2004年09月28日(火)
 高炉メーカーの厚板ミルのロールが10―12月、一段とタイトになり、一般向けのロール待ちは現状の100―120日から120―150日前後に拡大する見通しだ。造船や輸出向けの受注が引き続き高水準なことに加え、10―12月にかけて、高炉メーカー4社がともに、厚板ミルの定修を計画、もしくは予定しているため。

 定修決定のメーカーは新日本製鉄が9月27日―10月9日まで名古屋製鉄所で厚板ミルと熱処理を実施、神戸製鋼所が加古川製鉄所で12月1―10日に厚板ミル、12月8―13日に熱処理を定期修理する。また、JFEスチールが西日本製鉄所・倉敷地区で10月に8日間程度、住友金属工業が12月に鹿島製鉄所で定修を予定している。
 中国の高炉、電炉メーカーの鉄スクラップ購入価格は、生産量の増加や電力使用規制の緩和により、9月に入りトン当たり200―300元(2620―3930円)上昇した。現地鉄鋼メーカー各社は9月に米国や日本から鉄スクラップを約25―26万トン調達し、ロシアからも手当てしたもよう。この影響で日本を含めた各国の鉄スクラップ市況は約1カ月ぶりに反発した。ただ、中国鉄鋼メーカーが10―11月の鉄スクラップ調達をほぼ終えたことで、アジアの輸出市場は上昇のスピードが遅い展開となりそうだ。
 経済産業省、タイ・工業省や日本、タイの鉄鋼産業関係者による日・タイ鉄鋼非公式会合が先週、タイ・バンコクで行われ、タイの熱延鋼板アンチ・ダンピング(AD)措置問題、自由貿易協定(FTA)問題などで意見を交わした。

 ADについては日本側がタイの課税開始決定を問題視、同措置の早期撤廃を求めたのに対し、タイ側は鉄鋼産業サイドが政府決定と回答した。FTAではタイ側が鉄鋼分野を例外とする考えに対し、日本側はタイの産業発展と鉄鋼技術力向上を妨げるとして譲歩を要請。タイ側は「FTA交渉はパッケージ交渉」などとして鉄鋼分野の議論を回避、いずれも平行線をたどり、話し合いに進展は見られなかった。
 麻布成形(本社=東京都港区、中村義人社長)は、中期3カ年計画2年目の2004年度(7月期決算)において、4工場態勢の見直し、加工設備の増強などを視野に入れた強固な企業基盤の構築に取り組む。また、異形管(ステンレス素材を含む)や特殊管の拡販に注力し、中計最終目標で掲げる売上高30億円キープ、ROS(売上高経常利益率)3%の前倒し達成をめざす。
 鈴秀工業(本社=名古屋市緑区大高町南関山35、鈴木清詞社長)は、高付加価値製品の強化の一環として高精度異形磨棒鋼を生産する山口工場(山口県小野田市)にSTC炉を来年春に1基増設すると共に、来年夏までにショットブラストの更新などを行う。また三重工場(三重県三重郡菰野町)にボールネジ用NC旋盤1基を来年1月に増設する。