品目に低減税率を設定するPROSEC制度対象品目も、自動車、家庭用電気製品、電子および資本財の4分野については協定発効時に即時撤廃する。

 即時に関税撤廃される品目は年間約462億円の対墨鉄鋼輸出のうち80%を占め、北米自由貿易協定(NAFTA)、欧州連合(EU)・墨自由貿易協定にもない自由化が約束された。また、同協定に沿って墨との官民鉄鋼貿易委員会(仮称)も適宜開催、両国鉄鋼産業の理解を深めていく。