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2004年09月21日(火)
タイ政府は16日、日本、韓国、台湾などからの熱延鋼板輸入のアンチダンピング(AD)課税で、3月から一時停止していたAD税徴収を20日から再開すると発表した。適用除外がほとんどのため、自動車、家電向けの高級品の供給に大きな支障はないと見られるが、現地のリローラーの母材に影響が出そうだ。タイ国内メーカーの供給余力が乏しいなかで、とりわけ現地の中小需要家にしわ寄せが出ると見られ、鋼材の不足、価格の上昇と合わせて今後混乱を招きそうだ。
日本鉄鋼連盟が17日発表した8月の全国粗鋼生産量は前年同月比1・7%増の940万3600トンとなり3カ月連続で前年実績を上回った。前月比は1・5%減で、2カ月ぶりの減少。この結果、1―8月の累計は7476万1900トン、前年同期比1・7%増となり、国内外のおう盛な需要を背景に高水準だった前年をさらに上回るペースで推移している。鋼材ベースでは、特殊鋼熱間圧延鋼材が前年同月比で29カ月連続、普通鋼厚板も20カ月連続の増加となった。
高炉5社の8月の粗鋼生産実績がまとまった。5社合計で前年同月比1・5%増の704万2000トンと、おう盛な需要を背景に高水準の生産を維持した。全国粗鋼に占める5社の比率は、前年同月比0・1ポイント減の74・9%。本年1―8月の粗鋼生産累計は前年同期比1・9%増の5471万トン、全国シェアは同0・2ポイント増の73・2%となった。
関西地区のビルトH形鋼(BH)の価格は10万5000―11万円(トン当たり、SS材ベース、ストレート物)どころを強含みで推移している。母材の厚板が供給タイトな環境を背景に、ジリ高展開となっており、BH業者がこれを製品に転嫁しているため。材料高の状況は長期化する方向にあり、BHもこれと連動し、強基調が続く見通しだ。
ジャパンペール(本社=大阪市西区、寺中捷郎社長)は8月に、伊丹工場のペール缶の生産を止め、尼崎工場に集約した。これにより、生産拠点は3カ所(高石、尼崎、千葉)となり、効率的な生産態勢を構築した。今後は需要家への最適地生産をさらに推進し、収益力を高めていく。