2005年03月03日(木)
 高炉メーカー各社の鋼板ひも付き価格交渉が本格化している。個別交渉であり各品種、分野ごとに異なるが、今春から少なくともトン1万円から1万円を大きく超える幅の再値上げが提示されている。

 需要は自動車、造船、建機・産機と好調だが、鋼材需給に対する認識が深まり、業界ごとに事情はあるものの受け入れの素地はできている。鋼材コスト上昇を受けて、建機では製品価格への転嫁も具体化し始めた。
 メタルワンは2日、中国・蘇州にステンレスコイルセンターを設立したと発表した。総投資額は17億円。OA機器や家電に用いる薄手のステンレス鋼板の供給態勢を整え、日系を中心とするユーザーの現地での高品質製品調達ニーズに応える。稼働予定は本年6月。中国のステンレスコイルセンターは2拠点目。中国、東南アジアの加工・販売網は計7拠点、売り上げ規模は200億円超に達する。

 今後も「ステンレス需要増の著しい中国で流通網の拡充を進める」(岩田修一・ステンレス部長)方針で、来年には阪和工材(大阪)の深のコイルセンター買収を予定している。
 モリブデンのスポット価格が1カ月半ぶりに反発した。指標となるメタルズ・ウィーク誌の三酸化モリブデン(MoO3)相場は今週ポンド当たり29・5ドルと先週から2・75ドル上昇。日本の業界関係者によると、直近では30ドル近い高値も出ているという。2月に30ドルを割り込んでから需要家の買いが入り、中国のフェロモリブデン価格が上昇に転じるなど、ムードが変わった。

 部分的な市場で変動が激しくなっており、このまま上昇を続けるかどうかは不透明。歴史的な高値圏を受けて、ステンレスメーカーなど日本の需要家は過去の値上がり分を製品価格に転嫁する方針だ。
 東京地区の小棒市況は、ベース6万円で弱含み横ばい推移が続いている。例年1―3月は小棒の加工量が減少する。足元もゼネコンの引き合いは小口即納物が中心で、買い控えにより需給は引き締まりに欠ける。

 ただ、4月以降スーパーゼネコンが抱える大型物件の発注が見込まれ、加工量は次第に上向く見通し。電炉メーカーは需要の谷間を大幅減産で乗り切る方針だ。新年度の市況を占う3月は綱引きの商状が続きそうだ。
 ガス管最大手であるJFEスチールは、2005年4―6月のガス管生産に関して、1―3月比で5%程度の減産を実施することを決めた。

 JFEスチールは、建築需要が落ち込む中で、ガス管市況の立て直しを図るため、02年4月以降で生産調整を実施し、04年7―9月には市中在庫が最低水準となっていた。品薄感がピークに達したことを受けて、同社では需要見合いの生産にシフトしていたが、秋需シーズンである10―12月での活動水準が想定を下回ったことから、05年1―3月で再び生産調整に入っていた。

 このため「需要自体は前年比でマイナス傾向にあるものの、高炉品は黒ガス管を中心にタイト感が強い」(大手鋼管特約店)とし、市中在庫は依然としてサイズ切れが多い。