2004年05月19日
POSCOが浦項製鉄所のステンレス冷延能力の拡大を検討していることが明らかになった。製品の高付加価値化策の一環で、国内で成長の著しい自動車の排気系部材や液晶ディスプレイ(LCD)のフレーム材などに用いるステンレス冷延鋼板の供給量を拡大するのが狙い。

 同社は、浦項製鉄所のステンレス製鋼および熱延能力の増強投資を完了しており、ホットコイルの供給余力はある。同社はあくまでも検討段階としているが、現在30万トン規模の冷延能力を40―50万トンに拡張する方向で詳細検討を進めるものとみられる。

流通筋によると、JFEスチールは5月契約分の店売り向けH形鋼の販売価格をトン2000―3000円上げることを決めた。4月契約ではトン7000円上げており、6カ月連続の値上げ。新日本製鉄および東京製鉄は5月契約での販価据え置きを表明しているが、JFEはこれまでの上げ幅が他社に比べ小さく、また大阪地区での弱含みの基調は一過性のものとみていることから、値上げとした。

高炉ガス管の全国流通在庫量(黒ガス管、白ガス管)は2004年3月末で3万2576トンと、「需給適正水準」となった。世界的な鉄源不足によって市中在庫は枯渇状態にあるが、ガス管最大手のJFEスチールでは「鉄源を増確保できる状況になく、活動水準が高まれば一層需給がひっ迫する恐れがある」とし、ガス管類の採算性を向上させて供給責任を果たすため、7―9月出荷分で実施する第4次値上げに続いて、第5次値上げに踏み切る方針だ。

日立金属は18日、2004年度の国内向け鉄鋼圧延用鋳鉄ロール、鋳鋼ロール、鍛鋼ロールの販売価格を10―15%上げると発表した。鉄スクラップに加えてニッケル、モリブデンなど原料価格の値上がり分を転嫁する。03年度分に10%上げたのに続く値上げ。順次需要家と交渉し、4月にさかのぼって実施したい考え。今後の原料価格の変動次第で、追加値上げも視野に入れている。

堺鋼板(本社=大阪府松原市、津田慎吾社長)は三重工場(三重県上野市治山山梨)の増築、および建築部材の生産設備の同工場への集約を進めていたが、作業を完了、今月から本格的に稼働した。一連の投下金額は約1億2000万円。薄板加工・販売の付加価値を高め、建材生産部門を強化するのが狙い。

 三重工場では早急に月間1000トンの建築部材の生産をめざす。今後も需要動向に応じて、同工場に各種設備の増強を検討していく考え。