2005年02月22日(火)
 東京製鉄(池谷正成社長)は21日、3月契約分(21日売出し、23日締切)の店売り向け販売価格を発表し、H形鋼、I形鋼をトン5000円、U形鋼矢板、縞H形鋼をトン9000円、溝形鋼、山形鋼、異形棒鋼をトン2000円それぞれ値下げした。H形鋼、縞H形鋼の値下げは1999年1月以来6年2カ月ぶり。「内外価格差の是正」(大堀直人取締役営業本部長)を図った。その他の品種は価格を据え置いた。また、4―5月積みの輸出価格は、ホットコイルでFOB670ドルを継続している。
 経済産業省の「ステンレス製造業将来展望懇談会」に基づく、モリブデン・ワーキンググループ(WG)の第3回会合が21日開かれ、モリブデン価格の高騰を踏まえて、チリなどへの現地調査ミッションを派遣する方向で検討に着手した。鉄鋼副原料のモリブデン供給に関して、モリブデンの偏在、寡占化などが供給不安の要因として、3月もしくは4月実施を候補に、チリへの政府ベースの調査ミッション派遣をはじめ、必要があると判断されれば、民間ベースでの調査団を中国、北米などに送る方針だ。
 日本鉄鋼連盟(会長=三村明夫・新日本製鉄社長)は、中国鋼鉄工業協会から環境対応技術のセミナー開催の要請を受け、検討している。中国は大気汚染など環境問題が表面化し、世界トップの環境技術を持つ日本に協力を求めている。鉄連は自主行動計画の中で地球温暖化対策として「国際技術協力による省エネルギー貢献」を掲げており、対応に取り組む。京都議定書の京都メカニズムでは海外協力で削減した温室効果ガス分を自国分とすることができ、中国への技術供与に発展すれば、日本鉄鋼業のCO2排出削減につながる。
 高炉5社の1月の製鉄所別粗鋼生産は国内外のおう盛な鋼材需要を背景に、おおむね高水準で推移した。前年1月との比較では新日本製鉄大分、神戸製鋼所加古川の伸びが目立つ。

 新日鉄は大分が前年同月比8・8%増、八幡が同3%増となったが、君津は同1・9%、名古屋は同9・7%それぞれ減少した。
 神戸製鋼所は出荷能力増強のため、世界最高速の鋼材荷役クレーンを加古川製鉄所に設置した。投資額は約5億円で出荷能力は10%以上向上。おう盛な需要を受けて製品出荷が増えており、雨天などで出荷が遅れてもクレーンのスピードを上げることで対応する。