2004年07月06日
 新日本製鉄は年産2000万トンの新規大型炭鉱、ロシア連邦サハ共和国のエリガ炭田開発プロジェクトを支援する。2009年からの10年間に年140万トンの原料炭を引き取る意向書(LOI)を先週提出した。LOIを通じて総額20億米ドルにも達する資金調達を支援する。高炉5社などで日本の原料炭引き取り量は400万トン程度に達する見通し。世界的に原料炭が不足するなか、供給を増やす有力案件で、日本にとっては、中国の輸出余力が低下するなか、実現すれば、ロシアが中国に匹敵する原料炭ソースになる可能性がある。
 日本の商社情報によると、中国の1―5月のコークス輸出量は486万トンと前年同期比34・2%減少した。1―6月では600万トンに達したもようだという。中国政府は欧州連合(EU)、日本向けに2003年並みの輸出枠を確保すると伝えており、他国向けを含めて今後、輸出枠を拡大すると見られるが、当初は前年実績比39%減となる900万トンに削減する方針だった。輸出枠を全体でどの程度増やすか中国は明かしていないが、1―6月で600万トンとすると年率1200万トンになるため、輸出枠の追加がないと年後半の需給が窮屈になるところだ。
 普通鋼電炉工業会(会長=猪熊研二・合同製鉄社長)は5日、理事会および運営委員会後に定例の記者会見を開いた。猪熊会長は、中国の調整局面が収束し始めたことを踏まえ「中国の鉄スクラップ価格が底を打ち、日本の大手電炉も購入価格を引き上げているが、この程度の反発は大きな問題ではない」とした上で「製品市況は明らかに強含みに転じており、小棒市況は近いうちに6万円へと自然に向かうのでは」と先高観を示した。
 インド第2位の鉄鋼ミル、タタ・アイアン・スチールはこのほど、鉄鋼生産能力を年間500万トンから740万トンへ拡張する大型プロジェクトを正式承認した。自動車や電機用鋼板など国内の需要拡大に対応するものとみられ、総投資額は780億ルピー(約2000億円)に上る。同社は来年初の完工予定で年産能力を400万トンから500万トンに引き上げるプロジェクトを進行中。さらに2009年をメドに740万トン規模への拡張をめざすことになる。
 大阪地区の高炉系建材シャーの加工量は2004年度については全社トータルで月間7500―7600トンと03年度比3―5%減少する方向だ。主力需要の橋梁が公共工事の圧縮により、04年度で年間47万―48万トンと前年度比4―6%落ちる可能性が強く、この影響を受けるため。

 大阪地区の高炉系の建材シャーは1997年度から2001年度にかけては月間1万―1万1000トンの切板を行っていた。これは橋梁工事が安定的に出ていたためで、実際、97年度から01年度の橋梁は01年度の年間68万トンを除くと、年間70万トンから85万トン強の間を推移していた。